21話「最良の未来を求めて歩みたいのです」
ついにこの日がやって来た。
――そう、フリッツとの結婚を告げる式の日である。
今日は結婚式。
幸福を絵に描いたような晴れやかな日。
朝、母は「ずっと応援しているから、幸せになってね」と前向きな言葉をかけてくれ、父は感動やら何やらで少々情緒不安定になり涙をこぼしつつも「幸せに!」と温かな言葉をかけてくれた。
両親に背中を押してもらいながら結婚できるなんて、こんなに幸せなことはない。
たくさん傷ついてきた。
これまで嫌な思いもした。
でもフリッツと出会えたからこうして明るい未来を掴むことができた。
それは、とても、とても幸せなこと。
彼と共に歩めるならこれまでの苦労も溶けて消えてゆくかのようだ。
大きな声でそんなことを言ったら単純な馬鹿と思われてしまうかもしれないけれど。
だが事実なのだ。
辛いこと、苦しいこと、それを一瞬で掻き消してくれる出来事というのもこの世界には存在しているものなのである。
「フリッツ、これからも末永くよろしくね」
「もちろん! こちらこそ。よろしくお願いしまっす!」
大切な人。愛している人。その人と見つめ合い、未来を誓えること。こんなに幸せなことはない。
行く道の先にどんなことが待ち受けているかはまだ分からない。ただそれでもきっと乗り越えてゆけるのだと、今はそう信じている。周囲からどう思われているかなんてどうでもいい。今はもうとにかく信じたいものを信じていたいのだ。
「「「おめでとう! お幸せに!」」」
快晴の空の下、式の参加者たちがお祝いの言葉を打ち上げてくれる。
「オリヴィエ、幸せになってね!」
「これからたくさん楽しいことをしてね。ずっと応援しているから。もう辛いことなんてきっと起きないよ。だから大丈夫。大切な人とずっとずっと幸せにね」
「もー、いーなー、こんな素敵な人と結婚。……なんてね。素直に言うよ、結婚おめでとう!」
次々にかけられる祝福の言葉。
そこには人々の優しさや思いやりが多く含まれている。
とても前向きな時間だ。
「フリッツくん、結婚できて良かったね! おめでとう!」
「仕事も大事だけどぉ。家庭も大事にしてねぇ。こんな素敵な女性なんだから、幸せにしないと駄目だよぉ」
「幸せ話たくさん聞かせてくれな!」
「お祝いの袋、朝ちょっとうっかり濡らしちまった。ごめんな。でも中のもんは本物の札だからよ。偽者とかじゃねぇから大丈夫だから心配すんなよ。まぁ、ちょっと濡れてて、びみょうな感じになっちまってるけどなぁ。だはは」
また、フリッツも、知り合いから色々な言葉をかけられていた。
彼も今は幸せを感じていることだろう。
……なんて、決めつけるのは良くないけれど、でもきっとそうであるはずだ。
ここは終わりではなく始まりだ。
まだまだ道は続いてゆく。
そう簡単に人生は終わらない。
人生という道は長いもの。
だからこそ、どんな時も最良の未来を求め続けたい。
◆終わり◆




