■CASE3:壇上の美しきピエロ
■CASE3:壇上の美しきピエロ
と、いうやり取りをした後だが、レオ博士もスカルピウス博士も連絡がつかねぇし、研究所や会社に電話しても誰も行方を知らないという。
どうしてこう……偉いヤツらってのは忙しいかね。
そうこうしている間に、お偉い上司からのコールが鳴る。
「アクアリルルが帰国ツアーを開催するらしい。監視しろ」
「ああん? アー?」
「国民的アイドルの名前くらい覚えておけ」
俺はなぜか怒られながら、事情を聴く。
「どうして彼女なんだ」
「彼女もシデラ作戦に参加している」
「シデラ作戦に参加した魔法使いって、数百人はいるぜ。その中のひとりだろ」
「その中でも特殊な任務を当てられた者がいる。いいから、彼女の護衛をしろ。追って資料を送る」
「へいほー」
しぶしぶ魔導二輪に跨り、アクアリルルがいるという空港を目指す。
巨大な鳥型航空機が空を行き来する様を眺めながら、空港の広場にまで歩いていく。
空港ってのは、どうしてこう、だだっ広くて人を歩かせるのかね。
アクアリルルは、キャリーケースが流れているベルトコンベアの前で、自分の荷物を待っていた。
細い指先が特徴的で、とても綺麗な指をしていた。その指の爪には、それぞれ赤・白・黒・青・黄色に塗装されている。若者なりのお洒落なのだろうか。
帽子から覗く髪の毛は黒髪をベースに、赤・白・青のメッシュが光る。色のついたサングラスでは一切隠せない大きな瞳に、やんちゃに跳ねる睫毛、蒼い瞳にシュッとした小さな顔。
体は細いだけではなく、よく引き締まっており、それでいて女性らしいくびれがしっかりと出ている。
有り体に言えば、オーラが違う。そんな、17歳の少女。
「よう」
俺が気さくに声をかけると、どこからともなく、黒いスーツにサングラス姿の屈強な男がふたり、俺の前に立ち塞がった。
「あ、ネモのおじさん」
「まだピチピチの40代なんだ。おじさんは止めてくれ」
「あっは。何その冗談」
知り合いと判断できたか、黒スーツの男たちはすぐに下がった。
「ボディガード?」
「ううん、秘書よ。筋トレが趣味なんだって」
それもうボディガードだよ。
「有名になったもんだな、アクアリルル」
「皮肉にも、あの戦争でね」
やがてアクアリルルは立ち上がり、キャリーケースを持ち上げた。海色のケースの上には、ステージパスとして出されるシールや、アニメのキャラクターのシールで、デコデコと飾りつけられていた。




