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「タウルスが殺された」

 その知らせを受けたとき、俺は食べかけのコーンフレークを、ミルクの上にぱしゃりと落とした。

「……マ?」

「マジだよ、ネモ魔法執行人」

 たっぷりふた呼吸は、その言葉の意味を理解するのに時間がかかった。

 タウルスとは、シデラ作戦で会った仲だ。

 あいつはまごうことなき最強の魔法使いだった。

 やつの天道の魔法は俺なんかよりも、ずっと、遥かに、比べるまでもなく強い。世界最強なんだからそりゃそうなんだけど。

 あれを殺すということは、太陽を殺すことに等しい。

 太陽が死んだと聞けば、誰だって理解できないだろう。

「どーやって」

「戦いは裸山の一角で行われた。猛烈な熱量と『黒い竜巻』のせいで、予知も千里眼も焼き切れている」

「遺体のほうは確認したのか」

「確認した。疑似脳だけが綺麗になくなっていた」

 がちゃん、という音を聞いて、俺はついにスプーンまで落としたのだと気づいた。

 シュガーが溶けこんだ甘いミルクが、指先についた。

「……マ?」

「これをノックス・パトリアム連続魔法殺人事件とする。すでにこちらは対策本部を作成している。お前も犬らしく働け」

「太陽を穿つ相手を俺に追えと?」

「それがお前の役目だ」

 一方的に命令を与え、電話は切れた。

 俺は頭を抱えた。

 ラジオからは、タウルスの死が一大ニュースとして取り上げられている。

 いや、無理無理。普通に無理。

 タウルスに勝ったやつに、俺が敵うわけねーだろ。

 切り替えろ。こいつは『犯人を突き止めても俺には捕まえられない』やつだ。

 こういうときはできるやつに頼るに限る。

 俺はアテになりそうな連絡先に、適当に電話をかけていた。


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