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【第8話】初めての戦闘

 その洞窟の中は、薄暗い一本道で、ところどころ湿っており、とても気味の悪い場所であった。

 地面には、小枝や小石が落ちており、さらには下り坂のため、3人は歩きづらさを感じていた。


 しばらく進むと、目線の先に、小さな(あか)りが(とも)っているのが見えた。

 すると、チックが小声で2人に言う。


「だんだん匂いが強くなってきたぞ。多分この先にオークってやつがいるな」


 3人はさらに、(あか)りの方へと歩いていく。

 (あか)りに近づくにつれて、奥からは(うめ)き声のようなものが聞こえてくる。

 そうして、ついに(あか)りの元へと辿(たど)り着くと、そこには、高さ5mほどの、おそらくオークが通るための穴があった。

 3人は、その影から、恐る恐る穴の先を見ると、その先には大きな空間が広がっており、そこには、よく分からない肉を頬張(ほおば)るオークの姿があった。

 ヴィルは、それを見た瞬間、あることに気づき驚くが、大声を出すとバレてしまうため、なんとか声を押し殺して耐えた。


 ヴィルの言った通り、数は6体、そして、その広い空間のさらに奥に、またしても大きな穴がある。

 おそらく、その先にオークのボスがいるのだろう。

 オークは予想よりも大きく、背は3mくらいあり、体には肉がたっぷり付いていて、とても太っている。


 3人にとっては、これが初めての真正面からの戦闘となる。

 その時バーナは、自分たちで戦って勝てるのだろうか、とまたしても不安な気持ちになる。

 一方チックは、丸々と太ったオークの姿を見て、ヨダレが止まっておらず、今にも飛び出しそうな勢いである。

 ヴィルは、そんな2人に対して、小声で話しかける。


「お前ら、いいか? あそこにいるオークたちは、皆Bランクだが、奥にいるキングオークっていうのだけは、ランクがA-らしいんだよ」


 それを聞いたチックは、もう食欲が抑えられず、気持ちの悪い顔で聞き返す。


「でへへへへへ。ってことは、もっと美味いってことか〜!?」


 チックのヨダレがポタポタと地面に垂れる。


「そういう事じゃねえよ。他の奴らより強いってことだよ」


 ヴィルは(あき)れた様子でツッコミを入れる。

 その時、バーナは不安そうな顔で、弱音を吐く。


「で、でもさ、あんな大きい化け物たちに、私たち勝てるのかな? 戦い方だってよく分からないし……」


 まあ、バーナのスキル『バナナモンスター』を使えば、オークくらい容易に倒せる気もするが。


 とりあえず、戦う前には、まず作戦を立てる必要があるだろう。

 ヴィルは、チックに何か良い案はないかと尋ねようとチックの方を振り返ると、そこに、チックの姿はもうなかった……

 まさか!と思い、オークの巣の中を見ると、もう食欲が我慢の限界に達したチックが、1人でオーク6体の集まる方へと向かって行っていたのだ。


 チックがある程度オークとの距離を縮めたところで、チックは地面を激しく蹴り抜き、凄まじい速さでオークたちへと突進し、1体のオークの首をナタで切り落とすという不意打ちを喰らわせたのだ。

 それに気づいた他のオークたちは、床に置いてある棍棒(こんぼう)を持ち、“グォォォオオオ”と叫ぶと、重そうな体をゆっくりと持ち上げ、立ち上がってきた。

 それを見たチックの顔は、自信に満ち(あふ)れており、ナタを構える。


「全部俺が倒して、お前らを1匹残らず食い切ってやるよ〜!!」


 そう言うと、チックの左手が、スキル『硬化』によって黒く染まり、(はがね)のように硬くなる。


 残るオークは5体。

 チックは、襲い来るオークに向かって突進し、右手のナタで切り、左手の拳で殴りにかかる。

 しかし、他のオークたちは学習したのか、チックに首を切られる前に、首付近に棍棒(こんぼう)を差し込み、ガードをする。

 しかし、その直後、チックの左拳がオークの腹を捉え、オークの腹が爆発してしまうのではないかという勢いで殴る。

 殴られたオークは吹き飛び、壁に激突する。

 ランクBの魔物とはいえ、さすがは巨大な体を持つオーク。

 チックの、岩をも砕かんばかりの拳を腹にねじ込まれても、なお起き上がってくる。

 現状の戦況は5対1。

 ヴィルとバーナは、いくらチックでも、5対1では()が悪い、弱音を吐いている暇はないと思い、オークの巣へと入り、チックに加勢(かせい)する。

 チックが1匹のオークにナタを振りかざすも、それもまた棍棒(こんぼう)でガードされる。

 しかし、チックのナタは、その棍棒(こんぼう)をスパッと真っ二つに切ってしまう。

 棍棒(こんぼう)を切り、武器を壊したチックだったが、ガードされたことによってその威力が落ち、オークを捉えるまでには(いた)らなかった。


「チッ。めんどくせえな!」


 すると、チックの後ろから、立ち上がってきたオークが、棍棒(こんぼう)に力を込め、チックを殴ろうと襲いかかってくる。

 チックは、その攻撃に気づいていたものの、未だ空中にいて、その攻撃を(かわ)すことが出来ない。

 ついにその棍棒(こんぼう)がチックを捉えたか、と思ったその時、オークの頭を緑色の何かが貫通する。

 その直後、そのオークは手から力が抜け、棍棒(こんぼう)を離し、(ひざ)からその場に倒れ込んだ。


「ふう……危なかったぜ」


 倒れたオークの後ろを見ると、銃の構えをしたヴィルが立っていた。

 そう、そのオークはヴィルが『Virus(ウイルス) Shot(ショット)』で頭を撃ち抜いていたのだった。


「助かったぜ! ヴィル!」


 チックがそう言った次の瞬間、ヴィルの近くにいたオークが、ヴィルに向かって棍棒(こんぼう)を振り下ろす。

 しかし、その棍棒(こんぼう)はヴィルを捉えることはなかった。

 ヴィルは、その場で瞬時にバックステップを踏み、その攻撃をミリ単位で(かわ)したのだ。

 攻撃の直後には、必ず隙がある。

 その瞬間をヴィルは見逃さず、その場で大きくジャンプをすると、持っているナイフを手に取り、オークのうなじに突き刺した。

 オークは、“グァァァアアア”と叫び声を上げたが、やがて、その場に倒れ込んだ。


 一方チックは、ナタでの攻撃が防がれるならと、右手に持つナタをオークに向かって思い切り投げた。

 そのスピードは尋常ではなく、オークもそのスピードについていけなかったのだろう。

 ナタは、オークの腹を切って貫通し、後ろの壁に突き刺さる。

 一瞬怯(ひる)んだその隙に、チックは一気にオークに詰め寄り、顔面を、硬く握りこんだ拳で力強く殴った。

 吹き飛んだオークは、頭から壁に衝突し、ついに動かなくなった。


 残るオークは2体。

 片方のオークに向かって、ヴィルが手を銃の形にして向け、ウイルスの弾を放つと、なんとそのオークは、自らの棍棒(こんぼう)を頭の前に出し、その攻撃を防いでみせたのだった。

 ヴィルの攻撃を受けたその棍棒(こんぼう)は、腐敗(ふはい)していき、ボロボロとなって地面に落ちる。


「おぉ……なかなかやるなぁ。でも次はないぞ」


 そう言ってまたも銃を撃つ構えをとると、オークは頭を守るように、腕を交差してガードをし始めた。

 足や腕を撃っても良いのだが、それでは絶命までに時間がかかってしまい、キングオークが来てしまう。

 ヴィルは一瞬頭を悩ませる。

 しかし、その悩みは、すぐさま解決されることになる。


 なんと、ヴィルとチックの後ろから大量のバナナが投げ飛ばされ、それらは、横に並ぶ2体の頭上を通り過ぎ、オークたちの後ろに落ちた。

 次の瞬間、バナナは地中に潜っていくと同時に、そこから、長い茎が生え始め、頭を守るオークたちの腕に絡みつくと、それらを引き剥がすように、オークを大の字にし、固定した。

 ヴィルとチックが後ろを振り返ると、真剣な眼差しを2人に向けるバーナの姿があった。

 2人は、バーナに声をかける。


「ありがとな、バーナ」

「ナイス! これで倒しやすくなったぜ!」


 そう言うと同時に、ヴィルは、指先からウイルスの弾を生成し、オークの頭に照準(しょうじゅん)を合わせる。

 そしてチックは、壁に突き刺さったナタを取りに行き、そのままオークへと突っ込む。

 ヴィルは、ウイルスの弾をオークの頭目掛けて放ち、チックは、ナタをオークの首に振りかざす。

 3人の完璧な連携によって、片方のオークは首を飛ばされ、もう片方のオークは脳をウイルスに浸食され絶命した。


 3人は、特に怪我もなくオークを倒せたことに喜ぶが、まだ敵は残っている。そう、キングオークである。


 すると、奥の方から“ドスンドスン”と大きな足音が聞こえてくる。

 そしてついに、奥の大きな穴から、キングオークが姿を現した。

 キングオークがゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

 先ほどまでのオークとは明らかに別格。

 強敵である故、戦いは、さらに激しく、困難なものとなるだろう。

 3人は、キングオークをじっと見ながら、身構える。

 すると、予想外なことに、キングオークは立ち止まると、言葉を話し始めたのだ。


「ナゼ殺シタ」


 そのキングオークの表情からは、仲間を殺された怒りが見て取れる。


「我々ガ何ヲシタト言ウノダ」


 そう言う、キングオークの目は、どこか寂しそうであった。

 黙ってキングオークの話を聞く3人だったが、ヴィルは、能力<翠眼>で、キングオークのことをじっと見る。

 

名称:キングオーク 魔物ランクA-

特徴:体長約5m、体重約1トン、人間の言葉を話せる。あらゆるものを喰らい、時に仲間をも喰らう。


 そして、キングオークは、話を続ける。


「ナゼ人間ハ、我々ノ存在ヲ認メテクレヌノダ」


 キングオークのことを見て、色々と情報を得たヴィルは、キングオークに向かって返す。


「お前らも、人間を襲ってるじゃねえか。さっきのオークたちが食ってたの、人間だろ」


 それを聞いたキングオークは、声を荒らげて言う。


「人間ドモガ我々ヲ認メナイカラダ! 我々ハ悪クナイ! 悪イノハ人間ドモダ!」


 ヴィルは、怒りが混じった低い声で言う。


「魔物も人間との共生を目指してるのか……それはいいんだけどなぁ。認められないからって、人間を殺したら、余計嫌われるだけなんだよ。お前らは人間に認められるために、何か努力はしたのか?」


 ヴィルがそこまで言うと、キングオークは激しく怒り狂い、巨大な棍棒(こんぼう)を取り出して、3人に向かってその棍棒こんぼうを打ち付ける。

 ヴィルは左に、チックはバーナを抱えながら、右に回避する。

 チックは、バーナを下ろすと、バーナに言う。


「バーナ、お前は少し離れたところにいろ」


 チックに助けられ、そう言われると、自分のことを心配してくれているのか、とバーナは少し感動する。


「近くにいたら、足手纏(あしでまと)いだからな」


 チックは真剣な顔で、バーナにそう言う。

 バーナは、その瞬間、一気に感動が薄れ……


「ふざけんな! 私の感動返せよ!」


 とチックに怒り、声を上げるが、チックはそのまま走ってキングオークの方へと行ってしまった。


 そしてここから、キングオークと3人との本格的な戦闘が始まる。


 チックは、キングオークに、とてつもない突進をし、ナタを振り上げ、キングオークへと打ち付ける。

 しかし、キングオークは(すんで)のところで、間に棍棒(こんぼう)を差し込み、チックの攻撃を防ぐ。

 キングオークの持つ棍棒(こんぼう)は特殊なのか、チックの攻撃をくらっても、真っ二つになることはなく、外の皮が少し傷つく程度であった。

 その隙を見て、ヴィルが『Virus(ウイルス) Shot(ショット)』で、キングオークの頭を狙う。

 しかし、キングオークは、手に持っていた石を、ヴィルに向かって、とんでもない速さで投げつける。

 ヴィルは、それを避けるため、体勢を横にずらす。

 しかし、それによってヴィルの弾丸はズレ、全く関係ない方向へと放たれる。

 このままでは2人が危ないと思ったのか、バーナは、バナナに魂を吹き込み、そのバナナをキングオークの周りへと投げつける。

 地面からは細長い茎が生え、キングオークの腕を縛るが、キングオークの腕力(わんりょく)によって、いとも簡単に引きちぎられてしまう。

 キングオークの、想定外の強さに、3人は一度キングオークから距離をとる。

 すると、キングオークがまたも3人に話しかけてくる。


「ハッハッハ。ヤハリ人間ナドコノ程度ナノダ。所詮ハ魔物ニ劣ル劣等種。本来、我々ニ仕エルベキナノダ!」


 その言葉に、ヴィルは冷静な口調で返す。


「認められないから襲う。人間は魔物より下。そんな考えしか出来ないから、魔物が人間から嫌われてるんだろうが。そんな考えしか出来ないお前は……確実に人間より下だよ」


 その時、ヴィルが、ふとチックの方を見ると、チックがなぜかとんでもなく怒っていた。

 もしかして、あのアホなチックも、キングオークの言っていることに怒りを覚えたのか。

 そう思い、ヴィルが感心していると、チックはヴィルの予想とは全く関係ないことを言い出した。


「お前……俺は腹が減ってるんだよ!! さっさと俺の夕食に……」


 チックは、体勢を低く構える。


「なれよ!!!」


 そう言うと、チックは地面を砕く勢いで、キングオークへと突っ込む。

 ヴィルは、やっぱりチックはチックのままなのだなぁと、逆に感心してしまった。

 左腕を硬化させ、拳を硬く握り込む。

 キングオークは、棍棒(こんぼう)を両手で持ち、チックの向かってくる場所をガードする。

 そして、チックがキングオークの棍棒(こんぼう)に思い切り拳を打ち込む。

 空腹の怒りからなのか、その威力は今まで見たこともない、とてつもない威力で、辺りには空気の波動が巻き起こり、落ちている小枝や小石が飛び散る。

 あまりの衝撃に、ガードをしたキングオークも体勢を後ろに崩す。

 チックはその隙に、キングオークの(ふところ)へ入り込み、首を目掛けてナタを振り下ろす。

 完全に首を飛ばした、と思ったが……なんと、キングオークは首に腕を入れてガードしていた。

 キングオークの左手首は切り飛ばされ、左腕はもはや使いものにならなくなった。

 しかし、キングオークが間に腕を入れたことで、チックの攻撃の軌道(きどう)は変わり、逆にチックが隙を作ることとなってしまった。

 その隙を、キングオークが見逃すはずもなく、右手に持つ棍棒(こんぼう)をチックに向かって振りかざす。

 空中にいたチックは、その攻撃を避けることが出来ず、キングオークの攻撃を、まともに喰らってしまう。


“バーンッ”


 激しい衝突音とともに、チックは棍棒(こんぼう)で弾かれ、その先の壁に衝突してしまう。


「え……チック嘘だよね……」


 チックを心配するバーナだが、キングオークは、今度はバーナの元へと近づいていく。


「オイガキ。仲間ガ目ノ前デ死ヌ気分ハドウダ?俺ガヤラレタコトヲソノママヤリ返シテヤッタゾ」


 そう言うと、キングオークはいやらしく笑い、バーナを見下す。


「まだ……死んでねえよ……」


 キングオークが、声のする方を見ると、土で服が汚れたチックが、キングオークの方へと歩いてきていた。

 そう、あの時チックは、棍棒(こんぼう)で殴られる直前、腕を硬化させ、腕をクロスさせて、ダメージを軽減していたのだ。

 しかし、キングオークは、チックの方を見ると、(あや)しく笑う。


「ハッハッハ。生キテイタノカ」


 この時、なぜかキングオークの目はチックを捉えていなかった。

 その違和感に気づき、バーナがチックの方を見ると、なんと後ろから、死んだはずのオークが2体、チックの方へと走ってきていたのだ。

 オークもなかなかに強いのに、それが2体いて、前にはキングオークが立っている。

 バーナは、いくらチックでもまずいと思い、大声で叫ぶ。


「後ろからオークが来てる! 避けて!」


 その声で、チックは後ろにいるオークに気づき、咄嗟(とっさ)に横へと跳び、回避する。

 オークたちは、そのままチックの方へと向かうのかと思われたが、オークたちの動きは、全く予想もできないものであった。


 なぜなら、そのオークは更にスピードを上げて、キングオークへと突っ込んでいったからだ。

 これは、キングオークも想定しておらず、何が起こったのだ、と一時(いちじ)パニックになる。

 オークたちは、キングオークの元へ辿り着くと、次々と棍棒(こんぼう)で、キングオークの足を殴り始めた。

 何が起こっているのか分からなかったが、今しかない!と思ったバーナは、背中に付けている大鎌を取り、キングオークの方へ走っていく。

 キングオークは、バーナの攻撃に気づいたが、気づいた頃にはもう遅かった。

 バーナが大鎌を振るうと、それはキングオークの右足を捉え、次の瞬間、右足がスパッと()たれた。

 それにより、体勢を保てなくなったキングオークが、体勢を崩し、両手を地面につける。

 その時にはもう、チックは、キングオークの眼前(がんぜん)に迫っていた。

 キングオークが顔を上げると、既にチックはナタを振り上げている。

 容赦のない一撃が、ついに、キングオークの頭を捉え、キングオークは、首を切り飛ばされて絶命した。


「よっしゃああぁぁぁああ!!!」


 チックは勝利の雄叫(おたけ)びを上げる。

 しかし、まだオークが2体残っている。

 チックとバーナは、すぐに戦闘の体勢をとるが、残っていたオーク2体は、急に魂が抜かれたかのようにバタンと倒れる。

 何が起きたんだ、と2人は混乱するが、その時、後ろからヴィルが微笑みながら歩いてきた。


「いや〜上手くいってよかったぜ」


 すると、チックがヴィルに問いかける。


「お前、急に姿が消えたと思ったけど、どこ行ってたんだよ!?」


 実は、チックとキングオークが1対1で戦っている時、ヴィルはある作戦を思いつき、その場から離れ、死んだオークの元へ向かっていた。

 首が切り飛ばされたオークは無理だが、ヴィルが、『Virus(ウイルス) Shot(ショット)』で頭を撃ち抜いたオークは、脳がヴィルのウイルスで浸食されており、脳を浸食された生物は、ヴィルが自由に操ることが出来るのだという。

 つまり、ヴィルの作戦は、死んだはずのオークを生きているかのように見せかけてキングオークに隙を作らせ、最後は2人にトドメをさしてもらうというものであったのだ。


 そこまで話し終えると、2人は、ヴィルの能力の(おそ)ろしさに引いていた。


「脳を浸食したら操れるって、怖すぎるでしょ」


 ヴィルは、2人に危ない役をさせたことを謝り、キングオークの元へと歩いていく。

 キングオークの死骸(しがい)を見ながら、ヴィルは、ボソッと言葉を吐く。


「人間と魔物の共生。少なくとも、お前らみたいに人間を襲うようじゃ、実現は無理だろうな」


 人間と魔物の共生……それは、まだまだ先の物語である。


 ついに、オークの巣を攻略した3人は、オークを洞窟から運び出し、帰路(きろ)に着く。

 ちなみにこの時、1番ダメージを負ったチックだったが、オーク6体とキングオーク1体を抱えながら、家へと帰るのであった。


 家に帰った3人は、汚れた体を、買ってきた石鹸とタオルで拭いて綺麗にし、早速、夕食の準備をする。

 その日は、オークを丸焼きにし、調味料をつけて食べることにした。


 朝食、昼食をまともに食べていなかった上に、一日中動いていたことで、3人の空腹状態は限界に達しており、その美味しさは、より際立って感じられた。

 ちなみにその夜で、オーク1体をすぐに完食してしまった。(半分以上、チックが食べた。)

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