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殺人依頼掲示板

作者: 小鳥遊七海

私は菜々美と言います。

自分では普通の女子高生だと思っています。

比較的、お友達は多い方だと思います。何人いるか問われると困るのですが、友達の友達を含めれば千人ぐらいだと思います。世界中の人とは六次の隔たりしかない訳ですから、友達の友達を含めれば千人と言う数は少ない方でしょうか。

こういう掲示板に書き込むのは初めてなんですが、前の人に習えば、友達の人数以外に男性経験の人数も書いた方が見てくれる人が増えるみたいですね。

こちらは多分普通じゃないぐらい経験があります。詳しい人数なんて忘れちゃいましたが、両手じゃ足りないことは確かです。

あんまり自慢できるようなことでもないですから、次は私の趣味を書きましょうか。

私の趣味は詩とピアノです。

詩はストレス解消のために毎日ひとつずつ書いています。もう日記の代わりとも言えるぐらい日課になってしまいました。書きためた詩のノートはもう三年分になります。

ピアノは五才の頃から習い始め、今では初見の譜面でもつっかえずに弾けるぐらいにはなりました。

ピアノの音色は純粋でいつも私の心を癒やしてくれます。

何人も腰かけたから歪んでしまって、狂った音しか鳴らなくなったけど。

このふたつの趣味を説明するとシンガーソングライターになればと勧められるのですが、あまり興味はありません。なんて言うか他人を元気づけるのは苦手ですし、日々のストレスを受けている私としては「私の方が元気ないのに他人の面倒まで見れません」と言いたいぐらいです。

次の話題は外見とスタイルにしましょうか。

自分で言うのも妙ですがスタイルはいいと思います。ひっきりなしに男友達からお誘いがありますし、そういうことになれば特殊なこともしてあげられるほど胸はあります。

いつもあまり食欲がないので食べませんから太ることはありませんし、いろいろな用事で茫々を走り回りますから脂肪も少ないと自分では思います。

でも肌を見せるのは嫌いです。だからお気に入りの服は白のワンピースです。裾がふわふわっとしたスカートが好みです。でも私はよく破いてしまうので、もう一着も残っていません。もう一度着たいなぁ。

あ、気がついたら話が脱線してますね。

外見の話に戻します。

私、自分でも勿体無いことしたと思っています。

汚れても毎日お風呂に入って清潔にしていたし、まだニキビも出たことはありませんでした。女友達から嫉妬されるぐらい白い肌をしていましたし、濡れ烏色の髪は背中まであるストレートだったんです。

よく良家のお嬢様みたいだと言われてました。本当にそうだったらどんなに良かったでしょうか。

でも、洗っても洗っても取れないから全部切ってしまいました。もう少し我慢すればよかったなと思います。

それに嫉妬された女友達に殴られた痣がまだ治りませんから、今はあまり見られたくないなぁと思います。


自己紹介が長くなってしまいました。そろそろ本題に入らないと掲示板の文字制限で投稿できなくなってしまいます。

詩が趣味だというのはご承知の通りです。三年の間、書き溜めました。

普通の人なら自分が書いた詩のノートを見られると恥ずかしいと言うのかもしれませんが、私は思いません。いえ、反対に見てほしいと思っています。

その中には、詩と一緒に友達の顔写真、住所、電話番号、行動パターンが何人分も書いてあります。全部合わせれば千人は下らないでしょうか。

ここに直接書いても良かったのですが、それでは警察が動いてしまいますから、すぐに解決してしまってつまらないです。

私は直接見ることはできないけど、詩のノートを誰かが見つけ、中に書いてある詩に共感してくれて、私の代わりに実行してくれることを望んでいます。

千人分も書き溜めたのですから、毎日ひとりずつニュースになっても三年間は楽しめます。できれば一生楽しんでいたいのですが、それは無理みたいです。

……あ、最後のひとりのときに死んじゃえば一生かぁ。私、バカだ。簡単なことでした。


それでは、私の死のノート三年分は赤いタワーの下に隠しておきます。この赤いタワーがなくなる頃には私の世界も終わるのだから、ふさわしい場所だと思いません?



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