体育祭を楽しむリア充どもには無慈悲な鉄槌が下されるだろう
「ヨーちゃん頑張れー!」
「おう!」
かー、何言ってんのかね? たく女ってのはよお。
なにが『ヨーちゃん頑張れー!』か?
意味あんのかよ。そんな応援になんの効果があるのやら。科学的に説明できんのかよ。ただうるさい雑音なだけ。黙ってろてんだ。
シャーラップ。シャーラップですよ、皆さん。
「亮くんテーピング巻いて上げるね」
「お、センキュ……」
なんですって? テーピングぐれー一人で巻けよテメーはよお。女の世話になって子どもかよテメーは。
子どもみてーな男なんて見ててキモいんだよ。きーも、きーも、きーも。
「ちょっと務ったら、ヒートし過ぎじゃない?」
「うっせぇなあ、なんか用かよ」
「はい。冷却スプレー。まったく私がいなきゃなんにも出来ないんだから」
「おいなにすんだ、放せよ」
消え去れ悪霊! 十字架をくらえ!
なにい!? ツンデレと硬派キャラ。
大好物です。いや違う。現実では悪霊そのもの。
オーマイガ! 誰か助けてー!
「康一、一位おめでと」
「おー、あーりがと」
「後でお祝いしないとね」
「マジ? うぇーい」
シャーーラーーップ!!
お黙んなさい。神は決してお前らのようなものたちを許さない。
地獄へ堕ちろ!
天が許しても、この奨太さまが許さん!
「あれ? 奨太?」
振り替えるとヤンキーになった幼馴染みの順子だった。怖い。
「お、おう順子……」
「アンタ、四百メートルだったな。何位だった?」
「それは……四位」
「何やってンだよ。いいとこねーな。アタシは一位だったぞ?」
うるせーわ。……とハッキリ言えたらどんなにいいか。昔っからこの主従関係みたいなの変わんねぇ。どこかで逆転しないと……。
「はー、それにしてもノド渇いたわ。スポドリ持ってねえ?」
「あるけど水筒、口つけちゃったよ?」
「構わねぇよ、貸せ」
順子は俺の水筒を取り上げると、一気にそれをあおった。
いつも怖い順子だけど──。
スポドリを飲む姿に、汗が輝いて……。
「ホラよ。返す。ありがとな。全部飲んじまったからお前は水でも飲んでろな」
投げられた水筒を受けとる。
でも、これっていわゆる間接キス……。
それが妻との馴れ初めです。ご静聴ありがとうございます。体育祭バンザイ。




