新たなキャンパス
数分の時間が経ち魔力が切れたのだろう、覆われた炎の壁が消えた。その中には、若干火傷の跡はありつつも相良の姿がしっかりと残っていた。気絶しているようだ。ルナ王女は急いで救護班に声をかけ俺を関係者以外入る事の許されない彼女の自室へと運んだのだった。
「うぅ…いっ!」
「……!相良様!?相良様!お目覚めですか?御身体は?どこか痛いところはございませんか?」
目を真っ赤に腫らした彼女の頬には服の折り目の跡が赤くくっきりとついていた。
「…ん、あぁ大丈夫…
ぷっ!顔ひどいぞ。心配かけたみたいだね。ありがとう。」
彼女は頬を赤らめるとパタパタと部屋を出て行ってしまった。
俺は部屋を見渡すと彼女の侍女らしき女性と目が合った。
「相良様、この度は我々の招いた不手際に巻き込んでしまい大変申し訳ございませんでした。御快復喜ばしく思っております。それと、ルナ様にも御配慮頂いた事感謝申しあげます。」
「??…。さっそくで悪いんだけど俺はこれからどうするの?いろいろ聞きたいこともあるけど、勝手に呼び出された世界で処刑を待つほどお人好しでもないよ?」
「おっしゃるとおり、相良様を目の上のたんこぶのように思っている方々がいるのは事実です。ですが、不幸中の幸いと申し上げますか先日の騒ぎでルディオス陛下は貴方様を処分したと思っているようです。今現在相良様の存命を知っているのはルナ様を含め限られた者となっております。つまり…申し上げにくいのですが…」
「死んだことにして逃げちゃおうと」
「御配慮痛み入ります…」
まぁ当然の成り行きな気がする。情報が少なすぎて意見をさしこむ余裕もないけど、敵対しそうな相手が一国の第一王女ってんだから逃げの一手で間違いない。
「そっか。わかった!ルナ王女にはまたいつか会おうって言っといて!あとサンキュー!って。」
「!?さ?さんく!?ちょ!我が国の救済は?」
「まだ何も聞いてないし約束もしてないし?ニートじゃ何も役に立てないしさ!じゃあねー!」
俺は窓からすぐ側にあった木に飛び乗り、正面の門から颯爽と抜け出した。
「さぁ人生やり直すか!」