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何度だってあの花火を  作者: コーマ11
8/22

adrenaline

「今日が"金沢リゾート"の皆様と合わせられる最後の機会です! 刺身を作りたいと思いますのでグループに分かれて下さい」

という能登先輩の声で俺は"金沢リゾート"の3.4人と共にキッチンの前に立った。

俺らは第1班。

班長は俺、小松祐希が担当する。

第1班は刺身80食分を担当する。

「それではテストを始めます! 制限時間は1時間、よーい、始めっ!」

俺らは調理を始める。

マグロの頭をズバッと大きな音がなるほどの力で切り落とし、5枚下ろしと呼ばれる作業を行う。

マグロのひれに沿って縁取りをするように切れ目を入れる。それから背骨に沿って切れ目を入れて、背骨に沿って入れた切れ目から外側の切れ目に向けて包丁を入れ、身を骨からはがす。それは裏表行い、背骨と半身の上下の5枚に分ける工程だ。

難しい作業を終えた。

あとはマグロの赤身を切り分けるだけだ……。

俺は昔から器用だった。

やりたいと思ったこともいざやってみると簡単にできた。

そしてすぐに飽きた。

でもたった1つだけ、簡単に出来なかった、とても難しかった、飽きなかったことがあった。

料理だった。

俺は今まで1回も自分が上手く料理ができたなんて思ったことはない。

理由は簡単だ。

俺が美味い、上手い料理と認めているのは能登先輩の料理だけだから。

でも超えられない壁だとは思っていない。

だけど超えられない。

悔しさ以外には何もない。

輪島先輩はきっとリスペクトだとか、恋心とかの気持ちを能登先輩に抱いているんだろう。

俺は能登先輩を超えたい一心だから、超えられないのが悔しいんだ。

俺は刺身を捌き終わった。

すると"金沢リゾート"の人たちから、

「間に合わないっ!」

と声が聞こえた。

ったく、うるせぇなぁ、輩どもが。

俺は過去一ニヤニヤしてたと思う。

俺は"金沢リゾート"の人たちからフライパンを受け取って、

「任せとけっ」

と声をかけた。

ここなら、世界一楽しい料理をできる。

ここなら、世界一美味しい料理を作れる。

ここなら、俺が世界一カッコいい負けず嫌いになれる!

俺は自分の担当ではない料理も協力した。

俺ら第1班は10分の時間を余らせて料理を終えた。

"金沢リゾート"の人たちとハイタッチをする。

「すごいよっ! 小松!」

と輪島先輩が。

「やるじゃねーか」

と能登先輩が俺に声をかける。

「はい」

と単純な返事をした。

あんた達は俺が料理をいやいややってると思ってるでしょ。

だりぃ〜とか、めんどくせ〜とかそんな感情でやってると思ってるでしょ。

「先輩たちっ!」

と俺は声をかけた。

2人は振り向いた。

俺はしっかり前を向いて、ニヤリとしてこう言った。

「超がつくほど料理、楽しいっすよっ!」

すると能登先輩がそっぽを向き、「ふんっ」と鼻で笑って、

「当たり前だ」

と言った。

そして俺は輪島先輩とハイタッチをして、輪島先輩にバドンを渡した。


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