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何度だってあの花火を  作者: コーマ11
20/22

感謝を記した1つの皿

私と小松は同時に調理を始める。

もともと今日作る料理は刺身だったが、急遽予定を変更した。

石川のブランド牛を用意する。

その名は能登牛。

能登牛の挽肉に卵を混ぜ込む。

両手でしっかり丹念を込めて。

これは私が一番得意とする料理。

そして能登さんが唯一、作ろうとしない料理。

能登さんを超え、新しい自分になるための……。

あの2人と能登さんに感謝を伝えることができる料理。

北介さん、ありがとうございます。

今なら私の最大の力を出せる!

私と小松は料理を終え、ハイタッチをした。

そして私は歩き出した。

そこは両親の部屋だった。

私が運んだ。

私はそっと扉を開けて叫ぶ。

「お母さん、お父さん!」

すると2人は振り向いてニコッと笑う。

「美香……来てくれたんだね?」

お母さんが言う。

「うん。私が作ったよ。食べて欲しい」

私が机の上におぼんを置くとお母さんはとても驚いた顔をする。

「美香……ありがとう」

と言ってお母さんは涙を流した。

するとお父さんがお母さんに向かって、

「まだ泣くのは早いんじゃないかい?」

と言った。

そしてお母さんとお父さんは箸を持ってハンバーグを食べようとする。

ハンバーグを押すとジュワッと肉汁が溢れ出す。

ナイフでカットして、ハンバーグを頬張る。

するとやはりお母さんは泣き出した。

「美香……ありがとう!」

「こちらこそだよ。お母さん」

「美香? 私ね、さっき女将さんに聞いたの。美香にとってとても大切な人が亡くなって、美香がすごい落ち込んでるって……。そりゃ、子供がある程度成長したら親から離れるのは当たり前だけど、それでも自分たちが美香に何もしてあげれていないことにすごい申し訳なくなって……」

母が涙を堪えながら語るのを見て私は話し始めた。

「お母さん……お母さんが私に何もしてないって言うのは勘違いだよ。だってさ、あの時焦って進路を決めていたらこの道にいなかった。先生から電話がかかってきてもお母さんはもう少し待ってくださいと言って私の判断を待ってくれた。私のいきなりの料理の道に進みたいと言う発言にも笑って受け止めてくれた。私に料理という凄く楽しい道を開けてくれた。お母さんに今料理を作れていることが何よりも私にとっての幸せだよ」

幸せ。

一番の幸せを今私は体験している。

能登さんと言う愛した人を亡くしたけれどもあの人は私にとても多くのものを残してくれた。

幸せを残してくれた。

あれ?そういえば……。

彼が残したもの……。

「お母さん、お父さん! ありがとう! 明誠荘……楽しんでね!」

と言って、私は急いで厨房に向かう。

私は厨房に入って料理台の横にある棚を開ける。

そこには『明誠荘日記』と書かれたものと『レシピ』と書かれたものがあった。

『明誠荘日記』から私は開いた。

そこには私の名前や小松の名前、明誠荘の人たちの名前が書いてあった。

起きたことや楽しかったことが日記として書かれていた。

そして最後は必ず「○○○○年△月□日。」という形で締め括られていた。

私はもう1つ『レシピ』を開いた。

色々な料理の能登さんレシピが書いてあった。

私は最後のページを開くとそこには「輪島へ」という言葉から始まる手紙が書かれていた。

私はそれを最初から読んだ。

「輪島へ……」




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