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何度だってあの花火を  作者: コーマ11
15/22

不穏

私は気づかなかった。

いや、疲れていることに気づいていたが能登さんに料理させることを優先させてしまっていたのだ。

全ては私と小松が使えないからだ。

2人だけじゃやっていけないから能登さんに頼ってばかりでいた。

「能登さんが倒れた!? それで今どこに……」

私は女将さんと話していることすらも忘れてつい声が大きくなってしまった。

「今は加賀中央病院に運ばれたみたいだよ。様子……見に行くかい?」

「当たり前です」

私は女将さんの質問に早く答えた。

すると後ろから小松が、

「俺がも、連れていってください」

と真剣な顔をして訴えかけた。

すると女将さんが、

「車に乗りな、私が送る」

と言って車を指差した。

車はいつも通り見慣れた光景をただ通り過ぎていくだけなのに全くいつもと違く見えた。

カラーのはずの現代がまるで、白黒の過去に戻ったようなそんな感覚だ。

「おっ、女将さん、能登さんの意識は……」

と私が小声で聞く。

「分からん、まだ情報は入ってないよ、でも病院に運ばれた時は意識はなかったようだよ」

と女将さんは答えた。

女将さんは続けて私たちにこう尋ねた。

「あんた達、大輔がいなくてもお客さんに料理だせる? 2人で回せる?」

と聞いてきた。

私は咄嗟に、

「何を言ってるんですか! 能登さんがいなくなるとでも!?」

と怒ったような口調で女将さんが言った。

すると女将さんが笑いながら、

「違うよ、ごめんね勘違いさせるような言い方して。当分は大輔も休憩させてあげようと思うんだ、だからあんた達で頑張ってほしい」

と言った。

私は申し訳なくなって、

「ご、ごめんなさい」

と言った。

私たちは病院に着いた。

急いで能登さんの部屋に向かった。

私は深呼吸をして扉をそっと開けた。

するとそこにはこっちを見て、ニコッと笑う能登さんがいた。

「迷惑かけてごめんな」

と能登さんが言った。

私は恋人でもなんでもないのに安心して能登さんに抱きついた。

「能登さぁーん! 本当に良かった」

私は能登さんの体温に触れながら、能登さんの命を感じた。

小松も、

「良かった……」

と落ち着いた様子で言った。

すると能登さんは私たちの後ろを見て、

「女将さん!? ごめんなさい、こんなとこまで」

と謝った。

「ふん、大輔。良かったよ」

と女将さんは笑いながら答えた。

そして何分か話した後に帰ろうとして廊下に出るとそこには能登さんの両親と医者が立っていた。

医者が、

「能登様と一緒に働いている方々ですか?」

と聞いたので、女将さんはうなづいた。

私たちと能登さんの両親は能登さんの病に関して話したいと別室に呼ばれた。

医者が話し出した。

「能登様は症状は肺がんです。発見がだいぶ遅れたためもうすでにステージ4。おそらく来年の春を迎えることは難しいかと……」

その瞬間、能登さんの両親は涙を流し、私の心臓はとても冷たくなった。


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