ドワーフ生まれる
ど、どこだここ……
白い空間に突然放り出されたおれは自分の記憶があいまいなのに気付いた。
「あれ。俺は上司に頭ペコペコ謝ってそれを灰皿で殴られて……頭が……痛くない?」
「こんにちは、風酒 嫌矢くん」
暗闇の方で誰かが急に話しかけてきた。
「こんにちは、どこにいらっしゃるんですか?」
もしかして目が見えなくなっちゃったのか?
そう思いながら声に応答すると。
「あなたは死にました、ご愁傷さまです」
「はぁ? 何言ってるかわかんないよ、ならどうして俺に意識あるですか?」
「それにはちょっと事情がありまして……あなたがあんまりにもゴニョゴニョなので、転生して差し上げろと上司からいわれまして」
「はぁ、お互い上司には苦労するよな」
「ホントそうなんですよ! 私は転生の神様でもないただの草神なのに、お前の世界に転生させてやれなんて無茶いって困らせられてるんです!」
「草神って珍しい神様だな」
「意外と多いですよ草に宿る神様、知られてないだけで……いつも人間型ばかりが優遇されるのです……」
「おい、もしかして俺も草に転生とかいうんじゃないでしょうね?」
「それは大丈夫ですけど、どの種族になるかは決められないんです、生まれた瞬間に様々な生物が生まれるのでどこに生まれるかはランダムですね」
「まじで?! 動物とかの可能性もあるんですか?」
「あり得ますね」
「きっちーなそれ……」
「お察ししますが皆さん同じなので運に頼ってください」
「みんな同じならしょうがないですね……」
「その代わりといっては何ですが、草のスキルを与えましょう」
「おお、ありがとうございます!」
「では、頑張ってくださいねーよい人生を」
「草神様ありがとうございます!」
「調子いいですね……ま、いいでしょう、最上級スキルを上げましょう!」
「おぎゃああああああああああああ」
「ぷっはーーーーーー、おお生まれた生まれたー!祝い酒じゃああああああああああああああ」
「あなたわたしにも酒くださいよーーーー!」
「いやじゃこりゃわしのもんじゃ、それに子供を産んだばかりの体にはお酒はやれん! さすがに具合が悪くなるじゃろ?」
おおおおお、何やら人間型の種族に生まれたみたいだ!
ラッキーーー!
「あなたちょっとその酒を……あたたたた」
「大丈夫か? シンディ」
「ええ、大丈夫よ。あなたがお酒をくれるともっと大丈夫になるんだけど……」
なんだこのにおい……酒か?酒の匂いなのか? くっせーーーーーーーーー!
「う~~ひっく、儂の子じゃああああああ、よくやったぞーーーーーー! よくみると男じゃ男じゃ! 立派な鍛冶職人にしてやるぞおおおおおお」
「あなた男ほしかったみたいですしよかったですね」
「よかったわーーーーーーい! これで隣のジャストンにも自慢できるぞい!」
ぷっは―と酒の息を俺の顔にかけるので、あまりの臭さに暗転して眠ってしまった。
「なんじゃこいつもう眠りおったわい」
という声を聴きながら……