何番目かなんて関係ない。
「あぁ、やっと、やっとです。」
一人の男は感極まった様子で瞳に涙をうかべ唄った。
「あなたの望まれる国が出来ました。」
一人の男は在りもしない空虚の中縋り付くように手をのばした。
「もう目を覚ましても、誰も咎めません。誰も憎みません。誰も傷つきません。」
一人の女は目を閉じて、まるで回想しているかのように胸に手を当てた。
「私たちが、民が、国があなたの事を待っているのです!」
一人の女は誰かに訴えかけるかのように強く強く叫んだ。
「玉座が、今か今かとそなたのことを首を長くして待っておるぞ。」
一人の男の子は年不相応な口調で嘆いた。
「早くあなたの声を、全てを見透す瞳を私に見せてください。」
一人の男は心の底からありったけの思いを込めて呟いた。
しかし、彼ら彼女らの先で眠っている「あるもの」はまるで永久の眠りへと着いてしまったかのように深く深く眠っている。
その姿に誰もが胸を打たれ、跪き祈りを捧げようとしてしまうほどの神聖さと恐ろしさを兼ね備えていた。
それは外見から来るものでは無い。
「あるもの」のこれまでの姿、発言から来るものであった。
これは、今までの世界の理と固定観念を覆した一人の小さな王子の話である。