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74話 ドイツへと着いた少女

 ドイツへと向かう美月と綾乃。

 そして、リーゼロッテ……彼女達はまずは中国に向かい進んだ。

 すると目の前から赤いイービルが姿を現す……斉天大聖だ。

 リンチュンに再会した美月達は会話を交わすと再びドイツへと向かうのだった。

「ついた!」


 ある建物が視界に入るとリーゼロッテは指をさし嬉しそうな声をあげました。

 恐らくそこが彼女の家でしょう。


「ちょ……」

「うわぁ……」


 美月は思わず感心してしまうほど大きな建物。

 ですが、同じお嬢様である綾乃は本当に驚いている様です。


「ついたってまさかアレ!? 全部!?」


 そう目の前に映る光景は……信じられない物でした。

 工場があるのは当然としてその奥には立派な屋敷。

 一体どの位広いのでしょうか?

 東京ドームがあった時は比較例として出されたそうですが、今比較対象にされても美月は実際に見た事が無いので分かりません。


「さぁ? でもすぐ迷子になる位広いですよ」

「そりゃ迷子になりそうだね……」


 綾乃は乾いた笑い声をあげながらも、キョロキョロとし始めました。


「どうしたの? 綾乃ちゃん」

「いや、何処に降りようかって……一応はアタシ達の話は通ってるはずだけど……ドイツ語分かんないし」


 それは美月も同じでした。

 いきなり話せと言われても無理でしょう。


 寧ろリンチュンとリーゼロッテの二人が日本語を話せることの方が凄いと感心するほどです。


「大丈夫、伝えます」


 リーゼロッテはそう言うと、何やら無線で話し始めました。

 当然美月と綾乃にはちんぷんかんぷんでしたが……。


「こっちです、案内しますね」


 という彼女の言葉を聞き、不安になった綾乃は――。


「ま、待って待って! 日本語通じる人いる!? その人に案内させた方が良くない!?」


 と言いました。

 すると――。


「そ、そうですね、今お願いしてみます」


 彼女は自分自身が迷子になりやすいのを十分知っているのでしょう。

 はっとした声で再び通信を使い始めました。


「今繋ぎます」


 そして、そう言うと……。


「はぁい! えっと日本から来たアヤノにミツキかい? 可愛い名前だね! 僕はアードルフ」


 向こう側から聞こえてきたのは陽気な声。

 それを聞き美月は思わず固まってしまうのですが……。


「なんか、軽そうな男の声が聞こえたんだけど」

「ははははははははははっ! とにかく案内するよそこから真っ直ぐ進んだ所……今も見えると思うけど工場があるだろう? そこにハンガーがあるんだ! 来てくれよ!」


 そういう彼の言葉に従い、美月達は移動を始めましたが……。


「すぐそこに見えてるなら別に頼まなくてよかったかな」


 と言う綾乃の声を聞き、美月は乾いた笑い声をあげるのでした。

 彼の案内の元、ハンガーへとイービルを運んだ美月達。

 期待から降りるとリーゼロッテが一人の男性へと駆け寄って行きました。

 そして、彼へと抱きつくと嬉しそうな声をあげます。

 誰だろう? と美月達は疑問に思う事はありませんでした。

 瞳がリーゼロッテそっくりだったのです。

 恐らくは彼が父親でしょう。

 その隣にいる女性にもリーゼロッテは抱き着き喜んでいました。


 彼らは挨拶が済むと美月達に目を向け――。


「グーテンターク!」


 と言いながらリーゼロッテの父親は両手を広げました。


「こ、こんにちは……」


 美月は彼へと日本語で返すと頭を下げました。

 その時です急に抱き着かれた美月は驚き。


「ぴぃ!?」


 変な声をあげてしまいます。


「み、美月!? い、今聞きなれない声が聞こえたけど!?」


 当然、綾乃も驚くのですが……。


「ってあたしはいい!? って言うか日本には――!?」


 焦る声が聞こえ、美月から男性は離れていきます。


「ちょ――!?」


 そして、綾乃もまた抱きつかれています。

 一体なにが起きたのか? なんて考える必要はありません。

 彼はただのあいさつでハグをしただけでしょう。

 ですが、日本にはそう言った習慣はなく、二人は固まってしまいました。

 それを見た、女性は男性に近づき、耳を引っ張るとなにやら怒っています。


「ええっと……二人ともごめんね?」


 そしてリーゼロッテは申し訳なさそうに謝り……。


「ファーター……お父さん、私を連れて来てくれてありがとうって……」


 彼女の言葉を聞き美月達は慌てて首を振ります。


「だ、大丈夫だよ」

「び、ビックリしただけだから……でも、もうやめてねって言っておいて……?」


 気を遣う美月と一応はっきりと口にした綾乃。

 二人は怒られている彼女の父親を見て……。

 そりゃ、いきなり女の子に抱きついたらそうなるだろうと思いましたが、ここは日本ではないので女性……恐らくはリーゼロッテの母親の方が日本人に詳しかったのではないかと考えなおしました。


 その後は彼らの案内の元、屋敷へと向かっていきます。

 どうやら食事を御馳走してくれるそうです。

 ですが、美月達はそれよりも気になる事があったのです。


「その天使(アンゼル)レーダーって何処にあるの?」


 先程話にあがった天使の位置を把握する機械です。

 恐らくは工場にあるのだと思いましたが、リーゼロッテは……。


「あそこ!」


 途中にある大きな塔へと目を向けたのでした。

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