69話 迷子を保護した少女
リーゼロッテを支部へと連れてきた美月達は伊逹に促され司令官に報告へと向かう。
そこで知った事実は彼女は日本でも使われいるイービルの武装を開発する会社「エーベルト」のご息女。
正真正銘の貴族だったという事だ。
連絡も無しに国境をまたいだことに対し、司は対処をすると良い……。
その見返りに武器を見せて欲しいと彼女へと告げるのだった。
司に報告をしてすぐの事です。
施設のゲストルームで3人はテレビを見ていました。
リーゼロッテの事はニュースになっていました。
突然現れた機体により、市民が救われたという事。
そして……。
『どうやらあの期待はドイツ製であり、許可を得ていない状態で入国……これは、どういう事でしょうか?』
『幾ら友好国とはいえ、これは良くないですね……そうそうに……』
『あ、待ってください、速報です……』
そのニュースの中で知らさせる速報は連絡が遅れてしまっていたという事。
ですが、司の出した案はあまり意味を成していません。
『遅れていたならどの道侵入ですね。悪魔乗りも確認をするべきです』
『そうですね、現在は日本支部に身柄を確保されているとの事で――』
それを聞き綾乃は大きく溜息をつきました。
「意味ないじゃん……」
分かっていた事です。
ですが、もしかしたら……と言う風に彼女も考えていたのでしょう。
「やっぱりリーゼロッテさん、訴えられちゃうの?」
美月は心配そうにリーゼロッテの方へと目を向けます。
「…………」
そこには不安そうな少女が一人。
彼女の手助けになりたいっと美月は考えましたが、自分ではどうこうすることはできません。
「ごめんなさい」
彼女は謝罪の言葉を口にします。
「ま、まぁなんとかなるっしょ……こっちは助けてもらってるんだし、それさえも考慮しないなんて事無いと思うよ!」
綾乃はそう言い、美月もそれに賛同します。
こくこくと頷いてリーゼロッテの方へと目を向けた彼女は……。
「だ、大丈夫、だから……ね?」
と優しく語り掛けました。
するとリーゼロッテは泣きそうな顔になりながら美月に抱きつき。
「わわっ!?」
美月は思わず慌ててしまいます。
ですが、リーゼロッテは気にする様子もなく彼女に頬ずりをし……美月は何とも言えないくすぐったさを感じました。
「あ、ありがとうございます、ありがとうございます!」
と彼女は嬉しそうに言うので美月はされるがままになっていました。
そんな彼女達を見て……綾乃は……。
「う、羨ましい……美月に……頬ずり……」
「え? 何? 綾乃ちゃん」
何かが聞こえた気がした美月は綾乃の方へと目を向けますが、彼女は首を横にぶんぶんと振り……。
「なななななな、なんななな……何でもないよ!?」
普段は絶対見せないような焦りを見せていました。
そんな彼女に美月は疑問を浮かべるのですが、綾乃は答えてくれません。
ですが、美月に対する態度が変わったという訳ではなさそうなので、聞かれたくない事でもあったのかな? と彼女は考える事にしました。
「日本人皆、やさしい!」
そんな中、リーゼロッテは笑みを浮かべて美月に抱きついたままそんな事を口にし……。
美月と綾乃は一つ不安な事が生まれました。
「あの……」
「あのさ……リーゼロッテさん?」
二人の声は重なり、ようやく離れたリーゼロッテは可愛らしく小首を傾げます。
「女の子に抱きつくのはまだ良いけど、男の人に抱きついたら駄目だよ」
「…………そ、そうだよ?」
二人の言葉にリーゼロッテは眉をひそめます。
「日本人はシャイって本当だった……」
そして、そんな事を口にし何処か納得いかないような表情のまま。
綾乃へと近づくと彼女にも抱き着きました。
それを見ると美月の中でまたもやっとした何かを感じ……。
なんだろう、なんで……私……今嫌だって……思ったのかな?
複雑な気持ちになった彼女は頬を膨らませます。
すると綾乃にその様子を見られてしまい。
「美月? 何で不機嫌なの?」
「知らないっ!」
彼女に尋ねられると美月はそう言ってぷいっとそっぽを向いてしまうのでした。
その様子は何処から見ても不機嫌そのもの。
そして、そんな態度を取られた綾乃は悲しそうな表情を浮かべます。
「えっと、アタシなにかしちゃった?」
「…………」
美月は自分でも悪い事をしてしまったと分かっているのでしょう。
恐る恐るといった感じで彼女の方へと目を向けます。
すると、彼女の顔が目にとまり、申し訳ない気持ちになった美月は謝ろうと思ったのですが……。
「えへへ~」
嬉しそうなリーゼロッテに抱きつかれ、困惑と悲壮、嬉しさの表情を入り混ぜた複雑そうな綾乃を見て……。
「~~~~」
再び何かもやもやとすると美月はぷいっとそっぽを向いてしまいます。
そして、そんな彼女の態度に再びショックを受けた綾乃でしたが……。
もしかしたら? と思う所があったのでしょう。
何故か笑みを浮かべており……。
美月は美月で綾乃の事が気になり再び、目を向けると嬉しそうな表情に変わっている綾乃を見て……。
思わず瞼を下げ彼女の顔をじーっと睨むのでした。




