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21話 出会う少女

 美月の他にマナ・イービルの悪魔乗りが居る。

 そして、その少女は日本に来ると言われ、二人はその客人をもてなすことに……。

 果たしてその少女とは?

 そして、吉沢に連れ去られた美月の運命は?

 地獄の検診の結果は問題はなく終わり、数日後……。


 美月達は綾乃の父……司令官の部屋へと招かれていました。


「何事も無くて良かったよ」


 くすくすと笑う綾乃の横にちょこんと座る美月。

 流石に検診の時は部屋に入って来る事は無かった綾乃でしたが、お医者さんが検診をするとの事でその場にいる必要のない吉沢を引っ張って行ってくれたことから彼女に対する信頼はより厚くなったようです。


「それで、これがその子情報だ」


 司令官にそう言われ、美月は顔をあげます。

 するとそこには猫を思わせる可愛らしい釣り目と整った顔立ち。

 耳の上でシニョンというのでしょうか? 布で包まれ丸く固められた二つの髪。

 そして、その写真の横にはプロフィールでしょうか?

 名前が書いてありました。


「リン…………チュン? 中国人の子……ですか?」


 美月は彼女の名前を読み尋ねます。

 すると横に居た綾乃は何とも言えない表情になり……。


「父さん……じゃなかった司令官……」

「なんだ? 差別的な発言は禁止だぞ」


 すると綾乃は大慌てで首を横に振りました。

 美月は彼女がそういった差別はしないと分かっていましたが、司令官は違うのでしょうか?

 ふと疑問に思っていると綾乃が喋り出します。


「いや、吉沢さんが好きそうだなって……この子、本当に来るの? 絶対変態が居る国だーって思われるっしょ!?」

「………………出来る限り接触はしないように配慮しよう」


 それは司令官も考えていたのでしょうか?

 長い間を置きそんな事を答えました。

 美月はそのやり取りを見てどこかおかしい、と思いくすりと笑いますが。

 今話に出たせいか信乃の怪しい笑みを思い出し、身震いをします。


 綾乃が言っている事が本当なら彼女もまたあの餌食になってしまう。

 何とかして守らないと、客人に変態が居る国どころか、変態に襲われた国と言われ、世界の危機という現状で戦争が始まってしまうかもしれません。


 そ、それだけは避けないと……。


 美月はそう思いつつ、彼女の写真を眺め続けました。


「彼女は今日の正午に着く、では頼んだぞ二人共」

「「はい」」


 二人は揃って返事をし、敬礼をします。

 慣れたとはいえませんが……それでも一応は形にはなりました。

 そんな二人は客人のリン・チュンと言う少女はどんな子だろうと……楽しみにしながら正午を待つのでした。







 そして、時間はあっという間に過ぎ。

 正午になると、武装をした男性達が施設の入口にやってきました。

 元々は銃刀法違反と言うものがあった日本でしたが、今はそんな事を言っていられません。

 身を守るための武装はしても良い事になっています。

 別段珍しくも無いので美月達は彼らを見ても驚きませんでした。

 ですが一人、その男達の間から小柄で可愛らしい少女が現れます。

 顔写真と同じ少女リン・チュンです。

 彼女を見るなり綾乃は――。


「うわぁ……」


 と呟き、美月達の近くに居る男性は生唾を飲み込みその音が聞こえました。

 美月は彼の方へと向くと彼は慌てたようにそっぽを向いてしまいます。

 どうしたのだろう? 疑問に思う美月でしたが……。


「でかい……」


 という新谷の呟きが聞こえました。

 それは美月を更に困惑させます。

 現れた男達は確かに大きいです……ですが新谷の視線は少女に向かっており……。

 一体なにが大きいのか? 良く分からなかったのです。

 ですが、よくよく彼女を見てみると美月はようやくその意味に気が付き、新谷に軽蔑を含んだ瞳と声で告げました。


「……さ、最低……です」

「い、いや!? 僕は何も! って、って言うか男なら仕方ないんだって!?」


 言い訳をする彼から一歩二歩と下がる美月は綾乃の袖を引っ張ります。

 すると綾乃は……。


「うん、あれなら大丈夫っしょ……あの人寄って行かないかもねー……」


 と呟き美月は首を傾げます。


「あの人って吉沢さん?」

「うん、どんなに可愛くてもーギャルとか、妙にデカいのは嫌いみたいなんだよね」


 そう言われて美月は自分の胸へと目を向けます。

 そこには控えめな物があり……今度は綾乃の方へと目を向けると自分より大きなもの。

 そして、吉沢を思い浮かべると自分より平坦だったような? と思い出し……最後に目の前にいる少女へと目を向けます。


「…………うん」


 理由を察した美月は普段気にした事は無いのに、そのあまりも違う差を感じがっくりと項垂れました。


「み、美月!? あの子なんか走って来てるよ、走らせたらまずいって!?」


 綾乃に言われ再び顔を上げると彼女は短い距離を息を切らせながら走ってきます。


「に、にーは……けほっ」

「ああっちょっと!? 走らない方が良いでしょ、苦手だろうし」


 むせる彼女を気遣う様に近づく綾乃を見て美月も彼女の近くへと寄りました。

 少女は頷き息を整えるように深呼吸をすると……。


「ニ……」


 と何かを口にしつつ笑みを浮かべたかと思うとすぐさま慌てたように言い直します。


「はじめまして!」

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