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30話 天使のアジトと戦乙女

「前、前!!」

「ひ、左、左も擦りそうです!!」


 二人の声が響く社内で一人の女性はいらだっていました。

 ですが、自身の運転技術は把握してるのでしょう。


「チッ……」


 舌打ちをするだけでとどまっていました。

 しかし、乗っている二人は気が気ではありません。

 下手をしなくても事故になりそうなのです。


 そんな状況で騒がずに乗ってられる人はまれでしょう。

 しかし、事故をしないことが不思議なぐらい順調に進んでいくと……。


「ついたぞ……」


 美月たちは車からヘロヘロになりながら降りました。 

 すると平然としたクラリッサは二人を見つめ……。


「帰りは運転を頼むぞ」

「いや、免許無いからね?」

「わ、私もです」


 二人がそう言うとクラリッサは困ったように腕を組みました。


「さて、ここが渡されたタブレットに記されていた座標だが……」


 しかし、今帰りの事を考えても仕方がない。

 そう思ったのでしょう。

 クラリッサはそう言うとタブレットを操作します。

 ですが、見渡す限りただのがれきの山。


「ここが本当にそうなの?」


 綾乃は首を傾げながら辺りを見回します。

 確かに物陰は沢山あり、隠れることは出来そうです。

 しかし、天使の本体……宇宙人と言ったほうが良いのでしょうか?

 それの基地があるように見えないのです。


「……地下とか、かな?」


 美月はそう口にするとクラリッサは首を振ります。


「いや、それはないだろう……あれを見てみろ」


 彼女が指を差す方。

 そこにはアスファルトが砕け、地面が割れているのが見えました。


「ここの地下は確かに空洞になっている。だが、強度が低い、いつ崩壊するかもわからん……それが分からない連中ではないはずだ」


 彼女はそう言うと……。


「でも事実どこにもないじゃん!」


 綾乃は反論します。

 彼女の言う通り目に見える範囲には何もないのです。


「そう騒ぐな……」


 クラリッサはそう言うと計測器のようなものを取り出しました。


「それは?」

「特殊な電波などを調べるための道具だ……携帯天使レーダーといってもいいだろう」

「そんなのできてたんですか?」


 美月は驚きつつもそれを使うクラリッサを見つめます。

 すると……。


「いや、これは昔からあるものだ……精度は高いが、調べられる距離が自信を中心に50mと狭い」

「狭すぎ」


 思ったより使い勝手が悪いことに綾乃はがっくりと項垂れました。

 そんな彼女に対しクラリッサは「そうだな」と答え続けます。


「当時から今までどうあがいても天使レーダーは進歩を見せなかった……だが、お前たちの活躍で現在の天使レーダーがこいつに追いついたわけだ」

「つまり、それって最初から天使レーダーを使えばよかったって事じゃ?」


 綾乃はげんなりしながらそう口にしますが。

 クラリッサは首を横に振りながら、辺りを歩き始めました。

 その理由は何となくですが美月にもわかったのです。


「天使レーダーを使うには司さんの許可も必要? ましてや積んであるジャンヌ達も出撃許可も出てないし、あっちの方が小回りが利かない……ほかの人に追いつかれでもしたら……」

「そういう事だ……こいつは私個人のものだ。現地までくれば探し当てることも可能だ……そして……」


 にやりと笑みを浮かべたクラリッサは二人の方へと目を向ける。


「見つけたぞ?」


 そう言って指を向けたのは真横でした。

 そこには廃屋があり、とても人が住んだり基地になっているようには見えません。

 二人は同時に首を傾げるのですが……。

 クラリッサは地面や壁を調べ始め。


「誰かが入り込んだ跡があるな……荒い……おそらくはあの地底人だろう」

「レンちゃんが!?」


 美月は慌ててその扉へと手をかけ開きます。

 しかし、廃屋は廃屋。

 何もありませんでした。

 訴えるようにクラリッサを見ると彼女は皮肉気に笑い。


「落ち着け聖女……私に任せておけ」


 そう言って開いた扉を閉じるのでした。

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