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23話 調べる戦乙女

 美月たちは天使の元へと連れられました。

 コクピットの中を見ると確かにコントロールオーブはないのです。

 だが、間違いなく魔法を使っていました。


「どう?」


 しかし、オーブがないのでは動かし方を知るのは綾乃とクラリッサだけです。

 手に入れた機体を彼女たちが調べるのですが……。


「ナニコレ全く分かんない!!」


 綾乃は思わず叫び声をあげます。


「文字はともかく、イービルとは異質なものだな」


 彼女はため息をつきながらコクピットから降り、天使を睨みます。

 そう、何の情報も得られないのです。


「一体何なんだ……」

「わからない」


 彼女の問いにそう答えたのはフローレンスです。

 彼女は申し訳なさそうにふさぎ込み……。


「ブラックボックスも解析できなかった……いつもならできたのに……ただ、言えることは前の機体には美月たちの機体と同じ玉があった」

「え? どういうこと?」


 同じくコクピットから出てきた綾乃は首を傾げながらフローレンスへと問います。

 するとフローレンスは機体へと手を当て……。


「これにはミュータントが入ってない」

「ちょっと待って!? なんでミュータントが出てくるの!?」


 驚きの声を上げたのはリンチュンだ。

 彼女はフローレンスへと近寄ると……。


「おかしいでしょ! ミュータントは人間にしか寄生できな――」

「ミュータントは奴らの技術……機械に寄生するものを作るぐらいなら訳ない」


 そう言われてしまい、思わず黙ってしまいました。


「それは戦闘データとかを回収する役割もあった……だから、それを奪って色々研究できた」

「でも今回はない……それに前はオーブがあったのは確かなの?」


 美月はフローレンスに対し、そう聞いてみます。

 すると彼女はゆっくりと頷きました。

 嘘を言って彼女が得することはないでしょう。

 だが、事実目の前の天使はまるで……。


「これ……イービルを参考に作られてるみたい」

「そうですね、なんかそんな感じがします……」


 相手が何を考えているのかは分からないのです。

 だが、フローレンスが言っていることから考えると天使が悪魔を参考にしたとしか思えません。

 戦闘データを持ち帰り、独自に作った悪魔。

 おそらくそれぐらいの技術はあることは間違いありません……。


「何それ! こっちが必死に作った機体を軽く超えるなんて……そもそもなんでこっちの技術が!」


 綾乃は苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべ……そう言うのでした。


「それは分かりませんが……つまり、これはわざと倒させたという事でしょうか? こちらに機体を渡しいつでも殺せると示すために」


 リーゼは不安に駆られたのでしょう。

 そう言うと自信を抱きしめるかのようにします。


「いや、それは考え過ぎだ……我々は協力しようやく倒したんだ……奴らはわざわざ同じような機体を造った……その理由は分からんが……」


 彼女はそう言うと天使を叩き始めました。

 そして獰猛な笑みを浮かべると――。


「これを解析すれば我々の機体はさらに上に行けるという事だ」

「……そんなうまい事行くわけない」


 リンチュンはあくまで冷静にそう訴えます。 

 確かにそう思って当然です。

 今の機体だって以前のイービルよりもはるかに強い機体なのです。

 だというのにそう簡単に次に行けるとは思いませんでした。


「ああ、技術的な面ではな……素材も違うだろう、だからこそイービルはそう簡単に次には行けんな」


 するとクラリッサは目を閉じ頷きました。

 その言葉に一同は呆れかえります。

 彼女が次に行けると言ったのに行けないと言い換えたからです。

 意味が分からない。

 そう思っていると――。


「だが、機体を調べることでどこの装甲が脆いか、どの程度のスペックがあるかの予想はつく……我々の機体が劣っているとは思えん、なら戦闘技術の方を上げることで奴らを越せるはずだ」


 そう、クラリッサの考えは今の機体の強化というより、悪魔乗り達の強化だったのです。

 そして、それを知った美月たちは目を合わせます。

 確かにそれならば現状よりも強くなれるでしょう。

 そして、あの天使たちを倒すことも十分に可能なのかもしれません。


「そういう事なら、俺達に任せておけ!!」


 伊達は腕を組むと頼もしい一言を口にしてくれました。 

 彼が言ってくれるならきっと大丈夫だ。

 美月たちは頷き――。


「現状はコンビネーションを高めていく訓練だ! 奴らも新型を奪取されたことに焦り、仕掛けてくるだろう……」

「なら、しっかりと訓練して、休むことが大事だね」


 美月がそう言うと仲間達はその瞳に穂村を宿したかのように頷くのでした。

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