19話 天使を狩る戦乙女
「破ああああああああああああ!!」
迫りくる天使へと向け、機械とは思えない柔軟な動きで攻撃を避けた斉天大聖は拳を機械仕掛けの天使へと叩き込みます。
それに合わせるようにパラケルススが銃を放ち。
リンチュンは背後から迫る彼女の銃弾を避けると……それは天使へと命中しました。
「よし!!」
美月たちの真似をした彼女たちですが、どうやらうまくいったようです。
「良いぞ、数が減っている!!」
天使を表す点は光を失い。
徐々に彼女たちの優勢になっていく……。
だが、敵の天使もやられっぱなしではないのです。
『――――』
何か発言をしたかと思うと動きを変え、狙いを定めたのはクラリッサの方でした。
そう、他の4人では協力し合い倒しにくいと考えたのでしょう。
だからこそ、一人である彼女を狙ったのです。
しかし――。
そんな彼らの選択は――すぐに間違いであることが分かりました。
「構え!!」
焦る様子もなく、ただそう口にし手を伸ばすクラリッサ。
「ッて―――――!!」
そして、その合図とともに聞こえるのは無数の発砲音。
そう、あらかじめ彼女は自分が狙われることを予測していたのです。
だからこそ、後方に彼女の部隊を忍ばせておきました。
物陰から出てきた天使の姿の悪魔は瞬く間に彼女へと迫る天使を沈めていきます。
「ね、ねぇ美月……」
「う、うん……私達、居なくてもよかったんじゃ?」
それを見た美月と綾乃はそう口にします。
当然です……。
あれだけ撃たれたらいくら新型の天使と言えどひとたまりもないでしょう。
ですが、そんな彼女たちの予想は……。
「馬鹿犬! 小娘!! 奴らにできるのは足止め程度だ!! 頭を叩くぞ!!」
そう通信が入りました。
二人は一瞬信じる事が出来ませんでしたが、あらためて見てみると確かに魔法による防御をされているようです。
このままでは埒が明かないと気が付いた二人は……。
「「了解!!」」
声を揃え、空を舞います。
二人の悪魔は武器を構え、隊長らしき機体へと狙いを定めるのでした。
銃を構え、トリガーを引く……。
単純ではありますが標準が少しでもぶれると当然当たりません。
しかし、二人は息を合わせたかのように銃を放ち……。
それは吸い込まれるように天使へと向かっていきます。
直撃だ! そう思ったのも束の間天使は右手を前に出すと魔法を放ち、それを防ぎました。
しかし、それはすでに見ていることです。
予測もできました。
だからこそ、彼女は背後へと回り、魔法の剣を天使へと突き刺すのです。
天使は動く事が出来ませんでした。
何故なら、天使の全貌からはさらに二機……ナルカミとガブリエルが向かっていたからです。
黒と白の悪魔により動きを封じられた隊長機は美月の一撃により沈みました……。
そう、思われたのです。
ですが――。
「う、嘘……!」
美月はそれを見て思わず息をのんでしまいました。
突き刺したはずの魔法の剣が途中から消えているのです。
そう、天使は美月の攻撃を無効化していました。
それが意味するのは――。
「綾乃ちゃん、クラリッサさん!! 逃げ――!!」
敵には逃げる必要なんてなかったという事実。
剣を構えたそれは二機の悪魔へと向かい……剣を振りぬきます。
美月の声のお陰でギリギリではありましたが、綾乃は反応をする事ができ、攻撃に耐えます。
しかし、クラリッサは一瞬対応に遅れてしまったのです。
「チッ!!」
舌打ちが聞こえました。
そして、天使の剣は悪魔の頭……。
すなわちパイロット本人を狙っていたのです。
やけにゆっくりとそれが過ぎていくように感じました。
そんな中、美月は――手を伸ばし……。
「っ!!」
『魔力増幅確認……エレクトロ』
もう誰も死んでほしくない!
そう願う少女の祈りは雷となり、敵へと向かいます。
彼女の純粋な祈りは真っ直ぐな……そう、一本の槍のような雷に形取り轟音が鳴り響きます。
誰もが、目をつぶろうとしました。
この後に起きる事なんて予想できたからです。
クラリッサは死んだ。
そう思っていたのです。
ですが……。
「馬鹿犬!! 止めだ!!」
「――!!」
その声に綾乃は反応し、機体を急加速させます。
「こ、このぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
絶叫と共に繰り出された巨剣は大きな音を鳴り響かせながら天使を殴り飛ばします。
そして、それを目にしたからでしょう。
これを機に反撃をしようとしていた天使たちは動きを止め……。
暫く迷うそぶりを見せましたが、逃げ去ろうとし始めます。
「追え!! 奴らを逃がすな!!」
「は、はい!!」
その声に反応したのはリーゼとリンです。
彼女たちは逃げる天使を狩り……。
戦場には静寂が訪れるのでした。




