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9話 秘密を知る戦乙女

 それから美月たちは報告を済ませると伊達に連れられハンガーへと足を運びます。

 納得いかない様子の彼は美月には怖く見えましたが、それも美月たちのことを心配してくれるからこそでしょう。

 しかし……。


「それで……機体はどうだった?」


 戦いを見ていたはずの彼はそんなことを口にします。

 当然美月たちは首をかしげるのです。

 しかし、彼は真面目な顔で――。


「実際に戦ってるやつとただ見てるだけのやつ……双方の意見に食い違いは出るもんだ」


 彼はそう言います。

 すると彼の傍に居る少女フローレンスもコクコクと頷きました。


「オジ様の言う通り」

「お、オジ様!?」


 美月は何故そんな呼び方をするのか?

 そう思いながら素っ頓狂な声を上げます。

 すると綾乃は伊達を軽蔑するような目で睨み……。


「いや、伊達さん? いくらなんでも……」

「違う、懐かれただけだ」


 そう否定しますが、本当にそうなのでしょう。

 慌てるそぶりも見せませんでした。

 するとフローレンスは……。


「オジ様はお父さんと同じ匂いがする……安心、する」

「……そ、そうなんだ」


 美月は驚きつつも目を細め笑みを浮かべるフローレンスを見てそれ以上何も言えませんでした。

 すると伊達はため息をつき……。


「とにかく、どうだった?」

「どうも何も相手の新型には苦戦をさせられた」

「といってもからくりがあったんだけどね……」


 クラリッサの言葉に続き綾乃は嫌そうな顔を浮かべたまま話を始める。

 すると伊達は驚いたような表情を浮かべると思っていた美月たちだが……。


「なるほどな、嬢ちゃんの言ってたことは大体当たってたってことだな……」

「ど、どういうことですか?」


 美月が慌てて聞き返すと彼は腕を組み話してくれた。

 もともとミュータントとは天使の兵器であるというのはもうすでに知っている情報だ。

 しかし、それによって魔法を使えるようになるのは適応した人間、それに近しいものだけだ。

 だが……天使達には元から不思議な力がある。

 それが魔法であり、美月たちの使っているそれを酷似しているのだ。

 つまり……。


「奴らにとって魔法使いは滅ぼすための道具であり、次期戦闘員ってことだな」

「じゃぁ……私たちが倒してきたのはまさか……」


 リンチュンが青い顔をして尋ねるとフローレンスは首を横に振ります。


「あれには自我なんてない、もう壊れた人形……あれに乗せられたら最後……精神までおかしくなる」

「なぜそれがわかる?」


 当然の疑問をクラリッサは投げかけます。


「あれを解体したことがあるから……」

「「か、解体!?」」


 人類の宿敵である天使の解体をした。

 そう聞きその場にいた伊達を除く人達は驚きました。

 すると伊達は頷きつつ……。


「こいつらはイービルに乗れるほど丈夫でもねぇ……だが、何か弱点はないかと捕らえた天使……機体を解体したってことだ」


 彼はそう言うと美月たちへと目を向け、その視線をジャンヌダルクへと向けました。

 日本が誇るマナ・イービル。

 いえ、日本が作ったのはジャンヌダルクしかありません……。

 それへと目を向けた伊達は……。


「コントロールオーブ……どこからそんな発想が来たのか分からなかったが、もともとは天使についていたものらしい」

「……え?」


 美月は呆然とします。

 敵の技術を使われていることは知っていました。

 ですが、まさかコントロールオーブさえもそうだとは思わなかったのです。


「正しく言うと天使のは天使が人をコントロールするための装置、皆のは皆が悪魔をコントロールする装置」

「待て、つまり……天使は奴らの先兵どころか奴隷兵にすぎないという事か?」


 クラリッサが疑問を投げかけるとフローレンスは頷きます。


「そんな……じゃぁ……」


 いくら戦っても意味がないんじゃないか?

 そう思ってしまったリンチュンは力が抜けたようにその場に座り込みました。


「待って……勘だけどさ、あれは……その強いほうの天使は違うんじゃないかな?」


 綾乃の言葉に彼女たちの視線が集まる。

 何故そう思うのか? 疑問だったのでしょう。

 そんな視線にプレッシャーを感じることなく綾乃はゆっくりと口にしました。


「確かに今までの天使は機械っぽいっていうかさ、こっちを狙うか、破壊行動をするって感じだよね? 協力して何かをしてくるってことはなかった」

「でも前の大群の時は――」


 協力してきた。

 そう美月が言いかけると綾乃は頷きます。


「そう、あの時ぐらいから天使の動きが変わった……違う?」


 そう言われてみれば確かにそうです。

 美月はどうしてだろう? と思い始め――ふと気が付きました。


「まさか……」

「そう、あの天使が指令というか命令系統をしてるなら操られてる可能性は低い……もし今の話が本当だとしても敵もようやく顔を出してきたのかも」


 そう自身の考えを口にするのでした。

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