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3話 悪魔を駆る戦乙女

 美月は走り、ハンガーへと向かいます。

 入ってまず目に入ったのは……。

 綺麗に整備されている悪魔達。

 その中には当然美月の機体であるジャンヌダルクもありました。


「あ、あれ?」


 ですが彼女は首をかしげます。

 なぜなら――。


「ああ、あいつか……装甲が足りなかったんだよ……だから、奴も一緒に乗っけてやってくれ」


 そういう伊達の言葉にキョトンとする美月。

 そう……美月の機体には別の悪魔の装甲が取り付けられていました。

 その期待とはコピス。

 死んだ新谷の機体です……。


「…………」

「あいつは天使を憎んでいた。だが、お前さんが来て少し笑顔を取り戻した」

「そう、なんですか?」


 美月は自分が出会った頃の彼しか知りません。 

 だからこそ、首をかしげます。


「ああ……理由は言えないがな、奴のためにも、な……」


 それがどういう意味なのかは分かりません。

 ですが、美月はそれを探ろうとは思いませんでした。

 人には秘密にしておきたいことがあるはずです。

 綾乃の兄の死……その真相だってきっとそうなのでしょう。


 だからこそ彼女は頷き――イービル……ジャンヌダルクへと乗り込みました。


「そいつはただの修理品じゃねぇ……装甲もできる限りのパーツ交換もやった、以前の機体より性能が上がってるはずだ」

「つまり、MkⅡってこと? イービルMkⅡかぁ……セカンドのほうがいい気がする」


 そう口にするのは綾乃です。

 彼女はジャンヌの隣にあるナルカミに乗り込みながらそう言うと美月を見てその顔を赤らめます。


「呼び方なんざお前たちの好きにしな!」


 伊達はそう言うと武器が置いてある場所を指します。

 そこには見たこともない武器がありました。

 一体いつの間に用意したのでしょうか?


「ドイツのお嬢ちゃんの親父さんからの土産だ!」

「はい! 最新の武器です! 実はマナタンクの話を聞いて連絡をしてたんですよ!」


 そう誇らしげに言うのは勿論リーゼロッテです。

 彼女の父親からのプレゼントはイービルに換装されていき……。

 美月は武器の説明がないかを調べてみます。


「夜空! そいつにはマナタンク、マナ・ジェネレーターⅡが新たに積んである。そして、その武器は――」


 美月は伊達の言葉を聞きながらようやく武器の説明を見つけました。

 大型ブレイバーの代わりに取り付けられたのはマナ・ブレード、大型アサルトの代わりはマナ・アサルトと名前から察するに――。


「マナを使った魔法の武器だ! お前さんなら魔力は魔法のために温存しておけ! タンクの魔力は武器に使えるはずだ」

「は、はい!」


 美月は頷き――綾乃の方へと目を向けます。

 すると彼女もまた新しい武器を持っていました。


「あのー私の武器あまり変わりないんだけど……」

「性能は今までのよりはるかにいいはず、ですよ?」

 

 ひきつった身を浮かべながらリーゼロッテは言っているのでしょう。

 彼女たちだけではありません。

 ほかのイービルにも新たな武装が取り付けられ――。


「それじゃ!! 行ってこい!!」


 伊達の言葉に少女たちは頷くのでした。


『システム、オールグリーン!! 任意のタイミングでどうぞ!!』


 オペレーターの明智望の声が聞こえました。

 後は合図を送ればカタパルトでイービルは射出されます。

 美月は大きく息を吸い――。


「ジャンヌダルク……行きます!!」


 そう口にするとグンッ! と体に重しをあてられたような感覚を感じます。

 初めのころからしばらく……この感覚が苦手で美月は何度も悲鳴を上げていました。

 ですが、今は悲鳴を上げることなく――。


「――――っ!」


 堪えます。

 苦手が克服できた! というわけではありません。

 ですが、我慢はできるようになりました。

 だから、美月は叫ばずに外へと出ると急いでレーダーを確認します。

 そこには天使を示す光があり――そちらの方へをイービルを向けると……。


「4時の方向に天使(アンゼル)の反応があります!」


 イービルの通信を使い仲間たちにも知らせます。


『『了解』』


 すると声をそろえて答えてくれた仲間たちと共に美月は反応がした場所へと急ぎました。

 新たな力を得た悪魔は以前よりも速く……。


『な、慣れるまで大変だってこれ……!!』


 途中聞こえたのは綾乃のボヤキ。


『ふん! その程度も操れんのか?』


 それに対してのクラリッサの言葉は辛辣でした。

 ですが、誰一人かけることなく、目的の場所へとたどり着くと……。

 そこでは以前のように天使が移動をしているところを発見しました。

 まだ人は襲われていないようですが、このまま進めば人里に当たるでしょう。


「させない!」


 美月はそう言うと銃を構え、照準を天使へと向けるのでした。

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