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68話 絶望する……悪魔乗り

 緊急時と言う事で二人を受け入れる事は出来ました。

 しかし、司には顔を合わせておいた方がいい。

 そう思った美月達はすぐに司の元へと彼らを連れて行きます。

 すると、彼は見知らぬ少年と少女が入って来た事に一瞬驚いていました。


「その子達は?」

「現場に居たんです……」


 美月がそう言うと保護をしたことを理解したのでしょう。

 黙って頷き……。


「なら後で人に案内させよう、それよりも……」


 戦果を聞きたいのでしょう。

 美月達はそれを知りながら何て報告するか迷いました。

 見たことも無い天使。

 魔法を使い、美月達よりも遥かに強い敵でした。

 ですが、そんな敵は何故か去って行ったのです。


「……かないませんでした」


 美月が疑問を浮かべている中そう口にしたのは綾乃です。

 見れば彼女は悔しそうな表情を浮かべていました。

 そんな彼女は顔を上げ……。


「敵い、ません……でした。相手は魔法を使います。まるで学習したかのようにアタシ達の動きにも合わせて来ていました」


 それどころか!

 綾乃はそう続け……。


「アタシ達の機体……その特性を組み込んでいるようにも見られました」

「…………」


 強敵の出現に美月達はどん底に堕とされます。

 今まで負け戦だった天使(アンゼル)との戦い。

 それにようやく見えてきた希望。

 それにすがろうとした所、まるで地面へと叩き落すかのような衝撃が起きたのです。

 綾乃は堪えられず涙を流し……。


 美月は彼女を支えるように寄り添います。


「あの……」


 そして、司令官に何かを言おうとし何も言えませんでした。


「ジャンヌではどうだった?」

「勝てそうも……ありません」


 そう正直に答えると司は深いため息をつきました。

 そう、勝てるイメージが無いのです。

 敵は今までの敵とは違います。

 その差は圧倒的……。

 まるで人類が初めて武器を手にし喜んでいたら、それよりも性能が上だった事実を叩きつけた。

 その当初と全く同じだったのです。

 そんな彼女達の雰囲気に耐えれなくなったのでしょう。


「な、なぁ! なんでそんなに暗いんだよ! 負けた訳じゃないんだろ!? アイツ逃げて行ったじゃんか!!」

「あれは逃げたんじゃない、何時でも殺せるって意味だよ……生かされたんだ……」


 綾乃が涙声で告げ……リンチュンはその場で膝を抱え震えてしまい。

 リーゼもまた顔を地面へと向けてしまいました。


「…………」


 そんな中エルフの少女は司へと一歩近づき……。


「なんだい?」


 彼は彼女へと声をかけます。

 すると彼女はゆっくりと口を開き……。


「は……な、し……アル」


 と口にするのでした。

 それはたどたどしい日本語……ですが、はっきりと告げてきたのです。


「君は? 一体どこから来た? 日本……いや、地球人ではない、よな?」


 それに対し、彼女へとそう告げた司。

 彼の言葉にはどこか棘がありました。

 それに対し、美月達は何も言えなかったのです。

 地球人ではない……その言葉が指す事は恐らく……。


 この子……まさか、天使(アンゼル)


 それが真実であれば美月達はとんでもない事をしてしまったのです。

 敵を基地に招き入れてしまった。

 これから内部を荒らされてもなにも美月たちの責任だと言われても文句は言えません。

 ですが、もしもの時は――。


 そう思いながら美月はじっと少女を見つめていました。

 すると少女は予想外の行動に出たのです。


「……ちきゅーじん」


 首を振り、そうはっきりと口にしました。

 ですが、その姿は見たことのない人種です。

 物語に出てくるエルフと同じ特徴的な耳。

 白すぎる肌……まるで日に当たったことも無いようなそんな少女。

 彼女が地球人であるはずがない……それは誰もが思っていました。

 ですが……。


「した……」


 彼女は言葉に迷いつつ下……床を指しました。


「下だって?」


 その言葉に司は考え込む様にし、今度は少年を見ます。 

 すると少年は慌てて首を振り……。


「お、俺は知らない……なんか天使の残骸の所に戦闘機みたいなので来て、天使からなんかうねうねしたもんを回収してた? のか? あれは……」


 その時の事を思い出すように彼はそう言うと彼女は考え込み……。


「めもり……やつらが、じょうほう……しゅうしゅうするためのみゅー……たんと」


 つたない日本語は徐々に聞き取りやすくなっていき……。

 彼女は意を決した様にゆっくりと瞼を閉じ開きます。


「私達は一度、奴らに負けて地上を追い出された……」


 それは……。

 誰もが信じられない言葉でした。


「だけど、奴らには予想外の事が出来た……知能も高く魔法適性があり、成長が早い種族が生まれた……奴らにとって必要となる種族が……だから、支配はされず成長するまで手を出さなかった」


 そう言うと彼女はゆっくりと辺りを見回します。


「それが、貴方達……今地上を支配している人間……私達の最後の希望」


 そう告げるのでした。

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