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65話 戦えない悪魔乗り

 美月達が出撃した同時刻。

 彼女は扉の前で仁王立ちをしていました。


「退いてくれないか?」


 部屋の主はそんな事を言い、彼女は苛立ちを押さえます。

 分かっていない訳が無いはずです。

 それを知っているからこそイライラとしました。

 ですが……それこそが彼の目的でもあるのです。


「退いたら行くのだろう?」


 彼女は確信しつつ、彼に問います。

 すると彼は……。


「当たり前だろう?」


 そう口にしました

 だが彼女は溜息をつくだけで退く気配はありませんでした。

 いや、そのつもりはないのです。


「僕だって悪魔乗りだ」

「死にかけのな、そんなお前が言ってどうなる? 何かを助けられるのか?」


 彼女はあざ笑うかのような態度でそう口にします。


「やってみなければわからない」


 挑発したはずの言葉でしたが、彼には何の効果もありませんでした。

 その言葉に舌打ちをした彼女は……。


「愚問だな、ならここから通す訳にはいかない」


 彼女はそう言うと扉を守るように座り込みます。

 そして、窓の外へと目を向けました。

 そろそろ向かった頃だろうか? そんな事を考えながら…‥。





「美月!! レーダーは!?」


 美月は綾乃に尋ねられ位置を確かめます。

 レーダー自体は綾乃の機体にも積んでありますが急ぐときは自分が支持をした方がいいと言われそう言った管理は美月が中心になっていました。


「近いよ! ここから北」


 そう告げた彼女でしたがふと気になる事もありました。


「ねぇ……」

「なに!?」


 天使レーダーは天使しか捉えることが出来ません。

 動物や人は無理なのです。

 ですから確証はありませんでした。

 ですが、疑問があったのです。


「何か今までのよりずっと早い……なのにこの天使なんで支部についてないの?」


 以前の襲撃から分かる様に支部の位置は敵にばれているはずです。

 だというのに一行に辿り着かないその天使はまるで何かを探すような動きにも見えたのです。 


 でも一体なにを?

 美月はそう疑問を思い浮かべました。

 ですが、彼女がいくら考えた所で答えは出てきません。


「メイユエ、皆とにかく行こ?」


 リンチュンの言葉に頷いた一行はその天使の元へと急ぐのでした。

 場所はそこから近く、また見通しも良いため隠れて移動なんて事は出来ません。 

 ですが、支部の方に向かっているのもまた分かっている事であり、美月達は支部を守る為に戦う事を決意するのでした。




 現場に駆け付けた彼女達が見たのは今まで見たことも無い天使でした。

 確かに今までもそれに近しい見た目ではあったのです。

 ですが……そこに居たのは……。


「羽根?」


 そう、羽根のような物を持つ本当に天使そっくりな見た目の人型兵器。


「に見えるブースターか何かだろうね……」


 ばさりばさりとまるで羽音を立てるようなその機体は正直美しいとさえおもえるものでした。

 ですが、それでも天使は敵。

 いくら美しくとも戦わなければなりません。

 そう思い美月はふと足元を見ました。

 何故そうしたのか? 理由は簡単です。

 天使と対面した時、美月達は目立ってしまいました。

 ですが、相手は特に気にした様子が無かったのです。

 なぜ? 疑問に思いつつその天使の視線を追っていると――。


「美月!! 行くよ!!」


 綾乃の声が響きます。

 ですが、美月にはそれがやけに遠くに聞こえました。

 それもそのはず……美月は見つけてしまったのです。

 そこには居てはいけない存在を……。


「あ、ああ?」


 そう、この場で戦う事は出来ない。

 そう判断した美月は――。


「駄目! 人がいる!」


 そう悲痛な声で叫びます。

 すると動きかけていた3人はその動きを止め美月を見つめ、その先へと目を向けました。


「嘘……」


 人影は2つ……男性と女性の様です。

 恐らくはデートでもしている時に運悪く居合わせたのでしょう。


「ちっ!!」


 思わず舌打ちをする綾乃に対し、リーゼは困惑します。


「ど、どうしましょう?」

「そうだ! イービルに乗せるって言うのは?」


 リンチュンが提案すると綾乃は即座に「駄目!!」と叫びます。

 そう、イービルを救助用の乗り物にする訳にはいかないのです。

 その理由も簡単な物でした。


「こんなのに乗ったら、死んじゃうよ!!」

「でも他に!」


 そう迷っている内に天使は銃を手にし、美月達には一切目もくれず一点へとその銃口を向けます。


「――っ!?」


 気が付いた時には美月はすでに彼らを守る様に割り込んでいました。

 そしてジャンヌの右腕を突き出すように動かし、コントロールオーブを握る手には力を籠めます。


『魔力増幅確認――プロテクションフィールド展開まで後5秒』


 無機質なアナウンスが流れ、美月の目の前には魔法の壁が生まれると同時に天使の持つそれは火を噴くのでした。

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