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大物になった息子

作者: 鳩マメ

至らぬところがあると思いますが、よろしくお願いします。

とある居酒屋にて


「あっ、お久しぶりです。」

「ああ、得意先の……その節はどうも。」

「いえいえ、こちらこそ。ところで聞きましたよ。お宅の息子さんのこと。」

(たかし)ですか?」

「ええ、うちの息子と友人同士らしくて。この間、久々に話したと言ってたんです。話によれば、ずいぶんと優秀なのだとか。」

「ええ、まあ、できる子と言えばそうですかね。」


「どんな子なんです?」

「えーっと、確か高校じゃ定期試験はいつも上位だったと聞いてます。あとは、大学でも何度か表彰されたことがあるらしくて……。」

「へぇ、すごいですねぇ息子さん。」

「会社も、それなりにいいとこ行ってましたよ。」

「ん?ましたってことは……。」

「今は辞めてますね。」

「ええっ、辞めちゃったんですか!?」

「はい……。」

「それは、また……大変ですねぇ。」

「いえ、そんなでもないですよ。うちにもまだ余裕ありますし、(たかし)も頑張ってるんで。」


「……と言いますと?」

「あいつ、経営学を勉強してるんです。『俺には才能があるんだ。俺は世の中で認められるべきなんだ。』とまで言い出しましてね。」

「自分で会社作るってやつですか?はぁ、やっぱりできる人って違うんですね。」

「『日本一になるくらいデカい会社にして、父さん楽させるからな。』とも言ってましたし。」

「親孝行なんですねぇ。うらやましいなぁ。」

「ホント、泣かせてくれます。少し前まで人見知りしてるような子だったのに、気付いたらあんなに大きい奴になってて……。」









「それっきり、ずーっと家で寝っ転がってますよ。」

「ダメでしょ!?それ。勉強してるんじゃないんですか!?」

「いえ、漫画でしてますよ?」

「いや、漫画じゃできないでしょ!?」

「題材『レストランの料理で儲ける話』なんですけど……。」


「そう言う問題じゃありませんって。会社作るんじゃなかったんですか!?」

「言ってはいますが、やっぱ会社作るのは難しいでしょう。」

「父さん楽させるって話どうなるんです?(たかし)君、大物なんですよね!?」

「もう三〇過ぎですからねぇ……。」

「そう言う意味だったんですか!?大きい奴って。」


「『会社なんてたくさんあるし、俺が会社作るのが遅れても問題ないよな』とも……。」

「家で寝てることが問題でしょ!?才能って親孝行なふりの才能ですか!?」

「でも実際そうですし、余裕もありますし……。」

「ちょっと!!アンタのそれが一番ダメなんじゃありません!?」









数日後


(たかし)、お前に手紙が来てたぞ。」

「手紙?ん、ありがと父さん。えーっと……ああ、あれね。はいはい、OKと。」

「何だったんだ?」

「大学通ってた時にイラスト描いてたんだけど、そいつをイベントのパンフに載せていいかって。」

「イベント?出るのか?」

「パンフに絵だけ、ね。こう言う使用許可の手紙が結構来てんの。ホームページに飾るだとか、ゲームの素材にしたいってのもあったなぁ……。」

「そ、そうか。」


「そういや、商用に使いたいってのもあった。」

「しょ……商用?」

「おう!あと、自作の小説が刊行されたりもしたから、俺の作品って結構出回ってるんだぜ?」

「そうなのか。ところで、夕飯何がいい?母さんが聞いて来いってさ。」

「なら、たまにはどっか食いに行こうぜ。」

「おいおい、さすがに節制はしてくれよ……。」

「金ならいいよ。俺出すから。」


「何っ!?お前、金稼いでたのか!?」

「……だから、絵が商品になったって言っただろ?あと、原稿料とか印税も入るし。」

「だ、だけど、稼ぎは少ないんだろ?」

「えっ?今、口座に二千万くらいあるけど?」

「何ィっ!?そんな大金どこで手に入れたんだ!?」

「だから、絵の売り上げと印税だって……。」


「な、なら言葉に甘えて……いや、ダメだ。自分の稼ぎなんだから自分のことに使いなさい。」

「だけど、せっかく稼げたんだし、せめて孝行の一つさせてくれよ。」

「そ、そうか。じゃあ、家の傷んだところでも直してもらおうかな。」

「おう、任せとけ。」

「確か、風呂場にひどいところがあったはずだ。それと、コンロと換気扇がおかしい時があるって母さんが言ってたな……。」

「何なら、家ごと新調するか?」

「ぬぁぁぁにィィィーーーっ!!?」






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