~人に転生しました~
「すまない、ファフニール、君を解放する
魔力ももうないんだ・・・」
「・・・気にするな、幼龍の時より隷屬
しているのだ、むしろ・・・と会ってからの
月日は有意義だったよ」
「私は首都にもどらないと行けない、
蛮族達が魔術を使えなくなった我らを
放っておくわけがないからな・・・」
「私はここを動けぬが、生きておれば
また会うこともあろう。健闘を祈っているよ」
「君を解放する事は出来ないが、自由になる可能性を
置いていこう」
「これは?なんだ?」
「憑依の宝珠だ、意思の無いものに自身を
移せるはずだ」
「はず?」
「まだ実験段階のものだよ、私が転生する為に
研究していたものだ。もっとももう起動させる魔力
がないのだがね。君なら使えるだろ?」
「意思の無いもの・・・また随分と厳しい制限だな」
「言ったろ?実験段階だと。では、
私は行くとするよ。また、会おうファフニール」
「また会おう・・・」
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数百年後・・・・
『人間共よ、私の前から消えるがいい。』
「お前の後ろの宝物を盗ったら消えてやるよ!」
数十人の人間達が武器を構え囲んでくる。
『では、消えろ!』
息を吸い込み、体内の魔力を循環させ
口の中に大量の魔力を集積させる。
息を一気に吐き出すと共に魔力を炎に
変換していく。
「なっ!」
一瞬にして、命を燃やし尽くす煉獄の炎が
人間達を蹂躙する。
『やれやれ何時になったら自由になれるやら・・・』
炭と化した亡骸を眺めながら再び眠りにつく・・・
魔術師の隷屬魔法は厄介なもので、
この火山の火口から一定距離離れると
強制的に火口に戻され、餌を捕りに離れている間に
侵入者が来ても強制的に火口に転移される。
侵入と闘わないと、激しい痛みが我が身を
焦がすといった呪いじみたものだ。
幼龍のまだ力が弱い頃に私は捕らわれ
魔術師達に、隷屬の魔術で縛られた。
魔術師達の国は数百年前に、蛮族達に
滅ぼされた。魔術師達がいなくなっても
この呪いは顕在で、我が身を縛り続けていいる
『自由に歩き回りたいものだ』