4、男泣き
説・明・回! 面白く世界観が伝わればと思い書いてみました。視点って大切ですね。
「ねえなんで泣いてるの?なんでなんでwww」
「そうね、どうしたの?ジャンの泣き顔はあまり見たくないんだけれど。」
このチビどうしてくれようか。いつか借りを返さねばならん。だがまずはお姉さんの機嫌を直さなければ。
「えっと、そう。残念で泣いてるのです。こんな美人さんに好かれるジャンさんはとても良い男だったのだろうなと、そして代わりに僕みたいなのが蘇ってしまって残念でならない。どうか少しでもジャンさんに近づくために、彼のことを教えてくれませんか?」
よくやった俺!照れずに噛まずによく言い切った。そしてつまらなそうなチビの顔がたまらない。
「そうね、じゃあ少し長くなるけどいい?」
「お願いします。」
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「昔むかしある所に格好良くてイケメンな神の使いのジャンが現れました。」
...突っ込むな俺、耐えろ。
「ジャンは強くて賢く頼もしく、誰よりも魔法が使えるだけでなく心優しい人でした。」
盛り過ぎ、だろ?本当だったら全く近づける気がしないわ。
「ジャンは川へ山へ、村から街まで東奔西走して、揉め事を解決して行きました。ジャンに救われた者どもは数知れず、皆に崇めたて祀られました。しかしジャンはある時気がつきます。僕が求められるこの世の中は正しいのか?僕は幸せだが皆はどうなのだろうか。誰も困らない世の中になればいいのではないかと。
そこでジャンは国を治めるソーリの一族の元へ向かいました。」
ソーリって総理大臣か?今更だが転生特典
的なので翻訳してるのか?
「...ソーリは言いました、我が国には資源が足りない。何より魔物をなんとかしなければならないと。しかしジャンの手にかかれば、他の所から資源を集めるなんて造作もないこと。ジャンは魔法で飛び回り、資源を集めて来ました。」
ジャン、大丈夫か?盗んで無いか?
「いつの時代も出る杭は打たれるもの。皆は恩を忘れ邪神と罵り、周りの国はジャンを罪人に仕立て上げ、我が国でさえも生物兵器を作り上げ、ジャンを追いました。まあジャンには敵わないんですけとね。」
やはりか。そして無駄にハイスペック。
「そんな中でもジャンは優しさを失わず、改心した私を、追っ手の生物兵器だったにも関わらず拾ってくれました。」
ここで馴れ初めかい!
「全くもって歯が立たない各国は遂に、核兵器の使用を決めました。精鋭達に足止めされ、核を使うことを告げられたジャンは、無駄な人死にを避けるため、と言って自ら命を断ちました。各国はまさに外道で研究用に遺体を奪おうとしましたが、精鋭達はいくらかマシで、私に遺体を渡してくれました。」
話がデカイぞおい...
「私は遺体の前で泣き続けました、何か出来ることがあったのでは無いかと。後悔はどんどんと浮かんできます。しばらくして落ち着いた私は、これから出来ることを考えました。そこで閃きました。蘇らせればいいじゃないかと。」
そこで閃いちゃったかー。まあ、それがなかったら俺はここに居ないのか。
「その後私は用済みにされてしまった生物兵器の同志を集め復活の準備を進めました。準備を終えた私は装置に魔力が溜まるのと、ほとぼりが冷めるのを待つためコールドスリープに入って今に至るというわけです。ジャンの素晴らしさが分かったかな?」
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なるほど、だいぶ現状がわかった。
つまり、
・俺の身体は多分ハイスペック。
・ジャンは色々しでかしてる。記録とかは要注意。
・この世界には魔法も科学もある。
・お姉さんは生物兵器。多分、祭壇周りの怪物とチビもそう。
あとまあ盲目的な所もあるだろうな。神の使いとか無いっしょ。
「あれー、おかしいなー。なんで泣かないの?もっと自分が残念になって泣かないの?」
フッ 甘いなチビ。三度も揚げ足が取れるとでも思ったか?これは想定済み、即ち俺のターン!
「うぅ、ジャンさんに比べっ、僕は、グズグズ。」
「ちょ、何するのよ、離れなさい!」
「チーン」
「うわ、汚いキモい離れてー!」
ザマァw 借りは返したぜ☆
「僕」は名誉と尊厳を犠牲に、
「チビ」へカウンターを決めた。