3、行き過ぎたラブの人
彼女は止まらない。
「いやー良かった良かった。蘇れたんだね。回収出来た遺体の量も少なかったし、術式も大分簡略化しちゃったから駄目かと思ってたけど、なんとかなるもんだね。まあ素体が良かったのかな?さすが、私の見込んだ男だよ。」
これ、凄く言い出しにくい。別人ですって言ったらこの人泣くだろ。
「そうだ、そこの白いの状況説明よろしく。」
真面目な話は真面目な体勢でしてくれ。
「はい。書物によると、貴女様が眠りに就てから約2000年が過ぎています。味方の戦力はえっと、大型50、中型200、小型が2000と言ったところです。まあ各地に散らばっているものも居りますが。それとこの男...」
「ああ、手紙に書いてあることだけで良いの。それとちゃんと邪神様と言いなさい。」
怖いわ、本物の行き過ぎたラブの人だ。すっげー怖い。
「そうだジャン。や・く・そ・く、果たしてよね。忘れたとは言わせないわよ。」
「すいません別人です。」
「へっ?」
僕は一息で言い切った。感動の再会だったのだろうけど、言い切ってやった。殺されるかもしれないという恐怖がないわけではないが、今言わなければならないと直感的に思った。そしてすぐ様彼女から離れた。
「そう、じゃあ、死んで。」
おーい、僕の直感どこだー。責任取れー。
現実逃避している間にも、彼女は幽鬼のようにゆっくりと、両手に黒い影を纏わせ近づいてくる。
「ままま、待て、おおお落ち着け、ぼぼ僕の身体からもう一回邪神の身体作れたりしないのか?」
「あんたが落ち着きなさいよ。」
チビめ後で覚えておけよ。あっ、後なんてあるのかな?
「そ、そうね、邪神の右腕の私としたことが、塵一つ残さず消し飛ばしちゃうところだったわ。危ない危ない。」
お前が一番危ないわ。とりあえず助かったか。
「でもその身体はあんたのじゃ無いから。今回はお手柄だったから許すけど、次ふざけたこと言ったら殺すよ。身体が残れば良いんだし。」
とりあえず助かったのかなあ。助かったと言って良いのかな?あれ、なんか目から汁が...
まあ、これで現状は分かる様になるだろう。 努めて前向きに考えようとする僕であった。