2、邪神の右腕
週一なら上げられるかな。
おっ、ようやく話がまとまったみたいだ。
「邪神、ついて来なさい。」
「いや、だから僕は邪神じゃ無いって。」
「じゃあその邪悪そうな目つきとオーラはなんだってのよ。とりあえず身体は邪神でしょ、だからあんたは邪神でいいのよ。とにかくついて来なさい。」
あーダメだ、ちょっと可愛いとか思っちゃったけど、絶対性格ねじ曲がってるやつだ。役立たずだと思った途端にこうだ。
こんなのの言う通りにするのは癪だけど、死にたく無いからとりあえず着いて行く。
祭壇みたいなのがあった部屋から出ると僕は驚いた。今迄のオカルト臭がプンプンする部屋とは一変、リノリウム張りのような近代的な廊下がどこまでも続いている。
これはマズイ。頼みの綱の知識チートが使え無いかもしれない。
「ついたわよ。」
悶々としているうちに着いたようだ。
「着いたってここ?」
「そうよ。」
案内された部屋は真っ白だった。
調度品は何も無く、等間隔な壁の膨らみだけが延々と奥まで続いている。
「ここに手を当てて。」
「この膨らみだな。」
「そんで魔力を流すの。」
「へっ?」
「へっ?て簡単で、しょ?まさか魔法使えないの?」
「いや僕のいた世界には魔法なんて無いから。」
「しょうがないわね。天才魔術師であるこの私が直々に魔力の扱いを教えてあげるわ。」
「先生、お願いします。」
性格はともあれコイツはあれだけの魔物をテイムできるのだから優秀に違いない。
学べる事は学んでおこう。
「ふふっ、私が先生。よ、よしまず今教えるのは魔力の動かしかた。膨らみが光ったら成功よ。」
「はい」
「やることは簡単。手先をグッとするだけよ。」
「こうか?」
「いや握ってどうするのよ。」
「じゃあこうか?」
「それだとクッくらいにしかなってないわ。」
感覚派のレッスンは三十分ほどかかった。
この短時間でものにした自分を褒めたい。
膨らみの光は段々強くなってきている。
「ちょっと離れて。」
「了解。ところでこれは何の為だったんだ?」
「邪神の右腕の復活よ。」
なんと!これはマズイ。中身は別人ですwなんてやばれた日には殺されるかもしれない。
何とか止めたいけれど、既に直視出来ないほど輝いている。
プシューと言う気の抜けた音が鳴り、切れ目など見えなかった膨らみが縦に割れた。
中から出てきたのは長身の美女。
彼女は
「ジャンくんー!」
と抱きついてきた。
僕は驚き、何も言えなかった。
何故なら、彼女は真緑だったから。