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未来の彼方  作者: 焔伽 蒼
生徒会決着編
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【第66話『前へ進む勇気』】第一学期・最終話

【10/24(水)・15:55「横浜の山下公園・横浜海上保安船の停留場」】



光司達は勝った。

生徒会━━━粛正委員会の奴らから吹っ掛けられた、このエンブレム争奪戦にて確かに勝利を得た。


だが、まだ問題は残っている。それはこの争奪戦が、まだ終わってないと言う事だ。

残りのエンブレム保持者は、光司と紗香の二枚だけであること。


賞金の10万を光司は妹の千晴との二人暮しの生活費に回したい。

しかし、紗香も両親が他界してから、今まで世話をしてくれた叔母と叔父に仕送りしたいと言っていた。

つまりどちらも譲れない理由がある。


ということで光司のやるべき事は一つ、選択肢等ある筈もなく━━━




「九条……」


「うん、わかってるよ」



紗香はすでに光司の考えがわかっているのか、少し苦笑して合気道の構えを取った。

そんな紗香に光司は近付き、右手を取って握った。

その瞬間、顔が今までにないくらいの勢いで赤面する。この速さは最早、技ともよぶべきだろう。


光司はそっと手を放す。



「な!?な!?」


「叔母さんと叔父さんに宜しくな」



そう言うと光司は背を向け、皆が待っている開業学園へ帰ろうとする。


何事だろうと紗香は考えるが、ふと右手に違和感を感じた。さっき光司に握られた時に、何かを手渡されていた。


右手をそっと見る。


目を疑う。右手には光司のエンブレムが握られていたのだ。



「え……?(……これって……)」



そう、光司はこの争奪戦を辞退したのだ。

紗香の叔母さんと叔父さんの為に。何よりも紗香自身の為に。


その気持ちが分かった紗香は胸が熱くなる。

心臓もトクンと鼓動を打つ。

同時にお得意の急速赤面術も発動する。

そして紗香の目から涙が零れ━━━



「光司っ」




考えない。恥ずかしがらない。緊張しない。強がらない。紗香紗香はそう考えた。

ただ一つ思うところは、光司に想いを伝えたい。まだこの気持ちが何なのか分からなくても、一歩でも光司に近付きたい。



気付くと紗香は光司の背中に後ろから抱きついていた。



「な━━━!?」




まさかの光司も急速赤面術の使い手だった。



「ありがと……光司……」


「……九条…その……弓を壊しちゃってごめんな……。あとエンブレムの件は気にするな。叔母さんと叔父さんには俺も世話になったし、もちろんお前にもな」


「弓に関しては、気にしてないよ……それよりもエンブレム……本当に良いの?」


「構わない……。そういえばさっき九条、俺の事を名前で呼んでたよな」


「あ……。その……イヤだった?」


「いや、何だか昔みたいで良いと思う」


「そ、そっか。 じ、じゃあ早く学園に戻ろっ」



紗香はその場の空気に耐えられなかったのか、光司から離れてサッと走り去ろうとした。

そんな紗香を光司は引き止めた。



「紗香!俺も名前で呼ぶからな!」


「━━!?」



紗香は少し黙った後、光司の方に振り返った。最高の笑顔で。最高の返事をしてくれた。



「うんっ」



この日、エンブレム争奪戦を優勝した紗香は、生徒会長である天草から賞金10万円を手に入れ、生徒総会は無事幕を閉じた。


後から天草に聞いた話だが、粛正委員会は解散し元粛正委員会のメンバーは通常の生徒会として行動する事になったみたいだ。


それから幾日か過ぎ、それぞれの関係に変化が起きた。


慶太と南場がよく一緒に弁当戦争をしたり、紗香と泉堂先輩が楽しそうに話したり、千晴が桐谷のことを話してきたりするといった些細でいて、大きな変化。


光司的には嬉しかったりもする。


だけど天王洲さんが最近学校に姿を見せない。


先生が言うには、風邪を引いたとか。いつかお見舞いに行こうと思う。


そして明日からは冬休み。

今日は今年最後の登校日。


顔を洗い、昨晩に用意してあった私服に着替えて玄関へ向かう。


そして靴を履き、外へ出るとそこには千晴・紗香・慶太の三人が待っててくれる平和な日常があった。


俺はこの平和な世界を、予知した最悪な未来のようには絶対にしない!絶対に皆、全てを守ってみせる!



「悪い、遅れた」


「全くだよ!」


「いつものことだもん」


「じゃっ、行くか!生徒会から頼まれた来年度に行われる新年祭の打ち合わせ!」


「ああ、東京の学園まで時間も掛かるしな。急ごう!」



それが俺の作る未来だからだ。



     ~未来の彼方 第一部・完結~



どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


未来の彼方も遂に一旦完結を迎えることが出来ました。

なろうに投稿した最初のラノベなので、その頃から付き合って下さっている古参の読者様、誠にありがとうございます。


ここからは異世界の不確定能力と、間も無く始める「始末屋だった俺に新しい家族が出来た。」に集中しますので、宜しければ是非お立ち寄り下さい。


番外にリレー小説である「俺はリア充になりたい!」も、堀川猫柳さんと共にパスの押し付け合いをしていますので、是非に(笑)


またミラカタについての今後の予定は、他の小説の後書きにて報告していきます。もしかしたらですが、第二部開始前に繋げとして番外編(第一部の後日談)をやるかもしれません。OVA的な感覚で。


それでは、これからも焔伽蒼を宜しくお願いします!

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