【第65話『最後の闘いへ』】
【10/24(水)・15:45「横浜の山下公園・横浜海上保安船の停留場」】
光司の身体からは気力が発せられ、風が渦を描くように吹き荒れている。
天草は自分の奥技が破られたのと、その光司の只ならぬ気力により少し後ずさっていた。
「まずはその厄介な武器を押さえる!」
(まさか三輪全てを防がれるとは思わへんかったが、しょせん奴の武術は超接近戦型━━━近付かせなければええだけや)
トーン……トーン……
「!?(このステップ音は━━━)」
光司が飛んだり跳ねたりと、不規則なステップを踏んでいた。
「えーと、確かこんな感じだったよな。「アクセル」!」
ターンッ
その瞬間、光司は目の前から一瞬居なくなり、天草が気付くと光司はすでに懐に入っていた。
「これは━━━!?(間違いない!俺が最初に階段の上から、飛鳥の安否を確認するために使った加速歩行術“歩縮”!)」
「近付かせなければ……何だって?」
(まさか一回見ただけで、それを自分のモノにしてまうとは……ここまでのを魅せられたら、敗けを認めざるをええへんな━━━)
「八卦無天流奥技「飛牙絶坑」!」
ギュルゥッ!
光司は爪を立てた両手を、天草の腹に押し当て、その両手をそれぞれ逆方向に回転させた。
そうすると、10本の指に集束した気力により、風が巻き起こり、更にはそれが直立運動により正面に放たれる。
それぞれが回転軸の違う風は逃げ場を失い、一つの強打な鎌鼬が発生し、天草はそのまま風に服や体を切り裂かれながら、砲弾のように飛んでいく。
そして天草は噴水にぶつかり、風や衝突した衝撃で噴水が破壊される。
その時点で、天草は意識を失いその場に倒れた。
「荘司が負けたか……」
「すごい……人が20m近く飛ばされた……」
時雨と九条が驚いていた。
「勝った……」
「ご苦労様、一之瀬……あとは私の相手だけね!(弓はさっき壊れちゃったから、飛翔羽翼流は使えない……だから唯一使える体術、合気道でやる!)」
「……」
九条と日暮がにらみあった。マズイ、弓はさっき天草の蓮華“三輪”を防いだ時に壊れている!
相手は今までの生徒会のやつと同格……合気道だけで勝てる相手じゃない!
俺は力を振り絞り、九条の方に駆け寄ろうとする。
その光景を開業学園で見ている柳と渚も心配していた。
だが俺は力が抜け、倒れそうになった時、誰かがその倒れかけた体を支えてくれる。
そこにいたのは慶太だった。
よく見ると、その慶太の体はボロボロで、今にも倒れそうなぐらいフラフラしていた。
「慶太……! どうしてここに……?そっちはどうなったんだ!?」
「いや、南場や桐谷と戦ってから、負けたのか気を失っちまってよ。 目が覚めたら、誰も居ねぇでやんの。だけど探し回っている内に、向こうからボロボロで歩いてくる桐谷がいてさ、こっちにお前らが戦っていると教えてくれたんだ」
桐谷は千晴と戦っていた筈……!嫌な予感がした。
「桐谷が……? 千晴……!千晴は!?」
「千晴ちゃんなら、あそこにいるぜ?」
慶太が指を指す方を見ると、九条の横に千晴がいた。
無事だったようだ。てことは、あの桐谷に勝ったのか……?
気付けば時雨を中心に、九条・千晴と俺・慶太の包囲陣がいつの間にか作られていた。
時雨はそれらをチラと見た後、武装を解いた。
「え……?」
「なに?」
そのいきなりの武装解除に、九条と俺は言葉が出なかった。
「ここまでの強い奴らに囲まれちゃ、俺に勝ち目はないな。 それに荘司が負けた時点で、俺ら生徒会は敗けたんだ。……現に俺以外やられちゃったみたいだしな……」
そう言うと、時雨は自分のエンブレムを剥がして、地面に捨てた。
「……て…ことは……」
「私達の……勝ち……?」
一瞬沈黙した後、皆は一斉に喜んだ。
その声は、山下公園中に響き、また開業学園でもそれは同じだった。
ついに生徒会に、粛正委員会に勝った!
残るエンブレムは、俺と九条の二枚。
次回へ続く!!
次回、最終話です!




