【第59話『ついに最終局面へ』】
【5月23日(土)・14時50分『横浜みなとみらい・山下公園・噴水近くの階段』】
━━━辺りの重力が増したかのような威圧感が襲う。
噴水から階段に沿って流れる水が、水面を震わせる。
『!?』
光司・彩香・千晴は、その威圧感を感じる階段の上の方を見た。
そこには、怒りを現にする生徒会長の天草と、同じく生徒会の最後の一人、時雨の姿があった。
「桐谷はどこや……?」
その天草の言葉の意味が分からず、三人は返事をしない。
だが、天草が答えを発する。
「飛鳥をやった桐谷はどこかと聞いてんや!!」
『━━━ッ!』
威圧感が更に増した。
「何を━━━」
光司が反論をしよいとした時、更にややこしい事態が起こる。
\おーおー、ぞろぞろと猛者が揃ってるじゃねぇか!!良いね、良いねぇー!/
『!?』
そこには桐谷が楽しそうに歩いて来ていた。
「強そうな気力を感じて来たら、まさかお前と会えるとはよぉ、なぁ一之瀬光司!」
「桐谷っ!」
「桐谷……っ!見付けたで!」
光司・桐谷・天草の三者の間には、今まで以上の緊張感と気力がぶつかり合っていた。
特に天草は、飛鳥を倒したのが桐谷と思っているため、殺気が漏れていた。
他の誰かなら未だしも、桐谷に負けたと言うのは許せないようだ。
現在の状況を改めると、階段の上には生徒会及び粛正委員会の天草と時雨がいて、その階段の下には生徒会の時雨と泉堂を打ち破ってきた光司と紗綾、それと1年最強の女子、千晴がいた。
更にその両者のど真ん中には数々の戦歴を持ち、つい今しがた四武生の慶太と南場を相手に三つ巴戦を繰り広げて生き残った狂犬・桐谷がいた。
「チッ……まさかこんな早く勝負が着くとはな……こんなことなら、五十嵐を倒したもう一人の巨大な気を放つ奴と戦いたかったぜ」
「……なんやて? 飛鳥やったんはアンタじゃないんか?」
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「開業学園の体育館」
雪はトイレから帰って来た渚に声をかける。
「ナギヤンー大丈夫だった?」
「あ、はい、おかげ様で」
「そっか。トイレ遅いから心配したよ」
「あはは、試合の方はどうなりましたか?」
「凄かったよ! 生徒会の人が謎の女性に圧倒されたんだから!一体誰だったんだろな~。 ……でも、慶太がやられちゃったんだ……まあどうでもいいけど」
「どうでもいいのですか!?」
「もちろん。そもそも慶太は油断し過ぎなんだよぉ」
「はぁ」
「あれ?そういえば天王洲さん、靴やスカートが汚れてるよ?」
「え……?あ、いえ、最初から汚れてましたよ?」
「そうだっけ?ん~、そうだったかな~」
「はい」
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「山下公園の噴水広場」
「飛鳥を倒したの人物は今度探すとして……今はエンブレム争奪戦、始めよか?」
「ああ、そうだな。九条、千晴、気を抜くな━━━!」
ブォッ!
「!?」
その瞬間、桐谷の蹴りが光司の目の前まで迫ってきた。
パシッ!
光司はギリギリで蹴りを両手でガードして、直撃を防いだ。
「何のつもりだ!桐谷っ!」
「俺はお前と戦りてぇんだ!生徒会なんざどうでもいい、俺と勝負しろ!」
「お前……っ!」
光司が戦闘体勢に入ろうとした瞬間、千晴が光司を止めた。
「千晴……?」
「お兄ちゃん、ここは私に任せて先に言って……」
「ばっ!何をいってんだ!ダメだ!あいつは危険だ!」
「大丈夫だよ、私の予想が正しかったらこの勝負、勝てるっ!」
「何を言って……っ!」
「私を信じて?お兄ちゃん」
その時光司は決意した。
この場は千晴に任せようと。
それは千晴の眼に真剣さと、勝利への核心がみなぎっていたからだ。
「……わかった。ただ気を付けてな……」
「うん!」
そして千晴は桐谷の方へ歩いていく。
桐谷は不満の声を漏らす。
「……おい、どういうつもりだ?俺は女・子供相手でも容赦しねーぞ?」
「大丈夫です、桐谷先輩。私こうみえても━━━」
千晴は桐谷の懐まで歩いていき、そして桐谷の腹に手を当てた。
その瞬間、振りかざしてもいないのに、千晴の手からとてつもない力が加えられ、ドンッと桐谷を後方へ押し返した。
「中国拳法の達人ですから。自分で言うのはアレですけどね、あはは」
「なるほど……おもしれぇ」
桐谷と千晴は再び対峙し合う。
更に光司と紗綾も、天草と時雨の前に立つ。
そんな現場を見て、天草は楽しそうに笑う。
「くはっ!おもろくなってきたは♪」
次回へ続く!!
お待たせいたしました!ミラカタ更新です!
ちなみにですが、この話の時点で他のエンブレム争奪戦参加者は、最後に噴水側の階段に集まった者のみです。
ほとんど生徒会に潰されました。




