【第58話『第四戦「五十嵐飛鳥vsキティ・キャット」』】
【5月23日(土)・14時35分『横浜みなとみらい・山下公園・海辺沿い』】
その裏では木陰に隠れながらこの瞬間を待っていた、飛鳥がついに動き出した。
「今ね!(桐谷に止めをさして、三人とも捕縛する!」
飛鳥が木陰から飛び出そうとした時、後方から何かが来ると気配を察知した。
その瞬間、蹴りが飛鳥の顔に目掛けて飛んできていた。
飛鳥はそれを瞬時に見切り、木の上へジャンプして避けた。
尚、このやり取りは双方共に物音一つ立てなかった為、桐谷達は気付いていない。
「誰!」
そして飛鳥が下の方を向いて問い掛けると━━━そこには防止を被ってサングラスをかけ、更にはレオタードのような服にマントを身に付けた、見るからに変な人がいた。
その謎の少女は低い声で言った。
「わ、私の名前は━━━き、キティ・キャット! あなたを…倒させて頂きます!」
「変態な上に強引━━━って!?」
しかし飛鳥が気付いた時には、すでにキティが目の前までジャンプをしていた。
そして、鋭いキックを放つ。飛鳥は屈む事によって交わしたが、髪を少し斬った。
「いきなり攻撃とか非常識にも程があるわよ!?」
「あ、貴女には言われたくありませんっ! 場所を変えましょう!」
そう言うと、キティはその場から離れていった。
それを飛鳥も追う。物音一つ立てずに。
桐谷は思った。
(物音立てなくても声がまる聞こえだっつの……にしてもあいつら、かなりの使い手だったな。特に“最初から観ていた奴”じゃなく“途中から来た奴”……ただならぬ気を感じた……何者だ……?」
桐谷は連戦で飛鳥やキティ・キャット等と戦わずに済み、内心ホッとしていた。
とりあえず、慶太や南場の身体を探って見付けたエンブレムを握り、その場を後にする。
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ここは山下公園噴水広場。
階段とその階段の横を、上の噴水から流れてくる水が綺麗な線を描いて流れているのを見ることが出来る場所、そこにキティと飛鳥がやってきていた。
キティは噴水広場の階段の上から下を見下ろす。
その階段の下には飛鳥が睨み付けていた。
「あんたが何者かは知らないけど、邪魔をするなら潰すわよ?」
「わ、私だって、弱った相手を狙うあなたを許しません!」
キティはなぜか照れながらも、堂々と飛鳥を指差した。しかし素顔が見えない。
「生意気言うじゃない、子供の癖に」
「あ、あなたも女の子じゃないですかっ」
「ふん、どうでもいいわ」
飛鳥は背中に差していた短い棒を三本取り出し、そして組み立てた。
そうすると、その棒は一つの長い棒となり、棍棒と言われる武器になった。
「ちなみに言っておくと、これは棒ではなく仗だから。私はこう見えても仗術の使い手だからねっ!」
ビュォン!
飛鳥はその仗を振った。
その瞬間、風の刃が発生しキティに襲い掛かる。
「わわっ!」
キティは階段の上から下に向かってジャンプをした。
風の刃はさっきまでキティがいた踏み場を切り裂く。
キティは飛鳥の側に飛び降り、そのまま蹴り技を繰りだす。
その踊るような蹴りの数々を、飛鳥は仗で防いでいく。
「脚には自身ありそうだけど、当たらなきゃ意味無いわね!」
ガガガッ!
「そのダンスのような蹴り裁き、貴女、カポエイラ使いね!?」
「ご存知みたい……ですねっ!“風切り”!」
「!」
その瞬間、一撃だけ蹴りの速度が上がった。
それは先ほど飛鳥が放った風の刃と一緒で、キティの蹴りからも風の刃が放たれたのだ。
飛鳥は驚き、ギリギリで交わした。
(重心が崩れた!?)
「消えっ━━━」
キティは飛鳥の前から忽然とし消えた。
一瞬視界から消えたと思うほど、姿勢を低くしたのだ。
そして両肘を地面につけ、頭を大地ギリギリまで近付けながら両足を乱回転させた。
「“風車の舞”」
キティのその乱回転蹴りは、まさに風車の如し。
わずか一瞬で、飛鳥は体中を蹴られまくって、地面に倒れた。
「つよ…ぃ……」
飛鳥は服がボロボロだったが、不思議と傷はついてなかった。
有るのは打撲のみだ。しかし、その打撲は一時的にとはいえ四肢の動きを麻痺させていて、エンブレムを奪うことが出来た。
「ふぅ……か、勝てました……」
その時、向こうの方から誰かが近付いて来たことに気付いたキティは、常人離れしたジャンプ力でその場から居なくなった。
そして気を失っている飛鳥の側に現れたのは、紗綾と光司と千晴の三人だった。
「これは……(とてつもない気力を感じたから、来てみたけど一体何が会ったの…?)」
「こいつは生徒会の奴か……(生徒会が敗ける程の相手ってどんなんだ?)」
「なんか地面が綺麗に斬られてる……」
彩香・光司・千晴は口々に疑問の言葉を並べた。
次回へ続く!!




