【第56話『幽霊の騙し打ち』】
【5月23日(土)・14時15分『横浜みなとみらい・山下公園・海辺沿い』】
『!?』
慶太と桐谷は捲れ上がった地面を見て、それぞれに思った。
(足で地面割るとかボクシングの技じゃないだろ!?)
(気力を脚から振動波として放ったのか。そういう活用法もあるとはな)
そう思いながら、桐谷と慶太は左右にジャンプをして、地割れ攻撃を回避した。
「やっぱ避けられますかぁ。では、対人戦ならそれなりに有効かと思ったんスけどね。でも、次のは避けられないと思いますよ!」
南場はボクシング特有のステップでリズムを刻みだした。
そして、タァンタァンとジグザグに動きながら、桐谷と慶太の方へ移動していく。
二人は警戒して構え、どんな攻撃が来ても正面から潰せる準備をした。
それでも南場は止まらない。それどころか、ジグザグに動くフットワークが速度を上げてきている。
「……!」
その時、桐谷は南場の動きに違和感を覚えた。
「……今、奴が二人いなかったか?」
そんな桐谷の呟きを聞いた南場が一言発した。
「見たッスね!」
南場がニヤリと笑った瞬間、信じられない事態が起きた。
南場の動きがブレて見えだしたのだ、そのブレはやがて三人の南場を生み出し、ジグザグにフットワークを踏みながら桐谷に接近していく。
桐谷と慶太は南場がどれだか分からないため、自分に近い南場(?)を向かい射つ。
「ぐぁっ!」
「っ!」
だが桐谷と慶太は南場に殴られ、ダメージを負ってしまう。
「残念♪ハズレッスよ? どうです?オレのファントム・フェイク・ヒット(幽霊の騙し打ち)は?」
桐谷は忌々しそうに唾を吐いて南場を睨む。
「変則な動きと高速から生み出される分身……いや、残像と言うわけか」
南場は桐谷の答えにニヤリと笑う。それは正解と言うことだろう。
慶太もそれには気付いていたのか、ちっと舌打ちをする。技の正体が分かっても、本体が特定出来ないのでは技を破ることが出来ない。
慶太から冷や汗が流れる。そして、桐谷と南場を見回して、つい溜め息が出てしまう。
桐谷に有るのは戦いへの快感。ただそれだけだ。
南場も同じく戦いに、楽しさを感じている。
この好戦的な二人を見れば、溜め息の1つでも吐きたくなる。
「ったく、この戦闘狂共め!」
「一回目は完全に決まらなかったから、次で二人ともノックダウンにしてあげるッスよ!」
南場は再び“ファントム・フェイク・ヒット(幽霊の騙し討ち)”を使った。
しかし桐谷はニヤッと笑って、足を上げた。
「同じ技をそう何度も喰らうかよっ!“激・震”!「」
桐谷が足を降り下ろした瞬間、全包囲に衝撃波が放たれた。
辺りの地面にはヒビが入り、風が吹き荒れた。
桐谷の後ろにいた南場は、その風に押され身動きが封じられてしまう」
(スキが出来た!)
慶太は南場が桐谷の技によって、気を取られていた内に空高くジャンプをしていた。
慶太は背を低くして、南場の腹に目掛けて飛び蹴りを構えた。
「テンペスター・キック!」
ゴォッ!
「━━━!?(いま風が吹い━━━)」
その瞬間、南場の目の前に突風が巻き起こった。
南場はその一瞬で、吐血をし弾丸のように後方へ吹っ飛んだ。
次回へ続く!!
どもども、焔伽 蒼です!
更新遅くなりました。そろそろ、第1部も終わりに近づいてきました。
多分、70話は行かないんじゃないかと思います。それと、俺充も更新します。




