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未来の彼方  作者: 焔伽 蒼
生徒会決着編
47/69

【第44話『初戦!光司vs彩香』】

【5月23日(土)・12時00分『横浜みなとみらい・山下公園』】



風が吹く。

嫌な風だ。だがそれは、友人同士が戦うと言う、過酷な試練の前には相応しい風行きだった。




「まさか九条と戦う日が来るとはな……」



俺はフ……と遠い目で笑う。九条は少し寂しそうな表情をしていた。



「仕方無いよ……、それが私達の運命なのだから!」



九条は涙目だ。

俺も苦しく、辛い……それでも前を向く。



「運命……か。悲しき運命(さだめ)だ」


「私達は闘うしかないの!だから……だから!」


「言うなぁ!それ以上は言うな……決心が……揺らぐ……!」



俺は唇を噛み締めて拳を握る。



「そう……だね……、ごめんね」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



【開業学園・体育館】



そんな二人の感動なやり取りをモニター越しで見ていた、雪は思った。



「……(なに?この三文芝居……)」



雪は分かっていた。このやり取りが二人による悪ふざけの演技だという事が。



「ていうか、二人ともノリノリだね……」


「な、泣けます~。

二人がそんな運命のもとに生きてたなんて~ぐすっ」


「泣いてる!?」



素直に騙されていた渚を見て、雪は驚愕した。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



【横浜・山下公園】



「……とまあ、冗談は置いといてそろそろ始めるか?」


「うん、そうだね……。 前のように勝った方が諦めるでいいんだよね?」


「ああ」



勝った方が諦める勝負か……、子供の頃公園の遊具で遊ぶ時に一台しかないという事で、よく順番で揉めたんだよな。


そんな時に、九条のお母さん……朔夜(さくや)さんが「ケンカはダメです、じゃんけんして勝った方が、負けた人を(いたわ)って譲ってあげましょう」って、優しくいってくれたんだよな。


今は亡くなってしまったけど、俺や九条はあれ以来言ってくれた事を守り、勝った方が諦めると言う特殊ルールを作ったっけ……。



「まぁ、何はともあれ……」


「お互い諦められない理由があるからこそ……!」



俺と九条は口を揃えて言う。



『勝負ッ!!』



俺達の間には、急な風が吹き荒れる。それは互いに気力を放っているからだ。


九条も本当に本気で来るみたいだな!


そして、先に動いたのは九条だった。

背中に背負っている矢籠(やかご)から、矢を5本取り出した。勿論非殺傷用に先っぽは丸い木板で作られていた。



「当たっても死なない木張の矢でも、当たり所によっては骨ぐらいは折れるから気を付けてね。【五手(ごて)射ち】!」



五本の矢を弓に装填(そうてん)し、同時に放った。普通なら弓や弦を傷める上に、矢はバラバラに飛び、距離も大して飛ばない射ち方の筈だが……流石は女性唯一の四武生だ。


弓と弦にダメージを与えず射る技術、気力による方向操作と距離飛躍。どちらも常人を逸した技だ。



「怖いことを言ってくれるよ!」



俺はグチりながら、向かい来る矢を交わしていく。

この程度なら交わすのも難しくない。


だが、どうする……?


俺の八卦無天流は、近接戦用の武術!遠距離重視の弓矢は分が悪い…!

しかも、相手があの九条彩香ともなれば尚更だ。


九条彩香。それは遥か昔に遡るが、この“九条家”と言うのも俺や千晴の“一之瀬家”と同じで武術を極めた流派の一族でもある。


この日本には古来より“天涯九家(てんがいくけ)”と言われる、それぞれ九つの武術を極めた名家が存在する。



その多くは消息不明だ。


現存されているのも、一之瀬家が伝える“八卦無天流”と、九条家が伝える“飛翔羽翼流”だけで、他は確認されていない。


そして、九条家の飛翔羽翼(ひしょううよく)流は、古来から弓矢を使う一族。


その独特の射ち裁きと、独自に改良された弓矢と気力の合わさった攻撃は、まさに自由自在!


遠距離において九条に勝てるのは、そうはいないだろう。


だからこそ、まず九条の間合いに入らないと勝ち目がない!


それに見たところ、まだ九条は飛翔羽翼流の技は使っていない。



「だったら!」



ススス……



目の前に両手で、円を描く。あれを試してみるか。



「……?(あの動作は……)」


「遠距離攻撃は俺にも出来るぞ!【八卦無天流“飛牙(ひが)蒼天撃(そうてんげき)”】!」



両手を前に勢いよく突き出すと、その衝撃波がまるで牙のように飛んでいく。


日暮戦の時に盗んだ技を、更に八卦無天流風に改良した新技だ!

威力も速さも、あの時の3倍はある。



「その技は知ってるよ!【七手(ななて)射ち】!」



七本の矢は、衝撃波に向かって飛んで来る。



(衝撃波なら、物質をぶつければ相殺出来る!)


「甘い!」


「!?」



その瞬間、七本の矢は確かに衝撃波にぶつかるが、見事に矢を粉砕し衝撃波は相殺しきれず、まだ飛んでいく。



「うそ!(以前より気力の出力が上がってる!?)」



九条は右にジャンプして、衝撃波を交わした。


しかし体勢を立て直す前に、俺はすでに九条の間合いに入っていた。


九条が衝撃波を相殺するために矢を放った瞬間、俺は八卦無天流独自の高速歩法【瞬蹴(しゅんきゃく)】を使い、間合いに入っていた。



「もらった!」


「……っ!」



次回へ続く!!


どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


今回は次回予告をします。


次回は前後編ストーリー(今度はホントに前後です)になります。

メインは彩香と光司ですね。時期も6年前に戻ります。ちなみに過去編ですが、的場雪篇のように九条彩香篇ということではないです。それは別の機会にやります。

少しですが、フラグが解消されます。

そして、この前後編は個人的に一気読みをして欲しいので、同時配信するつもりです。今しばらく、お待ち下さい。

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