【第43話『エンブレム争奪戦』】
【5月23日(土)・11時30分『横浜みなとみらい・山下公園』】
ここは横浜の湾岸沿いに作られた人口の公園。海を埋め立て、1930年(昭和5年)3月15日に開園した、面積74㎡もある巨大公園だ。
散歩やジョギングコース、またペットの散歩や海や船を見に来る人達で賑わっている。
特に夏になると花火が見れる絶景スポットで、かなりの人が利用する横浜名場の1つだ。
そんな山下公園を生徒会の連中は貸し切りにして、エンブレム争奪戦なるイベントを行おうと言うのだから驚嘆する。
現在、ここには150人弱の開業の生徒がいる。皆、エンブレム争奪戦に参加するメンバーだ。
かなりの数が参加したな……。中には実力者もいるようだし。
その実力者の中でも有力候補である慶太や紗綾と言った四武生を始め、桐谷や生徒会のメンバー、他にも気力使いが何人か参加している。
中々荒れそうな雰囲気だな。
因みに俺達、参加生徒以外の生徒は、学園の体育館に残り、泉堂財閥特徴の超高画質巨大モニターによる生中継を見ていた。
今回、天王洲さんと雪は見学側に回っていた。二人とも武術の心得はないし、こんな野蛮な連中の為のイベントになんか参加させたらケガしちゃうからな。
雪を説得するのは大変だったが……。あいつ、「例え武力で劣っても、智力でカバーして見せるさ!」等と言っていたが、それはあくまで相手が常人レベルの話だ。
このイベントには桐谷や生徒会が参加してくれ。単体での知略戦は、ほぼ通用しないだろう。
だから俺は「お前にケガとかして欲しくないんだよ。今回ばかりは我慢してくれ」と真剣に頼むと、雪は照れた様子で素直に引き下がってくれた。
何で照れたんだろう?
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【同時刻・開業学園・体育館】
「そういえば的場さん、今回は参加出来なくて残念でしたね」
「知略勝負なら負けないけど、こういう乱闘戦は僕には合わないからね。(……それに光司君に心配されたのが嬉しいと言うのもあったんだけどね)」
雪の答えに、渚は頷く。
「確かにそうかも知れませんね。……ですが、最後まで残るのは誰なんでしょう……?」
「うーん……有力候補は四武生の人達かな。光司くんや狂犬くんなんかは大株だろうし。
でも……生徒会のあの五人……情報不足のせいで、実力は分からないんだよね。間違いなく四武生クラスの実力だとは思うんだけど」
「やっぱり心配になっちゃいますね……」
「そうだね……」
雪と渚が皆の心配をし合っている中、、エンブレム争奪戦開始のラッパ音が鳴り響いた。。
合図音の提案者“山田平八郎”、二つ名“昭和の思い出”。
ちなみに二つ名の命名者“天草荘司”生徒会長なのだが、今は関係のない話。
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【5月23日(土)・11時45分『横浜みなとみらい・山下公園』】
パパパァ━━━♪
愉快な音調を奏でるラッパ音が耳を燻る。
確かに祭りっぽい音色だが、このイベントはそういった明るい催しじゃないぞ……。
いろんな所から殺気が行き交っていて殺伐としている。
そんな皆を見渡していた天草が合図を出した。
「さあこれより!エンブレム争奪戦、開始や━━━!」
\オォォォオ/
参加者の生徒は、各々散り出し、一旦他の参加生徒と距離を置いた。
俺もこの場から移動することにする。
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「おーおー、皆ぎょーさん散り出してるなー」
「あらあら、会長楽しそうですわね」
「そらな。いくら上からの命令とは言え、闇討ちなんて俺らの騎士道が許さへん」
「それならイベントにして、堂々と叩こう……と言うことですわね」
泉堂の問いに、天草は楽しそうに答える。
「そうや。ささ、これからは各々仕事につくで!ちゃんと仕留めるよーに」
「わかりましたわ」
「これで一之瀬光司と再戦が出来る」
「そういえばアンタ、一之瀬に負けてるのよね」
「直ぐに終わらせる」
天草・泉堂・日暮・飛鳥・時雨の生徒会メンバーも、各々に散った。
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【12時00分】
俺は千春と一緒に行動していた。俺達には目的があるからだ。
「お兄ちゃん、絶対に勝とうね!」
「ああ。必ず勝って賞金を手に入れて、少しでも生活費を増やそう!」
確かに母親はいるが、絶賛出張中のため、ほとんど家には帰ってこなく、いろいろと大変なんだ。
元はと言えば、母さんがちゃんと仕送りをしていれば問題ないと言うのに……っ!
そんな風にイライラしていると、俺達の前に九条が歩いてきた。
何やら深刻そうな顔をしている。
『…………』
少し無言でにらみあったが、九条は哀しそうな、悔いるような表情をしているのが分かる。
……俺はその原因を知っている。
このエンブレム争奪戦、賞金10万円。
これは誰もが欲しがる額だ。
特に俺達みたいな“家庭の事情”があるやつなんかは勿論、普通の裕福な生活を送ってる奴にだって手に入れたい程の金額だ。
そしてこれは九条にも当てはまる。
九条にも家庭の事情があるんだ。
「一之瀬君……悪いけど、本気でいかせてもらうね……っ!」
「祖父母への仕送りか?」
「……うん……両親が死んでから、私の事を育ててくれたお婆ちゃんやお爺ちゃん……私、まだ何も恩返し出来てないから」
これが理由だ。
俺の事情も九条は知っている。だてに幼馴染みではない。
だけど……だからこそ、俺達は退けないと言う結論が出る!
互いが退けない事を俺達は知っているからだ。
となると、残った選択は━━━戦って勝つこと!
「ごめんなさい!一之瀬君、千晴ちゃん!」
九条は弓矢を構えた。
「俺もだよ……すまん!」
俺も八卦無天流の構えを取る。
『勝った方が諦める!』
次回へ続く!!
どもども、焔伽 蒼です!
今回は生徒会がついに全員動きました。彼らは騎士道精神を持っていたり、上の連中と言われる背後に組織がついていたりと、色々と複雑な存在ですね。
また四武生の彩香と光司の戦い、1戦目から味方同士です。さあ、どうなるのでしょう?
今回のエンブレム争奪戦は、意外なカートが連続するかもです!ではw




