【第40話『桐谷の接触』】
【5月22日(金)・12時40分『横浜・開業学園・グラウンド』】
【全体視点⇒光司視点】
結局、ヤクザは謎の空襲によって壊滅したみたいで、佐藤の安全を確保したどころか、借金まで踏み倒せる運びとなった。
色々と一段落着いてから俺は、千晴・慶太・九条・雪・天王洲さんの皆と一緒に下校するためグラウンドを歩いていた。
『……』
だが俺達は下校をすることなく、グラウンドの中心辺りに止まっていた。
「よォ。待ってたぜ」
そう言ったのは桐谷だ。あいつ……俺達を待ち伏せしてたのか!
張り詰めた空気。睨め合う俺達。
桐谷は虎のような鋭い目で俺を睨んでいた。
桐谷がなぜ睨んでいるのかと言う焦りと疑問、相手があの“狂犬の桐谷”と言われている札付きの悪党と対峙している緊張感等が俺達の心を満たしていた。
そんな時、桐谷はククッと笑い、俺の目を見て話し掛けてくる。
「オマェ、確か光司とか言ったよな?」
「……あぁ、そうだけど」
「俺と勝負しようぜ」
『!?』
そこにいる全員が驚いた。
いきなり俺と勝負?
何を言っているんだ、この男は……。俺らが戦うことに何の意味があるんだ。いや、なんの意味もない。
狂犬の桐谷……二つ名通り危険な奴だな……。
「……で、俺がそれで“わかった、勝負だ”と言うとでも思うか?」
「言うと思うぜェ!だってよぉ……!」
ダッ!
その瞬間だった。
桐谷は右足で地面を蹴り、かなりの速度で俺の方に向かってきた!
すでに俺と桐谷の空間は1mもなく、まさに懐に入って来ようとしているところだ。
(速い!?)
「おせェ!」
間合いに入り込んだ桐谷は右アッパーを斜め下から、顎に目掛けて放ってくる。
初手で死角からの、しかも急所攻撃。
だが攻撃事態が見えなくても、殺気と風の流れで攻撃が来ると反射神経レベルで察知して、左手で桐谷のアッパーをキャッチして止めた。
すると桐谷はハッ!と、愉しそうに鼻で笑った。
「こいつを交わすか!良いねェ、今までの奴ならコレで即脳震盪一発KOなんだがなっ!」
砂ぼこりを撒き散らしながら、再び攻撃を仕掛けてくる。
「テメェも本気でこいっ!」
「言ってくれるよ!」
俺の八卦無天流はあまり人目のある所では使いたくないってのに…!
だが奴はすでに拳を放っている!しかも今度は突き拳の溝狙い!
まともに喰らったら暫く呼吸も出来なくなる…っ!
「……っ!使うしかないか!八卦無天流━━━!?」
「あ!?」
その時だった。桐谷の動きが止まった。
いや違う……正確には止められたんだ!
そう、桐谷の右腕を慶太が押さえていて、左腕を千春が押さえていた。
そして九条が俺と桐谷の間に立ち、弓矢を引き、いつでも桐谷を狙える位置に構えていたのだった。
流石の桐谷も、これだけの強者に押さえられては、慎重にならずにはいられなかったのか、身体の動きを止める。
「いきなり攻撃してくるのはどうかと思うぜ?」
「お兄ちゃんに攻撃しないでっ!」
「これ以上攻撃するなら、私達が相手になります……っ!」
俺は皆の仲間思いな態度に嬉しく感じる。天王洲さんも、カバンから警棒を取り出して必死に威嚇しようとしている。妙に可愛いな。
桐谷は周りを見て、焦るどころか更に笑う。
「……ハッ!開業最強の四武生“梶間”と“九条”に、四武生候補の“一之瀬千春”か。そして、それらの強者達が認める男“一之瀬光司”。今すぐ本気で闘り合いたいが、流石に分が悪いか……」
桐谷はさっきまで熱強く攻撃してきた割には、冷静に分析して考え、構えと気力を解いた。
それらを見た皆も構えを解き、一歩後ろに下がった。
「次闘る時は本気で来いよ。光司」
そう言うと、桐谷はグラウンドの外に消えていった。
「……桐谷啓吾……」
俺は物思いに考えた後、皆と一緒に横浜駅に向かった。
だがその場にいた者は皆感じていた。
“何か嫌な予感がする”と。
「……」
「どうしたの、渚?」
「あ、いえ……帰りましょう!」
次回へ続く!!
どもども、焔伽 蒼です!
ついに40話です!ここで少し報告を。
ミラカタ配信中もしくは終了後に新しい物語を創ります。ジャンルはファンタジーです。僕が高校時代に友達に個人配信していたものを、リメイクしてこちらへ配信するつもりです。
ミラカタ並みの長期連載になります。それでは!




