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未来の彼方  作者: 焔伽 蒼
生徒会激突編 後期
39/69

【第36話『泉堂茜vs桐谷啓吾』】

【5月22日(金)・8時50分『横浜・開業学園3階・生徒会室』】



【光司視点⇒全体視点】



生徒会室。開業学園の3階にある生徒会役員専用の部屋だ。


そこに生徒会長の天草と、生徒会会計の泉堂がいた。

この二人の共通点は“冷静沈着”な所なのだが、今回に限っては違った。


二人は揉めていた。天草が泉堂に何かを叫んでいるようだ。



「落ち着きぃ、泉堂さん。気持ちは分からんでもないが、仮にも生徒会や。一般生徒の前での揉め事はあかん」



そんな天草の言葉に、泉堂は冷たく笑う、



「あらあら。落ち着けですって?

私の部下達(風紀委員)が全滅したのですよ?

これが落ち着いていられる訳がありませんわ」


「相手は桐谷や。ともなれば泉堂さんもアレを使うわけやろ?」


「ですわね。でも安心して下さいませ。ちゃんと人が居ないのを確認してから使いますので」


「しかしやな、上のお偉いさん方に悪評価されるで」



その言葉を聞いて一瞬深刻な表情をした泉堂だが、直ぐにいつもの笑顔を見せ生徒会室の扉へ歩いていく。



「構いませんわ。(わたくし)は、今すぐにでも狂犬の(しつけ)に行かせて頂きますわ!」



\今すぐにでも…何だって?/



その時、窓の方から人の声がした。二人は驚き、その声の方へ向く。


そこには窓辺に足を駆けて、腰を落ち着かせている桐谷の姿があった。



「……(いつの間に…)」



天草は自分達に気配を察知されることなく、ここまで接近していた桐谷に驚いていた。


その天草の表情をチラッと見た桐谷だが、直ぐに視線は泉堂の方へ向けられる。

桐谷は嘲笑しながら「よォ……」と泉堂を逆撫でするような声音で語りかける。



「俺のことを探してんだろ?風紀委員長さんよォ。奇遇だなァ。俺もアンタを探してたんだ」


「……よもや、貴方から来て頂けるとは思いませんでしたわ」


「そうか? あんな雑魚連中けしかけといて、俺が黙っていると本当に思ってるのか?」



泉堂の眉間がピクッと反応する。きっと部下達である風紀委員を雑魚(ザコ)呼ばわりされたのに腹を立てたのだろう。


ニコニコと笑う泉堂……。しかし、妙な圧力を感じる。



「あらあら……これは断罪すべきですわね……」



その瞬間、泉堂からとてつもない殺気が放たれた。


その殺気による圧で、側のカーテンや、机の上にあるプリント等がバサバサと吹き荒れた。


━━━そして、桐谷の髪が不自然な方向になびく。



「!?」



ガシャーーン!!



その時、桐谷が座っていた生徒会室の窓ガラスに向かって、鎖が突き抜けていった。


顔を狙って来た為、外に飛び出して桐谷は交わした。

桐谷は3階の高さから中庭に落ちたが、そのまま壁面を蹴り側の木に飛び移って衝撃を緩和し、さらに体を回転させることで、地面に綺麗に着地した為、衝撃もほぼキャンセルした。



「やりますわね」



泉堂は窓辺に足をかけ、鎖を壁面に設置されてある水道管に巻き付け、それをロープのようにつたいながら、ゆっくりと地面へ降り立った。


その際にふわぁとスカートが捲れたが、桐谷はそんな物に興味はなかった。


いま興味を示しているのは泉堂自身そのものだった。



「いきなり攻撃かよ。てめぇら風紀委員ってのは学園の秩序を護る組織じゃなかったのか?」



泉堂はフフと笑う。



「そうですよ。我々“風紀委員会”は、学園に害をなす者を徹底的に叩く。それがモットーですの。その信念に基づいて行動してるまでですわ」


「叩く……ねェ。はっ!物騒な秩序改正もあったもんだぜ!」



桐谷は愉しそうに拳を握り、また泉堂もニコニコ笑いながら鎖を放ち、それら二人の攻撃はぶつかり合い、気が四方に弾けた。


鎖を桐谷は掴み取り、そのまま引っ張るが泉堂は即座に鎖を放す。



「ああ!大事な武器を手放してどうするつもりだァ!そんなんじゃあ、俺は倒せねぇぞ!」


「あらあら、吠えてますわね“狂犬”さん。

ですが……ただ吠えてるだけでは、(わたくし)には勝てませんわ」



二人は互いに挑発しながら、攻勢を始める。

泉堂は鎖を制服の中から2本取り出し、桐谷に目掛けて放った。


だが桐谷は鎖を、紙一重で交わしながら泉堂へ接近し間合いに入る。



(全て紙一重で交しながら前進してくるとは……驚きですわね)



桐谷は泉堂の顔を睨み付ける。



「俺はお前の“断罪”を受ける気にはねーぜ!」



桐谷は正拳を繰り出す。

だが泉堂は慌てることなく、両手を背中の服の中に突っ込み、そこから刀を取り出す。



シャァァ!と刀が鞘から抜かれる。



(双刀!?)


「殺しませんわ。ですが、貴方には部下達の借がありますわね。……ですので、その両手!もらいますわ!」



シュピィッ!



刃が風を斬る音がなる。

2つの刀が、桐谷の両手を狙って襲い掛かる。

泉堂の武器の扱いは凄まじい。武士のソレを上回るような剣筋をしている。


刀が手を切り落とすまでに0.1秒くらいのタイムラグしかない。



(確実にもらいましたわ!)


「くくっ」



その時、桐谷は絶体絶命のピンチにも関わらずニヤリと笑った。


「……っ!」



泉堂は苦虫を噛むような表情をした。

確実に両手を取ったと思われた泉堂の刀は、予想外にもその両手に止められていた。

正確には泉堂の両手首を、桐谷の両手が押さえ付けている状況だ。


引くことも防御することもせず、あえて前進した桐谷の行為。一歩間違えれば、両手どころか身体まで斬られていたかもしれないリスクがあったのに、桐谷は平然とリスクを踏まえた上で行使してきたのだ。


実際、両手首を抑えられては、刀を振るどころか両手の自由がない。


これには流石の泉堂も焦り、いつの間にかニコニコとした笑顔が消えていた。


そんな姿を桐谷は楽しそうにしながら、泉堂の腹に回し蹴りを入れた。



「あぐっ!」



メリメリと蹴りが腹に食い込む。カハッと唾を吐き出し、泉堂は刀を手から放して、地面に膝をついた。


腹を押さえながら、泉堂は喋った。



「そんな回避法があるなんて……!リスクへの恐れを知らないのですか、貴方は!」



桐谷は笑いながら、泉堂に言った。



「リスクなんざに構ってたら、喧嘩を趣味に出来ねェだろ?」



泉堂は悔しさと怒り、そして痛みから歯をギリッと噛み締めながら、立ち上がった。



「仕方ありません……ね。こうなれば奥の手を使わせて貰います。今度の貴方に迫るリスクは大怪我等ではありませんわ。……そのリスクは“死”」



泉堂の目は本気の目になっていた。

常に笑顔を欠かせない泉堂が、目を開き真剣な表情で真っ直ぐ桐谷の目を見ていた。



「魅せて差し上げます。

我が暗器術の極意を━━━!」



泉堂の服からはあらゆる武器が出てきた。

しかも刀・鎖・鎌・槍・斤、その無数の武器には気力が込められている。


桐谷は冷や汗を垂らしつつ、変わらない愉しそうな表情をしている。



「……武器使いってのは分かっていたが、……まさか暗器術を使えるのかよ」



「ご覧下さいませ、我が武技を!暗器「百器宴舞(ひゃっきえんぶ)



次回へ続く!!


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