【第32話『21時だよ!全員集合♪』】
【5月21日(木)・21時30分『桜木町みなとみらい・横浜第三コンテナ倉庫』】
倒されたまま放置された五十嵐が目を覚ます。
光司達はとっくに帰っていたので、倉庫には五十嵐1人しか居なく、シーンとした空気が満ちていた。
雨もいつの間にか止んでいて、屋根を叩く音もしない。
「くそ……くそ……くそくそくそくそくそがぁっっ!!」
ガァンとコンテナを素手で殴る五十嵐。怒りと屈辱で我を忘れているようだ。
「許さねぇ!殺してやる!一之瀬も的場も弓矢の女もまとめてぶっ殺してやる!!」
《フフフ、醜いな》
突如、何者かの声が響き渡る。
「誰だぁ!出てきやがれ!」
《おやおや?誰だとは失礼な奴だな。その玩具をくれてやった、親切な美少女のことを忘れたのか?》
その女はコンテナの上で、足を組んで座りながら五十嵐を見下ろしていた。
紅く染まったサイドテールの髪に、灰色の瞳をした幼げな少女。
見た感じ14・5歳と言ったところか。
その少女は無邪気な子供のような笑顔を浮かべ、五十嵐に告げた。
「お前期待外れ」
「あ?」ピキッ
キレた五十嵐に対して、その少女は淡々(たんたん)と告げる。
「所詮武器に頼るような奴に期待をするのが間違ってたか」
「……っ!テメェ、殺されたいのか!?」
五十嵐はマカロフをコンテナの上にいる紅の少女に向ける。
「……何のつもりだ?」
「俺はなぁ、今ムシャクシャしてんだ。余り舐めた口聞いてっと殺すぞ!ああ!」
「銃を下ろせ。誰に向けてると思っている?」
「お前も誰に命令してると思ってんだ?凶犬・五十嵐様だぞ!」
「その薄汚い玩具を私に向けるなと言っているんだ!虫けら!」
紅の少女の瞳が見開いて、底知れない殺気が放たれる。
だが一般人の五十嵐は殺気どころか、この倉庫を支配する圧すら感じ取れない。
ブチッ「テメェ死ねよ!」
五十嵐が銃の引き金を引いた。そこから放たれる弾丸は、1000キロの速度で飛んでいき━━━
ボゥンッと何もない虚空で炎が弾けた。
「な…に…!」
紅の少女はクスクスと笑っている。右手の人差し指には炎が灯っている。
火器を使っているわけではない。ただ単純に紅の少女の人差し指から炎が出現していたのだ。
しかし、その単純な事は自然界において起きる現象ではない。
ましてや、人間の指から出現するなんてなおのこと事だ。
さっき放たれた弾丸も、その炎によって消し炭にされたのだが、一体どうやったのかなんて五十嵐には分かりようもなかった。
「私に歯向かった罰だ」
ボボッと今度は人差し指だけではなく、全ての指に炎が灯されていく。
「【炎陣・火車】」
指から放たれた五つの火球は、五十嵐の周りを回りながら囲んでいき、最後には全ての火球が五十嵐に着弾していき一気に燃え上がった。
「ぎゃああああ!」
悲鳴をあげる五十嵐、それをクスクスと笑いながらコンテナの上から見下ろす紅の少女は静かに告げる。
「どうやら死ぬのは私ではなくお前のようだったな」
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~40分程前~
【5月21日(木)・21時00分『舞岡・一之瀬家・玄関前』】
【全体視点⇒光司視点】
「ついたー♪」
雪が元気よく玄関の前で両手を広げて跳び跳ねる。
「何でそんなに元気なんだ……」
「元気だけが取り柄だからね、僕は!」
無邪気な笑顔を見せる雪。不思議と俺まで笑顔になってしまう。
だけど俺には現在、解決しなければならない問題がある。
「一之瀬君が雪ちゃんとキスをした一之瀬君が雪ちゃんとキスをした一之瀬君が雪ちゃんとキスをした……ぶつぶつ」
「……」
怖い!正直めっちゃ怖い!横浜から帰ってくる間ずっとこんな感じだ。
最初こそ理不尽な弓攻撃を受けていたが、雪に「やめてあげて」と優しく言われてから、ぶつぶつと同じ言葉を繰り返し出したのだ。
「な、なぁ、雪……漆こ━━━九条のやつどうしちゃったんだ?」
「……わからないの?」
雪はえっ?と言った感じで返してきた。
「……すまん……皆目検討が付かん」
「前々から思ってたけど、光司君ってニブチンさんだよね~」
「いや、どういう━━━」
その時、ドアがガチャッと開かれる。そこから顔を出したのは、妹の千晴だった。
「あ、やっぱりお兄ちゃんだー。声がしたから迎えに来たー。どこへ行ってたの?」
そういえば、千晴には黙って出てきちゃったんだよな……。慌ててたとは言え悪いことをしてしまったな。
「悪い……勝手に家を出ていって。雪を迎えに行ってたんだ」
「あ、そうだったんだー」
「ヤッホー、チハチ~」
ヒョコッと俺の身体の前に現れる雪。千晴は嬉しそうにお辞儀をした。
「こんばんは、雪さん。……って、よく見たら雪さんも彩香さんもお兄ちゃんもびしょびしょ……。お風呂入ったほうが良いよー!」
「え!?良いの!?」
「勿論ですよー。彩香さんもどうぞ?」
「ぶつぶつ…え?あ、うん……ありがとう。入らせて貰うね。……でも、一之瀬君は?」
おずおず心配そうに俺を見てくる九条……良かった、いつもの九条に戻っている。
「俺は後で良いよ。レディファーストだ。先に入ってくれ」
「あ、ありがとう……」
「そっれじゃ行こー!」
「わ、私もですか!?」
雪は九条と千晴の手を引っ張って、風呂場へ走り去っていく。
「ついさっきまで泣いていたのが嘘のように元気だな……」
俺は苦笑して、居間へ入る。
「おう、光司。お邪魔してるぜ」
「や、夜分遅くに申し訳ございませんっ。お邪魔しています!」
━━━そこにはなぜか慶太と天王洲さんがいた。
次回へ続く!!
どもども、焔伽 蒼です!
いつも読んでくださる読者様、まことにありがとうございます!新しく読もうとしてくれている読者様、楽しんでいただければ幸いであります!
今回から生徒会激突編 後期開始です!今回の話で未知の力を使う少女が現れましたが、後に色々と明かされていきます!その前には生徒会と決着を付けないといけませんが)汗
ではでは~♪




