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未来の彼方  作者: 焔伽 蒼
的場雪篇
33/69

【第30話『謎のバイヤー』】

【5月21日(木)・20時30分『桜木町みなとみらい・横浜第三コンテナ倉庫』】



五十嵐……。開業学園にて桐谷とは違う意味で凶犬と呼ばれる男。


昼に雪に告白してフラれて、逆ギレしてきたが光司に呆気なく返り討ちにあった男。


今回の黒幕はその五十嵐だった。自分をフッた腹いせに雪を襲ったのだろう。


雪はその原因を理解している。その上で思う。この怒りは余りに理不尽だ。自分が恨まれる覚えはない。そう怒鳴ってやりたいところだったが、言葉が出ない。拉致や強姦をしようとした連中だ。恐怖し文句を言えない上、身体がまともに動かないのだ。

倉庫に逃げ込んだ雪に、五十嵐は楽しそうに言った。



「袋小路ってヤツだな、雪ちゃんよぉ」


「……っ!」



雪は五十嵐に「雪ちゃん」と言われたことに腹を立てた。

自分の事を名前で呼んでくれる事には特別な思い出がある。


大切な友達のみが呼んでくれる雪と言う名前。彩香は雪ちゃんと呼び、光司は雪と呼んでくれる。そんな中に告白を断られた腹いせに、拉致事件を起こすような乱暴な輩に呼ばれたくなかった!


その気持ちが雪の恐怖心を吹き飛ばす。



「……ば……ない…で……っ」


「あ?」


「気安く私の名前を呼ばないで!君に名前で呼ばれたくない!」


「……ほぅ」



五十嵐のこめかみにピキピキッと血管が浮かび上がる。



「上等だよ……」



ガッと五十嵐は雪の胸ぐらを掴み、持ち上げる。

服が首に食い込んで息が出来ない。



「あっ……うぅ……!」



必死に逃れようともがいて、気道を確保しようとするが、その行動が気に食わなかったのか五十嵐は雪をコンテナに強く押し付けた。


ガンッと言う音が倉庫内に響き渡る。


五十嵐は怒りを含んだ瞳で、押し付けている雪を睨む。


「っ! 放して!」



雪は先ほど使用したスプレー缶を取り出し、五十嵐の両目に向けて放った。



「ぐぁ!」



五十嵐の目にスプレーが直撃し(ひる)んだ。


雪はすかさず五十嵐の股間に蹴りを放ち、(もだ)えている間に一気に外に向かって走り出す。



(何とか外に際出れればっ!)



外に出れば逃げる範囲も格段に広がる。それにまだ、谷口作のアイテムは残っているから、最悪はそれを使用すればいいと判断した。


だが、その時━━━



ガォォン!



倉庫内に耳鳴りがするほどの高音が鳴り響く。雪は一瞬で足を止めてしまう。

外まであと数歩のところで動けなくなってしまった。

今の音に足をすくめたのではない。その音を出した物に恐怖したのだ。


直ぐに分かった。それが拳銃によるもなのだと。


こんな時、自分の頭の回転の良さが嫌になる。なぜなら、拳銃を持ち出された時点で自分の未来が無いことを分かってしまうからだ。


弾丸発射速度が1000キロにも及ぶ拳銃は、10mの距離を0.05秒で撃ち抜く恐ろしい殺人武器だ。


その武器に狙われた上、雪との距離は7・8M程度しかない。


何をやっても逃れることが不可能な状況に陥ってしまっているんだ。諦めるのも当然だろう。



「くくっ、そうだ……おとなしくしていろ?俺もこいつを使いたくはないからな」



五十嵐は目を擦りながら雪に近付いてくる。



「……そんなもの、どこで手に入れたのかな?」



雪は皮肉気に質問をすると、五十嵐はなぜか動揺し述べてくる。それは何か不安なモノを抱えている者の口振りで。



「これはな……もらったんだよ。炎のような髪をした得体の知れない少女にな……」


(少女……?てっきりヤクザとかに知り合いがいるのかと思ったのだけど……)


「この銃は良いぜ。軽くて小さい。持ち運びに不具合がねぇ」



五十嵐が持っている拳銃はマカロフだ。旧ソ連軍が使っていた小型軽量のハンドガン。

日本でも暴力団関係者が使っているものだ。そんなものを渡すバイヤーが少女と言うのは気掛かりだった。


炎のような髪をした少女━━━その存在が妙に気になる。

五十嵐が嘘をついていないのは眼を見れば分かる。



「ご託はいい……バックを遠くへ投げ捨てろ」


「……っ」



バックを捨てろと命じるのは、他にもアイテムを隠し持っているかも知れないと警戒しての事だろう。


仕方無くバックを投げ捨てる。続いて次の命令がくる。



「よし。次は━━━脱げ」


「━━━え?」


「服とかに武器隠し持っているかもしれいからな……。裸になれ!」


「そんなっ!」


「命令だぞ?」



チャッと銃口を向けてくる。ゾクッと恐怖を感じ、雪は恥辱に耐え涙目で服を脱いでいくことにした。


制服のボタンを外していき、中のワイシャツが見え出す。

そこで五十嵐は小さくだが呟いた。



「この女を()ったら、あの一之瀬ってガキを()らなきゃな……アイツだけはコイツで撃ち殺してやるっ」



その言葉を雪は危機逃さなかった。


━━━光司くんを殺る?


━━━僕の恩人を、大切な人を殺すの?


雪のボタンを外す手が止まる。



「……」


「あ?何している。さっさと脱げ!」


「させない!光司くんをお前なんかに殺させない!」



雪はスカートのポケットから谷口伝授の自作爆弾を取り出した。


金属のマグカップに花火の火薬を詰め、ビニールテープでグルグル巻きにしたものだが、威力はそれなりにある。


━━━それを雪は投げた━━━



次回へ続く!!


どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


次回で的場雪篇最終回です!徐々に予知夢と同じ道を辿り出す雪、果たしてどうなるのか?続きは明日です。

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