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未来の彼方  作者: 焔伽 蒼
的場雪篇
31/69

【第28話『大切な友人の為に』】

言い忘れてましたが、未来の彼方の世界は2018年です。

2018年現在。



【5月21日(木)・16時10分『横浜開業学園・本校舎3階空き教室』】



【全体視点⇒雪視点】



懐かしいな……。僕は1年前の出来事を思い出して感慨(かんがい)にふける。


あの頃から光司君は何も変わってないよね。今だって、誰かが困っていれば直ぐに助けに向かうんだろうな。


そんな風に光司君の事を考えていると、胸がトクンと反応し、妙に暖かい気持ちになる。


僕はこの感情を知っている。━━━恋、好意、恋愛感情、一人の人間が一人の異性を愛すること。好きになること。


……だけど、僕がこの気持ちを伝えることも、表に出すこともない。


僕には1年前に誓った事がある。それは、恩人である光司君とサヤヤン(彩香)に恩返しをしよう、と。


恩返し、それは光司君とサヤヤンの仲を取り持つ。

聞けば二人は幼少の頃からの幼なじみで、昔は気兼ねなく遊んでいたのを、今では互いに男女を意識してしまい遊ぶどころか会話すらもほとんどしなくなってしまったようだ。


でも、私には分かる。光司君に助けられて、恋をして……そんな私だからこそ、サヤヤンが光司君に恋をしていることが分かるんだ。本人は恋愛感情とは思ってなさそうだけど。


だからこそ、私は二人の仲を取り持つ中間の役割を担う事にした。いつか、二人が付き合って、幸せになってもらいたいから。


そんな私が光司君に恋をして……あまつさえ告白だなんて事……できるわけないよ。


せめて、光司君の一番の友達でいたいと思い、一人称を私から馴染みやすい僕に変えた。実際、光司君とは友達以上の親友のような関係になれた。それに、友達も増えた。


━━━僕は幸せだ。


これらの幸せは光司君がくれたもの。今も着ているパーカー、これはあの時ビリビリに破かれたパーカーだけど、サヤヤンが直してくれた。大切な物を取り戻してくれた。


二人には返しても返しきれないほどの恩がある。だからこそ、二人の幸せは僕が必ず実現させてみる!そう決意してから半年。未だ仲を完全なものに出来ない僕は、辛く苦しい気持ちに捕らわれる。


そんな時に今日、また光司君に助けられてしまった。


正直嬉しかった。一時的に、苦しい気持ちが無くなり、暖かい気持ちになれた。



そこで、たまたま光司君とサヤヤンが二人きりになるチャンスが訪れた。

今日こそ仲を取り戻すんだと二人のフォローをするために、一緒に帰ろうとした矢先に僕は下駄箱に入れてあった封筒を見付けた。



嫌な予感がした僕は、光司君、サヤヤン、チハチ~には先に帰ってもらい、僕は誰もいない3階の空き教室に来て、封筒の中身を確認する。


そこには校門前で待つと書かれた手紙が入っていた。



「……差出人不明……」



何か嫌な予感がしたけど、無視するわけにもいかないし、僕は緊張しながら校門前へと足を運んだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



【5月21日(木)・17時15分『舞岡・一之瀬家・1階居間』】



【雪視点⇒光司視点】



「どう?繋がった?」



九条が台所から顔を覗かせて質問をしてくる。


ボーダー柄のカットソーにデニムのショートパンツを着用した私服姿の九条、そこにエプロンと言う装飾を入れることで普段とは違う雰囲気を出している。


思わずドキッと胸が高鳴ってしまう。


俺はいったん落ち着いてから、現状の把握をする。


現在、九条は夜ご飯の支度をしてくれていて、料理が冷める冷めないの都合があるので、後から来ることになっている雪に確認の電話をしてと先ほど頼まれたのだ。

1回目は出なかったので、2回目の電話をかける。


トゥルルと機械音が鳴り響くだけで応答がない。



「駄目だ。コールをしているのに出ない。まだ先生と話しているのかもな」


「それか電車かバスに乗っている最中かも。地下鉄とかなら圏外になるもんね」


「そうだな。もう少し待ってみるか」



その時、廊下から千晴が慌てた様子で入って来る。



「お兄ちゃん、たいへんだよっ。雨が降ってきたー」


「やばっ!洗濯物しまうぞ!」


「うんー」


「私も手伝うよ!」



俺達は外に出て、庭に干してあった洗濯物をしまいこんでいく。


ゲリラ豪雨のように、雨は土を砕き、空には不気味な雲と心臓に響くような雷が鳴り始める。



「荒れそうだな……」



洗濯物をしまいこんだ俺は、窓から空を眺めながら雪の事が心配になる。


とりあえず濡れてくるかもしれないから、風呂を沸かしておいてやるか。



(……だけど、何だろう)



……何か胸騒ぎがする……。どこかでこんなことがあったような。

雨の降る日で、暗く、倉庫のような場所で……駄目だ、思い出せない。


しかし、そこで他の事をふと思い出した。



「そうだ。クリスタルの事も聞かないとな」



俺はポケットからクリスタルを取り出す。ガラスのように透き通り、キラギラと輝くそれは宝石のようで、とても隕石として落ちてきた物体には見えなかった。



最初堕ちてきた時以降、金色の輝きを見せることはなくなったけど、一体何なんだろうな。


俺は今は透明になっているクリスタルを見つめていると……その瞬間だった。


一瞬、それはほんの一瞬だったが、透明のクリスタルの中心に(わず)かだが一点の金色(こんじき)の輝きが見えた。


瞬間、脳内にある映像が浮かび上がる!


誰も居ない開業学園の放課後、雷が鳴り、雨が強く降る中……一台のワゴン車と数名の男、その中に必死で足掻こうとしている雪の姿が見えて━━━!同時にある夢の出来事を思い出した!

それは嵐の夜、どこかの工場で一人いる雪と、その後に入って来る一人の男━━━その先は雪がその男がなぜか持っていた銃に撃たれて倒れる光景でっ!



(あの“予知夢”が的中するのか!?)



くそっ!と俺は歯噛みして、側にいた九条に“雪が危ない”と一言言って家から飛び出した。


すると九条は何も疑わず、玄関に立て掛けてあった弓矢を持って着いてきてくれた。


有難い!


━━━俺と九条は開業学園に向かって走り出す。



次回へ続く!!


どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!

配信ペースがダウン中で申し訳ないです。最近、暑くて熱くて、それはもう厚くて、困ったものですね。


それはさておき、的場雪篇も残すところ後僅かです!話数が想定より長くなってしまったので、そろそろ飽きられているのではと心配になります(汗)


この後の生徒会激突編 後期もギャグがあまり無いので、そっち方面のみが好きな方には、すいません。


それでは、今後も宜しくお願いします。

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