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未来の彼方  作者: 焔伽 蒼
的場雪篇
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【第23話『親友に対する思い遣り』】

【5月21日(木)・12時50分『横浜開業学園・時計塔付近』】



俺は九条から逃げ切ることに成功していた。


その訳は簡単で、谷口先生に勧められて射った矢のようなミサイルは体育館の扉を破壊したからだ。


そこで不思議なのは、見た目的にもハデであった爆発にも関わらず、体育館は扉と周辺の壁面しか破壊されてなかったことだ。


普通なら良くて半壊、悪ければ全壊だったはず、もしかして特殊な創りで建てられたのか?戦争時代は流れ弾みたいなのも、あったのかもしれないな。


まあそれでも爆発は爆発なので、爆音や爆煙を当然目立ち駆け付けて来た生徒や教師達が人混みを作ってくれたおかげで、それらに紛れて九条を巻くことが出来た。


そして、現在俺は中庭から空き館と旧校舎の裏道を通って時計塔の方へやって来ている。


体育館は敷地の西角にあるのに対して、この時計塔は東角にあるため、真逆の位置にある。

恐らくここまで逃げれば九条も追ってこないだろう。何より爆発を見に来た野次馬達の中に紛れて逃げたから、逃げた方角も掴めてないはず!



「今は12時52分……昼休みも後8分か……。授業時間を挟めば、放課後には九条の機嫌も良くなってるだろう。……多分」



根拠のない結論を都合良く信じて、俺は時計塔の入口前にある小階段に腰を下ろす。


5月ともなるとちょっと動けば暑くなる。俺は掻いた汗を拭こうとポケットに手を入れる。



「あれ……?ない…」



あ、そうだった。今日はソファーで寝てたり、雪の激ウマ手料理を頂いたり、いつもと違うペースで動いていたから、ハンカチ忘れたんだ……。


その代わり、ポケットから手を出そうとしたら何か固い物が入ってる事に気付く。


なんだ……まるで石みたいな…………あ。


俺はそれが何か気付き、ポケットから取り出す。



「……やべぇ、この結晶のこと、雪に聞くの忘れてた」



俺は今朝、制服を取りに行く際に博識の雪なら先日、空から堕ちてきたこの結晶の事を何か知っているだろうと思い、聞くつもりでズボンのポケットに入れておいていたんだ。


完全に忘れてたな。



「……仕方無い。また今度会った時に聞くか……」



  \何でだよ!/



「え?何でって理由なんて……ってか誰だよ!」



俺は咄嗟にどこからか聞こえてきた図太い男性の声に返答をした。


しかし、周りを見回しても誰もいない。



\良いじゃねぇか!別によぉ?/



また聞こえてきた。この声音だと、何か荒れてるな。ケンカか?


今度は声が聞こえてきた方角を注意して聞き取っていたので、時計塔の裏からだと言うことが直ぐに分かった。


俺はそっと時計塔の裏側を壁に逸って覗き込む。

当然気配も消し、足音も八卦無天流の特殊歩法によって無音だ。


四武生クラスでもない限り、バレることは無いだろう。


そして、覗いて見ると二人の人影が見えた。


一人は長身の男で顔までは時計塔の影に隠れて見えない。


そしてもう一人は日向に居た為、その姿を確認することが出来た。



「って、あれ……雪じゃん」



まさか、こんな早く会えようとは……。


だけどさっきから会話している相手は誰だ?


凄く怒鳴ってるように見えるけど……、でも雪は怯えている様子もないし、入り組んだ話なのか?


とりあえず、俺は時計塔の壁に寄り掛かり、耳を澄まして会話を聞いてみる。



(……なんかス○ークみたいなことをやってる気がする……)



まず聞こえてきたのは雪の明るく弾んだ声だ。



「気持ちは凄く嬉しいよ。僕みたいな変な女に好意を抱いてくれるのは……」



好意……あぁ、告白の事か。そっか……雪のやつ、あの男子に告白されたんだな。


親友の幸せは俺の喜びでもある。男が出来たとなると、俺や慶太とも気軽に遊んだり出来なくなるんだよな~。


やっぱり、そう考えると寂しさも沸く。だけど、これが雪にとって嬉しいことなら、俺は全力で応援してやりたい。



「ハァ!?いま嬉しいとか言っといて付き合えないってどういう事だよ!」



付き合えない……?告白を断ったのか?


さっきから叫んでいたのは熱烈な愛の告白かと思っていたけど、やはり怒鳴り声だったのか。


だけど、相手も断られたからって、ここまでキレる必要があるのか?


雪のように強い娘なら良いけど、普通の女子だったら泣き出しちゃうぞ。



「本当にごめんなさい。君の想いは嬉しかった。気持ちも確かに伝わったよ……でも……無理なんだ。私は誰かとは付き合えない。わかってくれない…かな?」



その言葉は俺のように雪を良く知る人物なら「本当に申し訳なく感じてる」と伝わる。


しかし、これを“何も解っていない”人物が聞くと、軽くあしらわれたように感じるのかもしれない。


果たしてあの男は、どういう反応を取るのか……実際、本当に好きでずっと見ていたらなら、その全ては分からなくても多少なりとも気付くはずだ。


人を好きになると言うのは、相手の外面以外にも内面をも見極めていることだと俺は思う。



「ハァ!?フッざけんなよ!人が告白してやってると思えば調子に乗りやがって!」



……は?



「良いか!?俺は欲しい物の為なら力付くでも手に入れる!ましてや、その物が思い通りにならねぇってんなら多少は痛い目にあわせてでも言うことを聞かせる!」



…………。



「気が済むまで殴ると良いよ……理由はどうあれ、結論的に僕は君を傷付けたんだからね」


ブチッ「お前……いい加減にしろよ!」



雪の言葉にその男は限界に達したのか拳を振りかざした。雪は目を瞑って、両手をしっかり後ろに回して組んでいる。


いさぐよく見えるが雪の目はぎゅっと閉じられている、痛い目に合うことに対して怖がっている顔だ。


……そんな顔をさせるような奴が雪を幸せに出来るわけがない!



「あ?」



俺は思考していると同時に、隠れるのをやめてその男の方へ走っていた。


実際そうしないと、今こうして男の振りかざされた拳を止める事が出来なかったからだ。



「お前誰だよ……邪魔すんならシメんぞ!」



男は怒りの形相を(あらわ)にして俺にガンを飛ばしてくる。


ここまで来れば日陰とか関係なしに、こいつが誰だか分かる。 有名な奴だ。



「……お前、五十嵐だな?俺達と同じ学年で、気に入らない奴が入れば暴力に訴え、何人もの生徒を病院送りにし、中には女子も居たとか……」



同じ2年の五十嵐安雄いがらし やすお、男女関係なしに暴力を振るう危険な人物。狂犬・桐谷とは違う意味で凶犬と呼ばれている。



「ああ?俺の事を知っていて、割り込んだのかよ……?」


「あぁ……テメェみてぇな野郎に雪をやらせる訳にはいかないからな!」


ブチブチ「オメェ……すげぇムカつくぜ!死ねよ!」



男は拳を俺に放ってくる。

は?何だ、この鈍い突きは。やる気あるのか?


普段の俺なら一般人(トーシロー)相手に技を使うことは無いんだが……今日の俺は違うぞ?


何せ━━━雪に手を出そうとしたんだからなぁ!



「八卦無天流『双天手(ソウテンシュ)』!」



男の拳を軽く交わし、俺は右手を掌底の形で五十嵐の腹に打ち込んだ。


メキッと骨が(きし)む音が聞こえてきた。この感触なら折れたわけではないな。


男は何か反応を見せることもなく、がはっと吹いて地面に倒れた。



「……オマ…ぇ…何モンだぁ……!」



腹を抑え、息苦しそうな表情と(よだれ)(たらし)ながら、俺の方を睨んでくる。



「実際に雪を殴った訳じゃないから手加減はしといたが、次に危害を加えるような真似をしてみろ。口から吐き出すのが涎ではなくなるぞ」



俺は少し脅し文句を付けた後、雪の方へ向かい手を握って時計塔付近から離れていった。



次回へ続く!!


         谷口治先生と高津友江先生の後書きコーナー♪♪



高津「た、谷口先生!なぜか私達が後書きをやる感じになっていますよ!」

谷口「困ったことをしてくれるっつの。研究ができやしない」

高津「あ、あの、そういう否定発言はよくないかと思うのですが(汗)」

谷口「良いんですよ、高津先生。所詮作者が後書きに対してネタがない無能さが原因なんですから。私がね?否定しているのは作者なんですよ。何ですか、焔伽蒼って?焔伽が火をイメージして赤で、蒼が青なのは判りますがねぇ。意味がわからないんですよ。本人は矛盾がどうのこうのと述べてはいますがねぇ、誰も興味はないんですよ」

高津「そ、そうなんですか?」

谷口「そうなんです。実に下らない由来です。それにこの作者が本当に好きな色って紅と紫ですからね?矛盾と言うなら、こっちのことを言うべきでしょう?」

高津「凄いカミングアウトが出てきましたね(汗)」

谷口「そもそも後書きとか何を話せと?私の研究講座でもいいのか?と言う話な訳ですよ」

高津「あはは(汗)…そういえば、谷口先生…」

谷口「何ですか?高津先生」

高津「最近、光司君が私の授業に出てくれないんです」

谷口「本当ですか!?それは良くないですな。分かりました、今度注意しておきましょう」

高津「あ、ありがとうございます!(谷口先生、頼りになるよね…それにキリッとしていてかっこいいし…。でも、これで光司君も私の授業に参加してくれるようになるよね!)」

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