【第22話『九条彩香vs一之瀬光司?』】
【5月21日(木)・12時15分『横浜開業学園・中庭』】
(まずい事になった……)
俺は心の中で、現状の不安要素“九条彩香”を見て思う。
「何で答えないの?雪ちゃんと本当に付き合ってるから?でもオカシイよ?何で私に隠すのカナ?」
なんか前回より雰囲気怖くなってません!?
光のない漆黒に染まった瞳、身体から迸る紫色の気、空気に質量を与えたらこれぐらい重いんだろうなと思わせるほどの威圧感。
中二臭いかもしれないが、これ以外の表現がないのだ。そのままの現状を伝えるにはな。
これは九条が極稀になる“漆黒嬢”モード!
漆黒嬢になったのは、10年前に一度あった以来だからな。
思い出せ。この状態になった九条に話し合いは通じない……いや、聞いて貰えない!
他には……他には……そうだ!漆黒嬢はやたらと攻撃的になるん━━━
ヒュォッ!
その時、俺の顔をスレスレで矢が通り抜けていった。
冷や汗が止まらない。九条が次の矢をいつの間にか装填して、更なる攻撃の準備をしていた。
「酷いよ、一之瀬君……私の事を無視するなんて。 だからね?今の警告……。……次無視したら……」
「したら……?」
俺は一歩下がりながら生唾をゴクリと飲む。
そこで九条は一笑い。
「射抜くから」
「ダッシュ!」
俺は駈けた。九条は……漆黒嬢は本気だ!あの目は暗殺者を暗殺する暗殺者の目だ!
とにかく走った。校庭側は九条が立っている為、仕方なく後ろの中庭を通り抜けて体育館側に向かう事にした。
「!?」
そこで俺は後ろから何かが飛んでくる気配を察し、横へジャンプした。
するとさっきまで俺のいた位置に矢がカカカッと三本突き刺さった。
「何でニゲルの?仕方ナいよね?私をムシして逃げるんだもん。足が50日程動かせなくなってもシカタない」
「やけに具体的だな!何をする気だよ!」
「射抜く」
「50日どころでは済まない予感!?」
さっきの位置から一切移動していない九条は次の矢を放ってきた。
「くそ!話す暇もなしか!」
俺は九条の方に姿勢を向ける。
そして、昨日の日暮戦を思い出す。空気を掴むように両手に気を集中させていき……投げるように放つ!
「八卦無天流『圧掌』!」
俺がたった今名付けた圧掌(つまり只の気を凝縮して放つ技)が飛んでいき、向かい来る九条の矢を撃ち落とす事に成功した。
「その技……昨日も使っていたけど、気を飛ばしてるの? どちらにしても、私の矢を撃ち落とすんだもん。足より先に手を射抜いた方が良いよね?」
ゾクッ「い、いやぁ、手も足も狙わないでほしいな……」
遠回しに話し合おうと言う意味で振ったつもりだったんだが、九条には笑顔で「だーめ」と語尾に黒いハートが付くんじゃないかと思われるほどの怖音で返されてしまった。
べ、別に今のは声音と怖音をかけたわけじゃないんだからなっ!
「一之瀬君には只の矢じゃ通用しない。通用させるには只の矢じゃないのを放てばいい。仕方ない。仕方ないんだよ、一之瀬君。だって……通用しないんだから!」
九条が弓に気を込め出した…!?まさか、あの技を!
「あの…マジで怖いです!さっきから言ってることめちゃくちゃだけど、俺を射抜きたい気持ちはひしひしと伝わってくるよ! でもな!だからってな!こんなふざけた展開で技を明かすってのはな━━━」
「飛翔━━━」
「━━━待ちな」
『!』
俺と九条は動きを止めた。
突如、茂みの中から谷口先生が出てきたからだ。
谷口先生は眠そうにあくびをしながら、髪や白衣についた葉っぱを気にすることもなく、頭をかきながらヨタヨタと歩いてくる。俺は一番の疑問を聞いた。
「谷口先生、なんでそんな所から……」
「んあ?寝てた」
つくづく思う。この人、研究癖とこの性格が改善されればイケメン教師なのに。
だらーんと気崩した白衣と紺色のジャージ。寝癖びんびんの髪。死んだ魚のような眼。それに薬品臭い。
挙げようとも思えば後20以上は欠点が挙がる程のダメ人間だ。
「……ただ寝てたにしては、服の依れ方や寝癖が尋常じゃないんですけど?」
「ああ……LHR後ずっと寝てたからな」
つくづく……ほんっとぉ~~に!つくづく思うんだが、何でクビにならないの!?
教育界から追放されるべきだろ!
「んなことより、一之瀬!九条!喧嘩は頂けんな」
俺と九条はギクッと肩が跳ねる。
谷口先生の登場のおかげで、漆黒嬢が九条に戻って下さっている。
良かった、たまには人の役にも立つんだな~。俺は谷口先生に対する印象を改めようと考える。
「やるなら“コレ”を使ってやるんだ!」
と言って谷口は白衣の裏ポケットから1mぐらいの鉄の矢を取り出し━━━たぁ!?
「いまどこから出した!?白衣だよな!?どうやってそんな長い物を収納していた!?」
「俺な……ここだけの話だがドラ○もんを心の師として仰いでんだよ」
「作ったのかぁ!四次元ポケット作っちゃったのかぁ!?」
「いや、次元や時空を越えることは科学理論上有り得ない。不可能だ。故にこれは四次元ポケットではない。ある道具を使って小さ━━━ごほん。企業秘密だ」
「いやいや、最早あの長い棒が白衣から出てきた時点で科学理論上不可能な現象ではありませんかねぇ!?」
「それはそうと九条。これ射てるか?」
こいつ……っ!俺を無視して自分の話し進めやがった!
「射てますけど……これ、何ですか?あまり一之瀬君に危ないのを向けたくはないんですけど……」
その台詞、数分前のお前に聞かせてやりたい。
「これは対象に当たると爆発はするが、炸裂するのは火薬じゃなく痺れ粉だ。逃げる相手を捕まえて、色々と聞き出すのに便利だが」
「使わせて頂きます」
「おぉい!九条さん!?」
「一之瀬君が悪いんだよ?逃げたりするから……」
くそぅ!今日の九条は漆黒嬢と対して変わりがない!
やはり逃げよう!つうか谷口先生後で職員室に訴えてやる!
そこで九条から谷口特性の矢が放たれる。
そして放たれた矢の後ろ部分から何やら火を吹き出し、ミサイルのような音と煙を噴射しながら速度を急上昇させてくる。
「あ。間違えた。あれ、アロー・ミサイルだ」
「え? ちょっ、先生!?」
谷口先生と九条の会話を聞いた俺は純粋に恐怖した。
ミサイル。軍事兵器でよく使われるあれの事か!
空中を飛行し、弾頭に触れると信管を通して爆発を起こすあれの事かぁあ!つうかあんな小さい矢に、よくジェットエンジンを搭載させたなぁ!?
「ってツッコンでる場合じゃないっての!」
俺は滑り込みするかの如く、地面にスライディングをかましてミサイルを避ける。
ミサイルはジェットエンジンさながらの心臓に響く音を鳴らしながら、俺の真上を通過していく。
その際に熱が空気を燃焼させた為、少し息苦しくなり肌がチリッと熱を帯びたが直撃に比べたら幾分マシだ。
その瞬間━━━ゴォッと突風が吹いた。
爆発した。矢型ミサイルは体育館の扉にぶつかり爆発を起こしたようだ。
激しい突風と中々にハデな爆音、火薬が生み出す狼煙……これかなりマズイ事になったのでは……?
次回へ続く!!
光司と千晴の後書きコーナー♪♪
光司「えぇ、いきなりですが…この未来の彼方を創っている我等が父親、焔伽蒼が逃げた!」
千晴「逃げたねー。しかも、逃げる際に『26日までに投稿的な発言をしておいて、二日後の28日に投稿だと?フッ…合わす顔が無いので、僕はブックオフに行って来る』とかいってたもんねー」
光司「せめて執筆しろと言いたいのは俺だけなのかな?」
千晴「それで私達は何を話せば良いのー?」
光司「そうだな~。後書きだし今後についてとか?」
千晴「あ。それ良いー。じゃあ早速、今後お兄ちゃんが活躍します。私はあまり活躍しませーん」
光司「……」
千晴「どうしたのー、お兄ちゃん?」
光司(切実過ぎるーー!しかも、そんな無邪気な感じに…)
千晴「おーい、お兄ちゃーん?」
光司「千晴…、今日はお前の好きなヨーグルトをしこたま買ってやるからな」
千晴「え?ホント? わーい、ありがとー♪」




