【第17話『一之瀬家に訪問者!?』】
【全体視点⇒光司視点】
日暮が泉堂さんに連れていかれるのを見送った後、唖然としながらも千晴からメールで「まだ学校?お腹すいたよ~(-.-)」と入ったので、ご飯を作ってやる為に九条と一緒に帰ることにした。
その帰り道、九条とは家の前までほとんど会話もせずに過ごしてしまった。
本当はケガの事とか聞きたかったんだけど、どうしても言葉が見付からなかった……。
そんな自分に悔やみつつ、九条とは自宅の前で別れた。
俺はもっと勇気を出せば良かったと思いながらも、玄関を開けて家の中へ入る。
そこである異変に気付く。
「何だ…この匂いは……っ!」
俺は言い知れぬ危機感を覚えた!日暮や泉堂さんの放つ異様なオーラなんて比べ物にならない程の気配っ!
言うなら死の気配が、台所の方から匂ってくる!
食欲をそそる様な匂いが台所から漂ってくる。
普通なら「お、旨そうな匂いだな」と一言感想を述べる所なんだろうけど、それはあくまでまともな料理が出来る者がいる時のみにおいてだ!
ウチは……一之瀬家は違う!親父はもう居ないし、お袋も海外出張中……そして、さっき学校で見たメール“お腹すいたよ~(-.-)”の文章、家に現在居るのは妹の千晴ただ一人!
それらの情報から導き出せる結論……“千晴が料理をしてしまった”!
そう結論付けた瞬間に、背筋にぞくぞくと冬の水道水を垂らされた時のような寒気がする。
「なぜ……肉体的に疲れている時に限って、千晴が料理をっ!?」
千晴の料理は旨い不味いでは計れない。食べたらブラックアウト(目の前真っ暗)、その事実しか残せない為、味を認識出来ないのだ。
3年前、俺の誕生日の時に千晴が作ってくれたケーキを一口食べた瞬間、親父の事を思い出して意識を絶ってしまった経験がある。
今思うと、あれが始めて見た走馬灯だったような気がする。初予知夢なみに初走馬灯もインパクトがあった。
「あ、お兄ちゃんだー」
「……?」
あれ……、千晴が二階から降りてきた。それじゃ、さっきから台所から匂ってくるこの香ばし匂いと、カチャカチャと鳴っている食器の音は何だ……?
「ただいま、千晴」
「うん、おかえりー」
千晴に挨拶をしてから、玄関で靴を脱いで直ぐ左にあるドアを開ける。
「あ、お帰りなさーいっ!ご飯にする?お風呂にする?やっぱりご飯にしよう!」
テンション高めで定番挨拶……あ、いや最終的に自身の要望を優先しているから定番でもないが。
そんな意味不明な挨拶をして来たのは、制服姿にエプロンを装着した的場雪だった。
「雪、なぜお前がここに居る?何だその姿?用事はどうした?」
「私の制服エプロンが可愛いって?当たり前だよー♪光司は正直屋さんなんだからぁ~」
「会話のキャッチボールをしてくれないかなぁ!?まるで投げたボールをスルーされて、別のボールを投げ返された気分だよ!」
別に制服の上からエプロンだなんて━━━━━━━━━めっちゃ良いな!普段見慣れた制服が、エプロンと言うパーツを付け加えただけで何この破壊力!?
凄く和む。暖かな家庭を感じさせつつも、新婚生活を思わせるような甘い空間を作り出し、なんかこうー尽くしてくれる感が伝わって来て幸せな気分になる。
すると雪がニヤニヤしながら、俺の顔を覗き込んでくる。なぜか千晴まで。
「な、何だよ?」
「……何でもない」
「べっつにー♪」
何でもないと言った千晴が「お兄ちゃんはエプロン萌え…」と呟いたような気がする。
誤解だと訂正しようとしたが、雪が「ご飯食べよー♪今日は私が腕によりを掛けて作ったんだからね!」と割り込んで来た為、訂正出来ずに終わってしまった。
俺はもう疲れているので、これ以上ツッコム気も起きず席について食事にありつくことにした。
とりあえず千晴の手料理じゃなくて良かった……、そして雪の手料理は超美味い。特に和風に関しては高級料亭の職人すら認めてしまうほどの腕前を持っている。
「料理はありがとう。凄い美味いよ。だけど質問がある」
「一生俺の食事当番をしてくれだなんて、そんないきなり言われても困るよ~♪」
「本日二度目のスルー&強引なトークだなぁ! お前の脳には言葉を過大評価するフィルターでも掛かってるのか!?」
「誉められちゃった」
「誉めてないからね!?」
気付いたら何度もツッコミを入れていた。息も切れてきた。もう俺の体力は0だぞ……。
「私がここに居るのはコレを渡す為さ!」
雪の右手にはプリントが握られていた。
て言うか、いま服の中から出さなかったか?Yシャツの上からだよね?直じゃないよね?
俺はいい感じに暖まっているプリントを握ると、そこには“生徒会からのお知らせ”と題打ちされたのを確認した。
「明後日、5月22日(金)は生徒総会を行います。全員参加か……」
「光司君、帰りのSHL居なかったじゃん? そこで谷口先生から配られたんだよぉ」
「これを渡すために来てくれたのか?わざわざありがとな」
「いえいえ、どーいたしまして♪」
雪は昔から気が利くんだよな。家全然違うはずなのに、こんな所まで来てくれるんだよな。
感謝しつつ食事に入る。そこで雪が「だからね」と言葉を繋げてくる。
「今日はここに泊めて貰います!」
「……はい?」
次回へ続く!!
今回は分量が少なめになってしまいましたので、続けて次の話を送ります!少々お待ち下さい。




