【第13話『一之瀬光司vs日暮垣内』】
今回は第11話の続きの話です。もし忘れてしまったら、11話の最後らへんを軽く眼を通しておくと分かりやすいかもです。
俺と日暮は廊下で牽制しあっていた。
八卦無天流の構えを取る俺、それに対して日暮は独特の動きを見せた。
だが日暮の武術が何かはすぐに分かった。
片足を軸に立ち沿いて、まるで流れるような手の動きを見せる、その構えに見覚えがあったからだ。
「……お前…日暮と言ったよな? その構え━━━八卦掌か?」
「へぇ、やっぱわかっちゃうんだ?ま、正解だよ」
やっぱりそうだったか。以前に千晴が稽古をしていたのを見てたからな。
だけど八卦掌か。八卦無天流にとって、もっとも色が近い武術だ。
近代に生まれた柔の武術で、流れるような動きであらゆる攻撃を受け流すを防御に特化した武術・・・。
しかし、攻撃に回った八卦掌は危ない。急所を突くために指先を揃えて手刀を作り出し、相手は一撃にて殺害することが出来てしまうのだ。
その昔、北京平定後時代に52歳の老人は銃を持ったドイツ軍相手に立ち向かい、その結果、10人も殺害した実績もある。その後、撃ち殺されたみたいだけど。
「それじゃ始めよっか。 僕の八卦掌と、君の八卦無天流……どっちが強いか試してみよう!
先手を打ってきた!?
日暮が床を強く蹴り、再び俺の懐へ入ってきた!
日暮の掌打が溝を狙ってくる。いきなり、急所狙いかよ!
俺は向かってくる掌打を右手で受け止めつつ引きながら威力を殺す。
「およ?」
そして威力を無くした日暮の右手を、俺は左手でがっしりと掴む。
「何の理由があって俺を狙ったか知らないけど、戦るからには本気で行くぞ!八卦無天流『掌破』!」
俺は空いている右手に気力を込めて、日暮の腹に掌底を放つ。
しかし、掌破が日暮に当たることはなかった。
防がれた!日暮は自由がある左手で俺の掌破を受け止めたのだ。
嘘だろ……?掌破をもろに受け止めたら、腕なんて粉砕する筈だぞ……。
それなのに、日暮は粉砕どころか同じ気力をぶつける事によって威力を完全に殺された!
「いやぁ、今のは生身で受け止めたら危なかったよ」
「まさか気力を込めた攻撃を、気力を込めた防御によって相殺させるなんてな」
「考えたでしょ、僕♪」
誉めても良いんだよと気持ち悪い事を言ってきたので、俺は鼻で笑ってやった。
すると以外にもショックを受けたのか、見て分かるほど落ち込んだ表情をする。
何だか日暮って男も、子供っぽいところあるな……。慶太は小学の高学年ぐらいの悪ガキって感じだけど、日暮は(あくまで現在分かる情報からの推測だが)誰にも隔たりなく接し人懐こく、常に楽しそうな表情をしているから幼稚園児って感じで、その幼稚園児に酷いことを言ってしまい傷付かせてしまったような罪悪感に捕らわれる。
「たくっ、そんなんで戦いを楽しそうにしやがって…!
俺達は至近距離で交戦する。日暮の掌打を、光司は掌で受け流しながら後方へ下がっていく。
「避けてばっかだと、勝てないよ!
日暮は掌打を連打してくる。俺はその攻撃一つ一つを上手いこと見極めて、基礎の1つ“渦型の原理”を駆使し、全ての突きを受け流す。
(さっきから僕の攻撃が受け流される……恐らくあれは渦型の原理、肘から手にかけて攻撃が当たる直前に半回転させながら微妙な斜めの角度で当てて流す、いなし技……だとしたら弱点は!)
「これならいなせないでしょ!『手裏弖』」!
「!?」
突如、日暮が掌打から手刀へと変えた。
更に手刀には気力が纏われている……っ!
俺は咄嗟にその技をいなすのではなく交わした。
だが交わした筈なのに、避けた顔の頬の部分がシュピッと切れ、血が垂れ出した。
「くっ…!」
「あれぇ、今のも交わされちゃったか。判断力と回避力凄いね、君」
「それはどうも…!」
くそ…渦型の原理の弱点を知っているのか……。やはり同じ中国拳法である以上、長所短所は把握されているってことか。
さっきのも掌打のような攻撃なら回転で流すことも出来た。
だけど、今の手刀は違う。手刀と言う鋭く貫通性のある技に、気力と回転が加わっていた……つまり気力を纏った状態で回転をした手刀とは、細いドリルのようなモノであって、それを流すどころか触れる事すらも無理はことだ。
とはいっても驚いた…!
ここまで気力を自在に扱えるのが、俺や四武生以外にもいたなんて……。
ただの生徒会ではないということか。
とりあえず昔、九条とケンカする度に、よく弓で攻撃されといて良かった……、おかげで危機察知能力と危機回避能力がついた!
それに細く鋭いと言う意味では、弓と似てる所があるからな。
ホント最初の頃は、弓を受け流してやろうと強がって生傷を増やしてたもんだよ。
「……。……つぅか悲しくなってきた……_┃ ̄┃○ズ~ン↓↓」
「……どうしたの?」
いや、今は落ち込んでる場合じゃないな。立ち上がって再度構えを取る。
「悪い…ちょっと嫌なことを思い出していてな…。続きを始めよう、来い」
「ああ、そう?とりあえず御愁傷様。でも攻撃したり避けたりは飽きてきたから、僕は必殺技を使わせてもらうよ!」
必殺技……!ハッタリには見えない!俺は生唾を飲み、緊張感を走らせる。
どんな攻撃が来ても良いように、日暮の眼を見据え防御に転じる為の構えを取る。
しかし、予想を反する現象が起きた。日暮が両手を前に突きだして、何かを掴む仕種をする。
何かを掴む仕種をした後、両手を一旦後ろに下げ、右足に力を入れ、その両手を掌低のように押し出した。
「行くよ!必殺『烈空掌』」!
ブォオ!その音と共に、気力が放たれ見えない攻撃が廊下や教室の窓を轟音立てて、叩き割りながら俺に目掛けて飛んできた。
気力を投げるだと…!くそ!
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【光司視点⇒彩香視点】
途中まで雪ちゃんと千晴ちゃんに強引に下駄箱前まで引っ張られてきた私は、着崩れた制服を直していた。
「もう……皆して強引なんだから」
で、でも、せっかく戻って来たんだったら、一之瀬君探してみようかな……。
校舎のどこにいるんだろ…。
(とりあえず2-Cの教室に行ってみよっ)
そんな時だった。
突如、三階の窓が端から順番に割れていった。
その光景を見た私は、何か嫌な予感がしていた。
(あの辺りって2-Cの教室がある所だよね…!)
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【彩香視点⇒光司視点】
三階廊下、日暮が放った気弾(?)は辺りの窓を全て割りながら、俺の方へ飛んでくる。
しかし俺は、その攻撃を防いだ。防いだのだが、思ったより力が強く、防いだ両手に激しい痛みが走る。
「…まさか、あれを防ぎ切るとはな。やっぱり凄いね、君」
「……っ! き、鍛え方が違うからな!」
とは言ったものの、両手にいつものような力が入らない。どうする……っ!
次回へ続く!!
こんばんわ、焔伽蒼です。
毎回見て下さる読者様、まっことにありがとうございます!!
今回の話は純粋にバトル一本で、出てくるメンバーも光司と日暮、あとちょっとだけ彩香ってな感じでした。
おかげでコメディが一切無い。う~む。コメディには特定の人物が必要不可欠ですねぇ。
さて、次回なのですが、まだバトルパートです。少しだけ変化はしますが。次もよろしくお願いします。




