【第12話『九条彩香の気持ち』】
本日は視点が結構切り替わります。
同時に内容が少し前の話になるので、最初はわけが分からないかもしれませんが、必要な設定を組み込みたいのでご了承をお願い申し上げます。
【光司視点⇒全体視点】
時間は少し前に巻き戻る。
それは彩香と千晴が光司と別れてからの事。
実際この時の光司はまだ独りになるとは思ってなかったみたく、元気な状態だった。
これから10分後、光司は孤独の闇に誘われる事になるのだが、それはまた別の話。
その一方、別れた彩香と千晴は、弓道部専用の道場へと向かっていた。
【全体視点⇒彩香視点】
「千晴ちゃんはこー…光司君と一緒に帰らなくて良かったの?」
あ、危ない危ない!
つい昔のクセでアイツのことを“こーちゃん”って言おうとしちゃった……。
ギリギリで“一之瀬君”と言い直そうとしたけど、千晴ちゃんも一之瀬だから紛らわしいかなと感じ、光司君と呼ぶことにした……したんだけど、は、恥ずかしいかもd……
頬が熱くなり、心臓がトクンと跳ねるのが分かる。
「くす……。彩香さん」
千晴ちゃんが苦笑して話し掛けてきた……それは嬉しいんだけど、その何かを見透かした笑いが凄く気になるんだけど…。
私は恐る恐る相づちを打つ。こ、心を乱さないようにそっと。
「な、なーに?」
私は冷や汗を隠せていないのにも関わらず、作り笑いをしてみる。
そんな私の表情を伺う千晴ちゃん。
笑顔をくれた。私のような作り笑いとかじゃなく、優しくそれでいて励まそうとするように私に笑顔を向けてくれた。
「いいんですよ? 昔みたいにこーちゃん、さーちゃんって二人で呼びあっても」
「……っ」カァァ(照)
一気に頬の熱みが増していく。こ、こここーちゃんなんて呼ぶなんて出来ないよっ(汗)
そ、それにさーちゃんなんて言われたらっっ!
「な、ななななにいってんの!? べ、別に呼びたいわけでも呼ばれたい訳でもないんだからねっ」
千晴ちゃんが「彩香さんツンデレだー」と指差してからかい気味に笑っていた。
そんなことよりっ!ち、千晴ちゃんピンポイント過ぎるよぉ(汗)
たしかに、昔みたいにあだ名で呼び会いたいなぁって気持ちはなくはないけど…でも恥ずかしいし、それに一之瀬君だって迷惑がるかもしんないし(汗)
「あわわ~っ」
で、でもやっぱり呼びたいし、呼ばれたいし、も、もう、何が何だかわからなくなってきたよぉ(照)
【彩香視点⇒千晴視点】
彩香さんが何もない空間で両手を前に出して上下振っている姿を見ているとなんだか和むよねー。
それに可愛いし、他の男の人からも人気あるんだよねー。そんな彩香さんは、お兄ちゃんが好き(恐らく)
それでもってお兄ちゃんも彩香さんが好き(多分)
わたしの思い違いかもしれないけど、もしお兄ちゃんと彩香さんが好きあっているのだとしたら……。
…………何で二人は付き合わないんだろ?
わたしはだれかを好きになったことがないから良くわからないけど、好きあってるなら付き合うんだよね?
「う~ん。……あ」
わたしは彩香さんとお兄ちゃんの関係について考えてみようとおもったら、アタフタしてる彩香さんの背後から肩をポンッと叩く人がやってくる。
あれ、確かあの人ってー。
【千晴視点⇒彩香視点】
もし“さーちゃん”と“こーちゃん”と呼び会う仲に戻れたら、昔みたいに遊んだり泊まりっこしたり、一緒に居れる時間が出来るのかな……?
そんな人に聞かれたら二度と立ち直れないような事を妄想していたせいかな。
私は後ろから接近してきた人の気配に気付けなかった。
ぽんっ、そんな感じに誰かが私の肩に手を置いてきた。急に触られて私は「わひゃうっ」と驚きの声を上げてしまい、つい反射的に背負っていた長バックから弓と矢を両方取り出し、その誰かに向けて射る構えを取ってしまう。
「だ、だれぇー!?」
私は慌てて弓を引き、いつでも放てるようにする。
も、もし光司君だったら……射る!絶対に手を離してしまう気がする。
そんな冷静さを欠いて、ぐるぐる回った瞳で相手を確認しようとすると、相手が慌てた様子で叫んできた。
「わわっ!待って待って!雪!雪だよっ、サヤヤン!」
……あれ?今の声と雪って名前……。
まだ動揺していて、まともな思考判断が出来なく、少し落ち着いて冷静に考えると、私の目の前には制服の上からパーカーを着てその付属の帽子を被っている服装をしたのが特徴で、背が少し小さめだけど、それも可愛らしさの一つにしてしまうほどの容姿を持った娘がいた。
そこで改めて認識した私は、直ぐに雪ちゃんだと気付いて矢を外して、弓をしまう!
咄嗟とはいえ、友達に矢先を向けてしまったことに後悔と申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
すると目の前には先に帰った筈の、慶太君もいた。
「結局失敗かぁ」
なんでまだ校内にいるんだろ?帰ったんじゃなかったのかな。
疑問を感じていると、雪ちゃんが私の顔を見て溜め息をついた。
「全く……せっかく僕らが空気を呼んで、二人だけの空間を作ってあけたのに、まさか部活を取るなんて思わなかったよ~…はぁ」
二人だけの空間…?
なんのことだろ…。雪ちゃんと慶太君は空気を読んだの?何の空気を?
私は雪ちゃんが言ってることが余り分からなく、つい首を傾げてしまう。
なぜか雪ちゃんはさらに大きな溜め息をついて、「サヤヤンって意外とニブチンさんなのかな~?」と呟いた。
わ、私はニブチンじゃないよ?そんな気持ちを顔で訴えたけど、雪ちゃんはすでに私の方を見てなかった。
千晴ちゃんの方に行って、何かを耳打ちし出す。
「千晴ちゃんも、もっとフォローしてあげないと、このニブチンカップルはくっつかないよぉ?」
「そうですね……わたしとしては早く二人にくっついてもらって、幸せになって貰いたいんですけど……」
「僕もこの恋を応援したいからねぇ。だから、二人で協力してニブチンカップルを成立させてあげようね!」
「はい、そうですね!ガンバりましょう!」
むぅ……二人が何を喋っているのかは聞こえないけど、なんかバカにされている気がする……。
「とぉにぃかぁくっ!サヤヤンは今すぐ光司君の所へ行きなさい!」
「え?えぇ!? な、なんで!?どうして!?」
「彩香さん、お願いします!今すぐお兄ちゃんのトコへ!」
「千晴ちゃんまで!?」
な、何が何だか分からなくなってきたよぉ(汗)
何で雪ちゃんも千晴ちゃんも、一之瀬君の所へ行かせようとするの?
い、今の私が行ったら、きっとさっきの妄想を思い出しちゃってまともに顔なんて見れなくなっちゃうよ(汗)
だけど、そんな私の気持ちをお構い無しに雪ちゃんは私の左肩を掴み、千晴ちゃんも「ごめんなさい」と謝った後、右手を引っ張りだし校舎の方へと私を引きずる形で連れていこうとする。
慶太君が最後、「弓道部には俺から報告してくるから」と手を振って見送られてしまった。
ど、どうなっちゃうの、私ー!
次回へ続く!!
どもども、焔伽蒼です!
と言う事で急遽彩香エピソード(EP)を入れました。
九条彩香と言うキャラは私自身お気に入りのキャラですので、書いてて楽しかったです。
そして、なぜ彩香エピソードをここに入れたのかと言うと、二人の関係進展を少しさせつつ、現在の光司サイドに繋げるためのすぐ解消されるフラグを入れたかったからです。
二人は思春期と言うのもあり、中学からまともに会話をしなくなりました。
それを彩香自身が悩みとしていて、ずっと苦しんでいました。
そんな二人を見かねた雪と千晴が後押ししてくれたといった感じです。
次回は前話の続き、光司VS日暮をやります!




