【第10話『開業の生徒会』】
俺たちは今、空を見ている。青く美しい空。生命を繋ぐ空気。心和ませる柔らかい雲。清々しく吹き抜ける風。
そんな感じに心を洗われたかのような気分になりながら俺は思う。
「あぁ、平和とはこういう事を言うんだろうなー」
それに同意したかのように、慶太が俺と同じように空を仰ぎながら、どこか遠くを見透かした瞳で言う。
「そうだなー、心が洗われるかのように、身体が流れるようだよ」
「分かるか、慶太。実は俺も流れたい気分なんだ」
「じゃあ、流れるか?」
「だな」
「現実逃避しているところ悪いんだけど、壊した校長先生の銅像どうするのさ?」
そんな風に俺達が話の流れに流れていこうとしていると、雪が呆れた顔でグラウンドの先にある校門、その側に設置されている校長の銅像を指差して注意を促してきた。
その銅像は校長の腹立つ程の満面の笑顔を型作っていて、毎日登下校する生徒に挨拶をしているかのような設置物である。
しかし、今となっては俺達が放ったボールが思いの外強かったみたいで、ゴールネットを突き破ったまま更に直進、しかもスピンのせいか、今さらになってボールは高く浮上していき、見事に銅像の顔面にホールインワン。
ボールはパァンと破裂したと同時に、バカァン!と銅像の顔面が木っ端微塵に。
これじゃ首なし校長が、毎日登下校する生徒を恨めしそうにさ迷っているみたいだ。もしくはあの世へ招いてるかのどちらかだ。学園七不思議に登録されるんじゃないだろうか?
とまあ、それは置いといて・・・俺は携帯で時間をチェックする。おっと、6限目が始まってしまうな。
「さて、次の授業の準備しないとな、慶太!」
「ああ。俺達のような模範生がしっかりしないといけないよな!」
俺と慶太がそそくさとグラウンドから逃げ去ろうとすると、天王洲さんが「模範生だったんですか?凄いです!」と誉め、雪が「そんなわけないじゃん~。あの二人は模範生どころか問題児だよぉ」と失礼なことを言っていた。
俺は桐谷じゃないんだぞ!失礼な。しかし、九条と千晴も否定してくれるどころか、うんうんと頷いている。皆して同じ反応されたので弱冠凹む。
痛い視線が俺に刺さる。慶太は子供だからそんな視線には気付かないだろうけど、俺は駄目だ。耐えられない。
余りにも自分がいたたまれなくなり、やけになるしかなかった。
「分かったよ!謝りにいきますよ!行けばいいんでしょーー!」
俺は慶太の襟首を掴み、校長先生に謝罪をするため校長室の方へ走っていく。
【光司視点⇒全体視点】
光司と慶太が校舎の中へ走っていく光景を、本校舎三階から窓越しで、監視するかのような目で見ている五人の影があった。
彼らは男子三人に女子二人により構成された開業学園の生徒会である。
開業の生徒会は“ある条件”を満たすと、校長以上の権力を有する事が出来る。
条件は簡単だ。生徒会五人の総意の上、開業に通う問題のある人間の排除を示した時━━━条件は満たされ、生徒会は誰に相談することもなく、問題のある教師や生徒を強制的に排除(退学・退職)させることが出来るのである。
尚、反発した者は力による排除をされる。
そんな自衛隊のようなやり方から、生徒会は一般生徒とは区分をつけ特注制服を着用している。
上下共に黒と白で彩られ、刃をイメージさせるかのような鋭い模様が袖に施されている。
「成る程。彼が八卦無天流の正当後継者“一之瀬光司”ですか。まさか、狂犬・桐谷から一本取るとは」
メガネをかけた長身の男が本を片手に呟くと、チャラい感じの幼い顔をした男が壁に背をかけて同意する。
「うんうん、流石だよねぇ。あれで四武生に入ってないという方がおかしいんだよぅ」
すると外を見ていたツインテールの女が笑う。
「あの狂犬“桐谷”と互角に渡り合えるんじゃない?……例え戦闘でも」
そんな三人の後ろにいた柔らかい笑顔を向ける女が、ツインテールの女の頭をちょんと人差し指でつく。
「あらあら、あなたが他人を誉めるなんて、珍しいですわ」
「むぅ、私だって認めるべき所は認めるよ!」
「そうですわね。ごめんなさい、機嫌を直してね?」
「う、うん……別に機嫌悪くしてないし……」
そんな二人の女子のやり取りを見ていた、チャラい感じの男子はメガネをかけた男子に耳打ちをした。
「あの笑顔が逆に怖いよねぇ~」
「俺は知らん。それと、聞こえているぞ?」
「なんのことです?“あの笑顔が逆に怖いよねぇ~”なんて聞こえてませんわ」
「う、うそだ!発言のなまりまで正確に表現してるじゃないか!」
「そんなことより会長、一之瀬光司の件どうするんだ?結局」
メガネをかけた男子が、廊下に腕を組んで立っている男子に話を投げ掛けた。
会長と言う発言から、彼が生徒会長だと伺える。
すると会長は楽しそうに告げてくる。
「せやな。あん子自身も強いんゆうんのもあるんやけど、何より凄いのは人徳やな。
側におるん子らも、彼のこと信頼しきっとるみたいやしな」
鈍った関西弁を使用する会長の発言に対して、チャラい感じの男子は少し真剣な顔付きになる。
「うん、学園一の天才及び主席“的場 雪”、四武生の一人“梶間慶太”。
更には彼の幼なじみである“九条彩香”は女性にして初の四武生になった程で弓道部主将をも務める。妹の一之瀬千晴も拳法の達人みたいだし。必然と彼の周りには武人が集まってくるみたいだね」
メガネをかけた男子がメガネを上げる仕草をして本を閉じる。
「しかも、それだけの猛者から信頼を得る本人も四武生クラスだ。理事会が警戒するのも分かる気がするな」
「そうや。だからこそ気をつけなアカンよ。それだけの人材が、狂犬のように悪になったら手がつけられんからな」
今度は女子達が真剣な表情に変わる。
「四武生クラスとなると、私達も加減が出来ないよ?」
「えぇ。つい本気を出してしまいそうで、怖いですわ」
そんな彼女達の自信有り気な答えに、会長は笑いながら言う。
「本気でやるん、良いことやよー。……せやけど」
『……?』
皆は黙って会長の言葉を待つ。
すると会長は冗談混じりに言い放つ。
「殺したらいかんよ?あくまで理事会の命令は“更正”やからな。
相手が死んだら意味無いんやよーw」
ヘラヘラした様子の会長。他の生徒会のメンバーも笑いながら了承の返事をした。
最後に会長は高らかに宣言する。
「さて……我ら“生徒会”一働きするで!」
この男、生徒会会長「天草荘司」。
「だったら挨拶ぐらいしに行くか?」
生徒会副会長「荘園時雨」
「あらあら、時雨さんやる気満々ですわね」
生徒会会計「泉堂茜」。
「仕方ないよ。相手の仲間の中には因縁ある子がいるわけだし」
生徒会書記「五十嵐飛鳥」
「うんうん、皆ノリノリだねぇー。と言う僕もテンション上がって来てるけどね!」
生徒会庶務「日暮垣内」
開業学園の生徒会、それは表向きは学園の治安を守る言わば“警察”のような存在だが、生徒会には裏の顔がある。
それは理事長からの直接命令によって動く生徒会、通称“粛正委員会”。
学園に不利益をもたらす者を、善悪問わず処罰の対象とし実力で排除する。
いわば軍隊のようなものである。
それこそが開業生徒会。
生徒会の腕章には、開業の校章が刻まれているが、それを裏返すと粛正とかかれていた校章が覗く。
そんな彼らに目をつけられて、無事でいた者は一人も居ない━━━。
次回へ続く!!
どもどもです!こんばんわw
毎日投稿をなるだけ頑張っている焔伽蒼です!
前回話しましたように、今回で開業学園編収終章です!次回からは第二章「生徒会激突編」が開始されます。
いよいよバトル展開になってきます!もちろん、コメディもありますよ?
バトルもギャグも大好きですから♪
それでは、また次回で。
追伸
学園の簡単な地図を作ります。活動報告にて添付するので、そちらもご覧下さい。出来上がり次第載せますので!




