【第7話『学園一の問題児』】
ジリリリッ!
静かな部屋に目覚ましの音が鳴り響く。
布団から這い出た俺は、机の上においたクリスタルを手に取り、昨日のことを思い出す。
突如墜ちてきた隕石。しかし、それは隕石と言うには余りに異質で摩訶不思議なものだった。
墜ちた後も金色の輝きを見せるクリスタル、俺が手に取ったら光は消えてしまったが、思うにこれは新種の宇宙石だと思う。
宇宙は無限だ。どこに何があってもおかしくないと思う!
宇宙人だっているし、UFOだと実際にある。そう確信つける根拠がある。俺達がいる地球と言うのは、唯一生物が生息する星と言われてるが果たしてそうなのか?
違う。地球は何億何兆とある星や惑星等が集まって出来た銀河系の中にある。天の川銀河のことだ。更に、無限に等しい星が集まった銀河が更に同じように無限に集まると、それを銀河団と言う。
その無限の銀河から連なる銀河団も無限にある。そのように宇宙は未来永劫終わりがなく、故に無限なのである。まさに三千大千世界だ。
つまりだ。それだけの無限にある星において、俺達のような生物が存在しているのが地球だけなんて有り得ない。
地球のように空気があって、自然が生まれ、生物が生息する惑星なんて限り無くあるはずだ。
それを確定出来ないのは、人間が目に見えていないからだ。
人間は昔より目に見えないこと、科学で実証されていないことには否定的な思考を持っている。
良い例が医学において手術が確立していなかった頃の話で、ある聡明な医学者は初の手術を試みようとした。実際技術もあった。しかし、民衆の反応は予想を裏切るものだった。
口々に人殺しだとか信用出来るかと罵倒したのだ。しかし、手術が科学的に認められた今ならどうだろう?逆に罵倒しているほうが、罵倒されるのではないだろうか?
それらの例や宇宙説があるように、このクリスタルも地球上では未知な物質でも、宇宙上においては元からあったものだと結論付けれる!
ただ未だ発見されていないから未知なんだ。夢があるじゃないか。
俺は未知のクリスタルを眺めながら、胸を高鳴らせる。
こんな世紀の大発見を簡単に人前に出してたまるか!俺は観察したり調べたりしたいんだ!
朝から変なテンションになっていると、トタタッ!と急ぎ足で階段をかけ上がってくる音が耳に入る。
この足音……千晴か。どうしたんだ、そんな急いで。遅刻じゃあるまいし。 つうか、いま何時だ? 俺は部屋の架け時計を見る。
「7時45分か。成る程。それは千晴も焦るわけだ。遅刻だからな。それも昨日よりも際どいという」
そしてドアがバンッと勢いよく開く。
千晴が慌てて部屋へ飛び込んだと思ったら、いきなり謝罪を繰り返してきた。
「ごめんねお兄ちゃん、昨日疲れちゃって、私もさっき起きちゃって、お兄ちゃんのこと起こせなくって、えーとその……起こしちゃってごめんね?」
「まて。最初と最後に言ったセリフ、意味が逆転してるぞ? とりあえず落ち着け」
さっきまでの変なテンションだった俺が言うセリフではないな。
慌てふためく千晴を見るのも楽しいが、確かに遅刻しようとしているのは間違いないな。
急いで準備をするとしよう。にしても、千晴が寝坊か……そんなに部活が大変なのか?
昨日帰って来たのも20時過ぎで、やけに遅かったしたまには休んだ方がいいと思うんだけどな。
「直ぐに着替えて準備するから、千晴も自分の準備をしててくれ」
「うん、わかったっ」
千晴が自分の部屋へ支度をしに戻ったところで、俺も早々(はやばや)と支度を整えていく。
そして俺は、急いで着替えてから外に出た。
そうすると外には、千晴だけではなく慶太に天王洲さんに九条までいた。
「よっ♪」と慶太。
「おはようございます」と天王洲さん。
「おはよ……」と九条。
三人が一々に挨拶をして、出迎えてくれた。
「おはよう。だけど、慶太。お前ならまだしも、天王洲さんを付き合わせるなよ。こっちにくるまで結構時間掛かるんだからさ」
そう、俺と慶太の家は少し離れている。戸塚駅に行った方が近いくらいには。
だけど、こいつはいつも俺ん家まで向かえに来てくれて、朝から攻撃やら話やらを投げ掛けてくる。
しかし、天王洲さんまで連れてきたら、色んな意味で悪い。
それを注意しようとしたのだが、慶太も天王洲さんも特に困った様子もなく笑顔を向けている。
「天王洲さんとはさ、バスん中で会ったんだけど、俺が光司んトコに行くって言ったら……」
「私が連れていって下さいと頼んだんです。 一之瀬さんと彩香ちゃんと一緒に登校したかったですから」
偽りない笑顔を向けてくる。どうやら、本当みたいだ。となると九条がこの場にいるのも、俺を待ってた訳ではなく天王洲さんに付き合ってたって訳か。
少し残念な気もする。でも、皆で登校と言うのも面白いだろう。
すると天王洲さんが目をキラキラさせて俺に近寄ってくる。
「あ、あのっ! こちらの可愛い子、妹さん何ですよね?」
天王洲さんは千晴の方へ移動したと思うと、頭を優しく撫で始めた。
千晴も嬉しいのか「ふにゅう」と声を上げて目を細めている。
「そうだよ。俺の妹、一之瀬千晴だ」
天王洲さんは更に瞳を輝かせる。眼の中にきら星が見えそうなくらいに。
千晴を撫でていると、不意に「あ……」と声を上げる。
「どうしたの、天王洲さん?」
「その……お二人の呼び方、一之瀬さんじゃ呼びにくいなと感じまして……」
頬を赤らめながら言う天王洲さん。
ふむ、確かに呼びにくそうだな。聞き手の俺達も分かりにくいし。
「光司でいいよ」
そういうと千晴も天王洲さんの顔を下から見て言った。
「私も千晴で良いです」
天王洲さんはパァッと嬉しそうな表情を作った。
「ほ、本当ですか? それじゃ、光司さん・千晴ちゃんって呼びますねっ」
「私より親しげな呼び方……(ボソッ)」
光司さんか……、なんか恥ずかしい気もするけど、天王洲さんが呼びやすいっていうなら良いか。俺は了承した。千晴も首を縦に振っている。
あと、九条はどうしてしゅーんとしているんだ。以前に九条が俺は嘘をついていると目を反らすと言っていたが、九条も落ち込んだりしていると見た目でも分かるぐらいしゅんとした態度を見せるんだよな。
気付いてんのかな。
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そして俺達は昨日と同じように舞岡-戸塚・横浜-開業学園の区間を走り抜け、戸塚と横浜の改札口を走り抜けると駅員に「あれ?デジャブ?」的な顔をされていたが、その甲斐あってか無事にホームルームに間に合った。
それから授業を卒なくこなして、4現目になる頃に化学の時間があって谷口がまたしても怪しげな薬品を作って軽くパニックも起きたが、いつも通りなので冷静に対処をして化学の時間を強制終了。
そして他のクラスより少し早い昼休みを満喫し終えた5限目の体育の授業。
現在、俺・慶太は燃えている。今日の項目はサッカーだ。そして試合だ。
サッカーは球技の中でも一番好きだ。ちなみに二番はバスケ。 俺はボールを使っての定められた場所への投球。それが好きだ。子供の頃、親父に「シュート組手だ」とか言われて、互いの身体に赤い丸印を書いて、そこのみを攻撃していいと言う攻撃の正確性と防御の反射性を同時に高める事が出来るオリジナル特訓をしていたことがある。
が!俺は親父に一発も当てられず、一方的に打ちのめされていた嫌な思い出がある!
それ以来、サッカーやバスケのゴール地点を親父だと思い込んで八つ当たりをした結果━━━━━━趣味になった。そして上達していた。
まあ慶太は本当に好きだからやっているのだが。
慶太も武術の心得があるから、こう言った競技は大得意なんだ。特に脚を使うサッカーは。
いつもは慶太と俺、チームを別れて勝負をしているのだが、今回は違う。一緒のチームだ。
俺達の実力を知っているクラスの皆や体育教師がなぜ、それを許したのか?
その理由を俺は知っている。
「まさか、あいつが登校してくるなんてな」
俺はそう呟くと、慶太も訝し気に同意する。
「開業学園の問題児、桐谷啓吾か……。確かにあいつが学校に来るのは珍しいな」
桐谷啓吾。
背の高く、金髪のツンツンヘアーをしていて、目付きなんかは狼のそれより鋭い、我がクラス━━━いや、我が学園一番の危険人物。普段は登校して来ないか、サボタージュを決め込んでいる。先生たちも怖いのか黙視している程だ。
無口で誰とも寄り合わない一匹狼の言葉がよく似合うヤツ。
頭もキレるし、喧嘩もむちゃ強い。
様々な武術家と他流仕合をしてきた俺の目から見ても、かなり出来る男だ。
しかも嘘か本当か、高1の頃にたった一人でヤクザの事務所に乗り込んで、構成員全員を半殺しにしたと言う噂まである。その真意は不明なんだが……。
そんな男が相手だから、俺と慶太が一緒のチームにして、対抗出来るようにしたのだろう。
「今回は気を付けた方が良いかもね。光司君と慶太でも何が起きるか……」
いま話し掛けてきた青白いショートヘアーをしたちっちゃい女子は、的場 雪。
俺の高校入ってからのダチだ。気立てもよく、分析力もある。
その上いざというときは、物事を冷静に捉える事が出来、的確な指示を送ることが出来る頼りになる奴だ。
よく試合とかで参謀役をしてもらっている。学園で唯一、谷口の暴走を止められる人物。
ただ慶太とは性格が合わないためか、よく口論をしたりする時もあるが、何だかんだ言って息が合ってたりもするする。
ちなみに常にフードや帽子等を被っている。本人曰く、日射しを浴びすぎると溶けちゃうからのようだ。そんな冗談も言える面白い奴でもある。
「そうだな。雪の言う通りだ。ここは最初から本気で行くか、慶太」
「オーケー、んじゃパスは任せたぜ。シュートは俺が決める!」
「ああ。良いパスを頼むぞ。必ず俺が点を入れてやる!」
俺達はにらみあった。火花ではないけど、互いに睨むことによって気がぶつかり合い、小さな風が吹く。
。
「「早いもん勝ちだ!!」」
俺達がそう騒ぐと、試合開始の笛が鳴らされた。その間、相手チームにいる桐谷が俺と慶太を見て凶悪な笑みを浮かべていた。
次回へ続く!!
こんにちわ。どもども、焔伽蒼です!
今回はいつもとは違う時間の投稿になりました。さて、今回の話は二人の新キャラが出てきましたね。桐谷と雪の二人です。
この二人も今後の出番はかなりあります。そして、一通りのキャラも出し終えたことですし、そろそろ物語を進めて行こうかと思っています。と、言いましても「開業学園編」の間は大きな進展はありません。
ですから、この間にキャラの個性などを掴んで下されば幸いであります。
それでは、次話でまた!




