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【ランキング65位達成】累計6万PV『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第十三章 転生者が生き残りをかけてのデスゲーム

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第10話 勝負の決着と人形姫の最後

闇が支配する玉座の間。メル・アリアの冷酷な命令が響き渡る。


「お前たち、爆弾を抱えて突撃しろ。私の盾となり、敵を蹴散らせ!死んでもいい、私を守れ!」


無表情の人間人形たちはまるで意思を持たぬ兵器のように、静かに爆弾を両腕で抱え込んだ。


その胸に仕掛けられた起爆装置が赤く点滅し始める。


「カウントダウン開始……3、2、1……」


突如として轟音が洞窟を揺るがす。


地面が震え、炎の柱が一気に空を突き上げた。


爆発の衝撃波は玉座の間を吹き飛ばし、破片となった人形たちが火の粉と化して空中に舞う。


激しい炎と黒煙が渦巻き、洞窟はまるで地獄絵図と化した。


その中で断末魔にも似た、かすかな呻き声が響き渡る。


「――ありがとう、みんな……」


「……もう、自由だ……」


燃え盛る火の海の中、次々と人形たちが崩れ、消えていく。


その壮絶な光景を目の当たりにし、ティリスは両手で顔を覆いながら嗚咽を漏らした。


「こんなこと、許せない……!こんなはずじゃ……」


エミリーも涙を流しながら震える声で呟く。


「彼らはもう、ただの操り人形じゃない…自我を取り戻していたんだ……それなのに……」


炎と煙の中、彼女たちの心には重い悲しみと怒りが刻まれた。


その一方で、メル・アリアは冷ややかにその場を見下ろし、まるで全てが当然のように振る舞った。


「人形は捨て駒なんだから当然よ。私を守るのが役目で、死ぬのも当然。」


炎の中に浮かぶ無数の影が静かに消えゆく。



ティリスはその場で歯を食いしばり、拳を握りしめて呟いた。

「こんなやり方…許せないわ。でも、今は彼らの自由を取り戻すしかない…」


エミリーも頷きながら、静かに言葉を続けた。

「もう、操り糸なんて断ち切ってやる。私たちの手で、彼らを救わなきゃ」


爆発の合図とともに、一部の人形たちが火花を散らしながら自爆特攻を仕掛けた。爆発が洞窟に轟き、炎と煙が舞い上がる。


だが、爆炎の中で、残った人形たちの目に徐々に光が宿りはじめた。


「私たちは…もう操られてなんかいない」


「自分の意思で…生きたい」


激しく燃え上がる火の中で、彼らは互いに背中の魔糸を見つめ合い、次々とその魔糸を引きちぎった。


ティリスが叫ぶ。

「もう誰にも縛られない!自由になれ!」


エミリーも続ける。

「みんな、立ち上がれ!ここで終わらせるんだ!」


「もう、あなたの道具じゃない」


怒りに満ちた人間の人形たちの反乱が爆発し、彼らはメル・アリアに襲いかかる。


「何を…!お前たち、私に逆らうなんて許さない!」


だが、逃げ惑うメル・アリアを、次々と人形たちは包囲し、その体を炎の海へと沈めていった。


爆発と叫び声が響きわたり、やがて静寂が訪れる。


燃え盛る炎の中、最後の人形たちが燃え尽きる前に、涙のように滴る木片の破片が宙に舞った。


メル・アリアは、その激しい反乱の中で命を落とした。


彼女の冷徹な命令も、最後まで変わることはなかった。


挿絵(By みてみん)


「お前たちは、私を守るために死ぬのよ!!!死ぬのも当然ああああああ」


その言葉は、燃え尽きた人形たちの魂に深く刻まれた。


燃え盛る炎が静まったその後、荒れ果てた玉座の間に、静寂が訪れた。


ティリスは涙をぬぐいながら呟いた。


「メル・アリアは…最後まで自分のことしか考えなかった。でも、あの人形たちは…自分の意志で立ち上がったんだ。」


エミリーも小さく頷きながら言う。


「操られていたのに、自由を求めて戦った。彼らの魂は、決して無駄にはならない。」


二人は燃え残った人形の破片を見つめ、深く息を吐いた。


「これで、この戦いも終わりに近づいたのかもしれない。」


生き残ったデフリーとコニちゃんと合流、エミリーとティリスは勇者アレスと戦う護の元へ援軍をするために急いだ。



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