第1話 決戦の前の作戦会議 〜胃袋英雄譚、最後の晩餐〜
ホブゴブリンの森。決戦の舞台、ホブゴブリンの森の洞窟を前に5人は魔族のパーティーは集っていた。
相手は、かつての宿敵・勇者アレスを中心とした「転生英雄団」。
その主戦力は、“人斬りユウト”と呼ばれる剣豪・ミカヅキ・ユウト、
狂気の人形術師・メル・アリア、
そして最大 火力と防御力の最強の勇者アレス本人だ。
護たちは各自の能力と進化した姿を活かし、作戦を展開することに決めた。
「よっしゃ、ほな腹ごしらえしよか! まさに死ぬ前の最後の晩餐やで!」
立ち上がったのは、もちろん料理人いや、“胃袋の勇者”デフリーだった。
「今日の献立はこれや! 名付けて……」
\\《勝つ丼》!!!//
デフリーが蓋をパカッと開けると、肉厚のカツが豪快に盛られた丼が現れた。
上には黄金に煮込まれたタマネギ、トロトロの卵が優しく覆いかぶさる。
「カツは地裂魔牛ゴルマーダの背肉! ふわっと揚げて、ソースにはクルバクの放電羽の風味をプラス!」
「牛ゴルマーダの肉、柔らかくて甘くて美味しい……!」
コニちゃんが一口食べて目を丸くする。
「卵は喰雷鳥クルバクの…えーっと、なんやったか、肝のなめし部分から取れた精製卵風や!」
「なにそれ怖い!」
エミリーが遠慮気味に箸をのばすも、ひと口で無言になり、もう一口食べていた。
「うんめぇぇぇぇぇ!」
コニちゃんは丼を抱えて止まらない。
「名付けて“明日は勝つ丼”や。これ食って、勝ってこいや。勝つから“勝つ丼”。ダジャレやけどな、こういうときは縁起が大事なんや」
ティリスは無言で丼を見つめたあと、一口食べてふっと笑った。
「……おいしいわ。優しさの味ね。卵がとても、温かいわ」
彼女は残さず食べた。
護は最後まで黙って食べていたが、丼を空にして、ふぅと深く息を吐いた。
「……うまかった。最高の牛カツ丼でした。美味しかったです。」
「ほんま頼むで、うちのカツパワーは世界を救うんやからな!!」
「胃袋英雄譚、最後の晩餐、完結やな!」
この料理を食べた瞬間、チームは全員ワンチームとなり無言で笑顔になった。
「縁起も大事や。これ食って、勝ってこいや!」
全員の腹が満たされ、心もほんの少し温かくなった。
勝負の前に、仲間の料理でつながった時間。
それは、この戦いがただの“争い”ではないことを物語っていた。
■チーム名
\\【胃袋英雄譚】//
“飯がすべてを救う”
料理でつながり、胃袋で団結する異色の魔族パーティー。
その名の通り、「旨い飯+絆+戦術」で世界最強の転生者チームに挑む!
◆作戦布陣
【護 vs 勇者アレス(1対1/防御スタイル作戦)】
「俺は絶対に倒れん。アレスの剣を止める。それまでに……お前らが仕留めてくれ」
・鉄壁の防御型、進化体 ゴブリンロード。
・アレスの高火力を受け止め、仲間の援護を待つ「時間稼ぎ」担当。
【ティリスとエミリー vs 人形姫メル・アリア(魔糸切断/インファイトスタイル作戦)】
「操りの人形術? 森の民の目はごまかせない」
・魔糸は“視認”して“切る”。
・接近戦に持ち込み、メル・アリアの術を封殺。
【 デフリーとコニちゃん vs 人斬りユウト(撹乱・逃走/アウトスタイル作戦)】
「よーし、今日も逃げるぞ!」
「ワイも逃げるでーーーッ!」
・ダブル陽動コンビ。作戦名:《逃ゲル=マラソン》
・戦場をグルグル駆け回り、敵の集中力を削ぎ、スタミナ切れを狙う持久戦型。
いよいよ決戦の幕が上がる。
“転生英雄団 vs “胃袋英雄譚”の異世界対決は明日に迫っている。