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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第十二章 魔族の勇者たち最終進化へと

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第7話 あの男の正体

古代魔女マーリンのほこらを後にした俺たちの前に、

いつものように、黒いフードの男が立っていた。


闇ギルド《ドレッドバインド》の仲介人を名乗るその男の名はギル。


「どうやら……準備が整ったようですね。」

「勇者アレスの転生者たちが、あなた方を“ホブゴブリンの洞窟”でお待ちです」


月明かりの下で告げられたその言葉に、

俺たちの全身を、ひやりとした空気が包み込んだ。


その場に、誰の声もなかった。


沈黙を破ったのは、進化したゴブリンロード・護だった。


「……勇者アレスの転生者たちってことは、人斬りユウトと……人形姫メル・アリアもいるのか?」


ギルはゆっくりと微笑んだ。


「ええ、そうです。さすが護さま。お察しがよろしくて、非常に助かります」


だが、その軽口を、護の目はまっすぐに刺し貫いていた。


「お前……いつも出てくるタイミングが良すぎる。

毎回俺たちの前に現れて、導くような真似をして……何者だ」


ギルの笑みは深まる。


「……やはり、あなたには隠し通せませんでしたか、勇者は騙せましたがね。」


その瞬間、空気がはじけるように変わった。


ギルの体が、コードのような光の帯に包まれ、

その姿が崩れ、―再構成されていく。


挿絵(By みてみん)


鎧のようなメカ構造、仮面のない能面のような白い顔、

そして背には銀色のワイヤーフレームが揺れていた。


「名は、創造神《セフィロス=コード》と申します」


無機質なその声は、確かに――神のものであった。


「……ギルというNPCはこのゲームには存在しません。

あれは私が造り出した、転送者を導くための役割です」


ティリスが、わずかに目を見開く。


「じゃあ……あんたは、この世界そのものを――?」


「そう。私はこの世界を作り、監視し、更新し続ける、このRPG世界の創造主。

転送者、すなわち“異世界転生者”を、この地に呼んだのも、すべて私です」


護は、一歩前に出た。


「……じゃあ、聞こうか。勇者アレスたちの転送者に、俺たちが勝ったらどうなる?」


セフィロス=コードは、静かに右手を差し出し、

空間に“ファイル”のようなデータの光を浮かび上がらせる。


「転生者をすべて倒したその時、私は本当にお前に、“望むすべて”を与えよう」


「望むすべて……?」


「この世界での王座、

死者の蘇生、

破壊の力、

あるいは、転生のやり直し

すべては“ゲームマスター”である私の一存で、可能になるのです」


エミリーが呟いた。


「まるで……最後のラスボスみたいね……」


「違うよ」

と、護が応える。


「こいつは“ゲームそのもの”だ。……だったら――」


コニちゃんが拳を鳴らす。


「勝って、クリアしてやるだけや!!」


セフィロス=コードは何も言わなかった。

ただ一礼して、空間の裂け目へと姿を消していく。


そこに残ったのは、黙示と戦慄――


次に目指すべき地、ホブゴブリンの洞窟。


そこには、黒月の剣士ミカヅキ・ユウト。

人形姫メル・アリア。

そして……転生勇者アレスが待っている。


第十二章 完結

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