第4話 超ブチギレ熊出没注意!
①【追獄獣バルグルムの「執念の瞳」】 GETだぜ!
②【四脚鎧蟲スパルディオ虫の「硬殻神経核」】 GETだぜ!
③【喰雷鳥クルバクの「放電羽」】 GETだぜ!
④【紅眼熊ルガンの「逆鱗」】◀(挑戦中)
⑤【地裂魔牛ゴルマーダの「震脚蹄」】
「うわぁぁぁぁぁああああ!!!」
木がなぎ倒される。地面が抉れる。
魔族パーティーが全力で逃げまわるなか、紅眼熊ルガンはガオオォオオ!!と凄まじい咆哮を上げて突進してきた。
体高2.5メートル、真紅に染まった両目と、
背中にびっしり生えた逆立つ毛並みが、怒りのオーラを放っている。
「ぎゃあああ!? あれ無理!無理のやつ!熊の怒りとか関係ない、存在が怒り!!」
デフリーが泣きながら走っている。
「ちょ、ティリス!矢は!?エミリー、火ぃ出してよ火ぃ!!」
護が叫ぶが、
「矢、抜いたそばから折られてる!」
「炎の結界、正面から踏みつぶされた!」
「な、なんて攻撃特化……いやもはや知性ゼロやんけ!!」
ズドォォォン!!!
地面に拳を叩きつけたルガンの一撃で、
一帯の森が崩れ落ちる。
その瞬間――
「よっしゃ、ワイに任せとき!」
と、火トロールのコニちゃんがズンズンと前へ出た。
「熊言うたらなぁ、相撲やろがい!!!」
「いやなんで!?!?!?」
◆伝説の一番、熊vsトロールの土俵入り◆
西 紅眼熊ルガン
東 トロール族のコニちゃん
コニちゃんが手で輪を描いて土俵を示すと、
ルガンはなぜか「ガォ?」と一歩踏み出した。まさかの空気読める系熊。
「しょぉ〜のぉ〜……はっけよい!!」
ズドン! バチィィィン!!!
衝突した瞬間、風圧が爆発し、草木が吹き飛ぶ。
パーティー全員が目を見開いた。
「押し込まれてる!?あのコニちゃんが!?」
「なんて脚力……くそ、熊の逆鱗を侮るなってことか……!」
だが
「うりゃぁぁぁああああ!!!」
コニちゃんの足が地を蹴り、膝が沈み、背筋がバチィと音を立てる。
「トロール千年奥義!!炎の吊り落としじゃああああ!!」
ズオォォォン!!!
紅眼熊ルガンが宙を舞い、
土煙の中、背中から豪快に叩き落とされた。
バタン。…ピクピク。
「あい、勝負ありぃぃぃっ!」
全員:「コニちゃんが勝ったあああああ!!??」
そしてお待ちかね、熊肉タイムへ
「さーて、お次は本職やで」
デフリーがいつものようにニッと笑って、
倒れたルガンに近づく。
「熊はなぁ、手がいちばん美味いんや。筋肉と脂のバランスが神なんよ」
巨大な熊の前脚を切り出し、血抜きしてタレに漬け込む。
そこに彼特製の「バーベキューソース」をたっぷり塗る。
◆デフリーの熊用BBQソース◆
・黒糖
・発酵タマネギ酒
・スモーク香草
・マスタードシード
・にんにく+唐辛子ちょびっと
「焼いて、塗って、また焼く! これが“熊焼き三段返し”や!!」
コニちゃんが網を抱え、ゴウゴウと火を操って調理開始。
ジュワァァァッッ!!
漂う香りだけで、全員の腹が一斉に鳴った。
宴、が開かれた。
「うわ、すごい……柔らかいのにジューシー」
「歯ごたえもええなぁ……噛むほど旨味が湧いてくる」
「熊肉の手、さいこー!!」
コニちゃんがバリバリ食べながら叫ぶ。
「こりゃあ……進化どころか、昇天できるレベルのうまさやで」
一行は骨までしゃぶる勢いで、紅眼熊ルガンを美味しくいただいた。
もちろん、目的だった素材――
【逆鱗】も、しっかりゲット。
護は、また一つチェックを入れながらつぶやいた。
「これで。残りはあと1つ……スープ、完成が見えてきたな」




